DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2021年 シーズン展望 第1回 NCダイノス

初優勝の勢いで韓国シリーズ2連覇へ

 

 2020年は球団創設から10年足らずでレギュラーシーズン、韓国シリーズともに初優勝、プロ野球の新しい時代を切り開いたNCダイノス。3年目のイ・ドンウク監督は初優勝の勢いで韓国シリーズ2連覇を目指す。


【投手陣】

〈先発〉 
ルチンスキー、◎パーソンズ、ソン・ミョンギ、△ク・チャンモ、イ・ジェハク、△キム・ヨンギ

〈リリーフ〉
キム・ジンソン、キム・ゴンテ、△ソン・ジョンウク、ムン・ギョンチャン、△イム・ジョンホ、パク・チヌ、イム・チャンミン、ウォン・ジョンヒョン

注 : ◎は新加入、△は左腕 

 先発の柱は韓国3年目で2020年はチーム最多勝(19勝)だった外国人選手ルチンスキーである。韓国人では2020年シーズン前半だけで9勝を記録した24歳の左腕ク・チャンモが軸となるはずも、故障で4月3日の開幕に間に合わない見込みである。2020年シーズン、後半だけで9勝を記録した20歳の右腕ソン・ミョンギの負担が増す恐れがあるため、不振が続く生え抜きの右腕イ・ジェハクの復活が期待される。

 リリーフ陣の中心はベテランのサイドハンド右腕ウォン・ジョンヒョンで、2021年シーズンも抑えを任されると思われる。右腕と比べると左腕が手薄である。新戦力の外国人選手パーソンズMLB通算2年間(2018~2019年)で1勝と目立った実績はないが、韓国でその才能が開花するとルチンスキーと並ぶ先発の2枚看板になるであろう。

 


【打撃陣】

〈予想先発〉

捕手:ヤン・ウィジ

一塁:カン・ジンソン

二塁:△パク・ミヌ

三塁:パク・ソンミン

遊撃:△ノ・ジンヒョク

外野:△イ・ミョンギ、アルテール、クォン・ヒィドン

DH:△ナ・ソンボム 

〈控え〉
(捕手) キム・テグン、ユン・スガン
(内野手) チ・ソックン、モ・チャンミン、キム・チャンヒョン、△ト・テフン、△イ・ウォンジェ
(外野手)  △キム・ジュヌァン、◎△チョン・ミンス、△イ・ジェユル

注 : ◎は新加入。△は左打者。
 優勝の原動力となった去力打線は健在である。プロ野球界を代表する強打の捕手ヤン・ウィジ、ポスティングによるMLB移籍に失敗した生え抜きの主砲ナ・ソンボム、安打製造機のパク・ミヌ、韓国2年目の走攻守そろった外国人選手アルテール、2020年レギュラーに定着したカン・ジンソン、下位打線で効果的な本塁打を打った遊撃手ノ・ジンヒョクなど、上位から下位まで切れ目のない打線で2020年のリーグ本塁打数(187)、得点(888)は1位だった。一方で控え選手の軍への入隊や移籍もありやや選手層が薄くなったため、主力が長期離脱することになった際の起用法が注目される。

 
 まだ46歳ながらNCを初優勝に導いたイ・ドンウク監督は、連覇を達成することでチームも自分自身もさらなる高みへと昇っていくことになる。優勝したチームをいじることなく熟成させることで黄金時代を築くことができるか、その手腕に注目したい。感染症の拡大防止のため多くの試合が無観客となった2020年、せっかくの初優勝もごく一部のファンたちしかその歓喜の瞬間を直接見ることができなかったが、2021年は一人でも多くのファンたちが球場で勝利の美酒に酔いしれることができることを願うばかりである。 


【本拠地】
昌原NCパーク馬山野球場

 韓国南東部の地方都市・馬山(マサン)は港町として栄え、1970年代から自由貿易地帯として韓国の経済発展を支えた。2010年に近隣の昌原(チャンウォン)、鎮海(チンヘ)と合併して誕生した昌原総合市の一部となった。

 NCは球団創設当初の2012年から馬山総合運動場野球場を改修して本拠地として利用してきた。昌原市内での新球場建設を公約としていたため、隣の競技場を解体して昌原NCパーク馬山球場(収容人数2万5000人)を完成させ、2019年より利用している。

 最新鋭のボールパークは魅力にあふれ、快適な観戦環境が提供されている。内野1階席はグラウンドレベルに近く臨場感があり、電光掲示板には打率や本塁打防御率以外にもボールの回転数など選手の細かい成績の数値が出されるなど、マニアもうならせる最新の技術が導入されている。またNCダイノスのグッズショップはガラス張りで目立つ外観で、野球観戦が可能な飲食店も上層にある。

 すぐ隣の旧本拠地・馬山総合運動場野球場は主に二軍選手が出場するフューチャースリーグが使用しているため、一軍と二軍の試合観戦を同日に楽しむこともできる。



[交通アクセス]

 釜山市内から馬山までは沙上(ササン)バスターミナルから市外バスで40分程度。馬山市外バスターミナル、KTXなどの列車が停車する馬山駅からは昌原NCパーク付近までは110番市内バスで結ばれている。

 ソウルなどからの高速バスが発着する馬山高速バスターミナルからは徒歩5分程度。

 

(文責 : ふるりん