DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2023年シーズン回顧 第9回 ハンファイーグルス

何とか3年連続連続最下位から脱出

2023年シーズン成績 

レギュラーシーズン:58勝80敗6分(勝率.420)9位

ポストシーズン:出場せず

 2022年は圧倒的な弱さで3年連続最下位に終わった。さすがにプロ野球タイ記録、チーム新記録の4年連続最下位を回避すべく、SSGランダースからイ・テヤン、LGツインスからチェ・ウンソン、サムソンライオンズからオ・ソンジンと3名のFA(フリーエージェント)選手と契約した。

 4月1日、遠征先の高尺で迎えたキウムヒーローズとのレギュラーシーズン開幕戦、先発投手の新外国人スミス(元埼玉西武)が3回途中で肩の痛みを訴え降板、試合は延長10回裏に2-3で敗れた。その後4月4日のサムソン戦まで開幕3連敗、翌5日のサムソン戦でシーズン初勝利を挙げるも調子は上向かなかった。4月19日、スミスは回復の見込みが立たないためウェーバー公示となり、翌20日、新外国人選手の左腕サンチェスと契約した。しかし合流には時間がかかり、4月26日のロッテジャイアンツ戦から5月2日のトゥサン戦まで6連敗と最下位に沈んでいた。

 5月7日のKTウィズ戦まで3連勝し9位に浮上し、これから巻き返しを図ろうとした5月12日、2021年から指揮を執ってきた外国人のスベロ監督は契約解除となり、二軍監督だったチェ・ウォンホ監督が就任した。そしてこの日のSSG戦で勝利し、チェ・ウォンホ監督の初勝利で3連勝となった。一方、新外国人選手として期待されたオグレディ(元埼玉西武)は0本塁打と結果を残せず、5月31日にウェーバー公示された。

 6月7日、トゥサン戦で敗れ最下位に転落、6月18日、新外国人の左打者ウィリアムスと契約、打線の強化を図った。6月21日のキアタイガーズ戦から雨天中止の試合を挟んで7月1日のサムソン戦まで2005年以来18年ぶりの8連勝となり、8位にまで浮上した。22歳のノ・シファンが成長し主軸を任され、サンチェスも負けなしの5連勝、パク・サンウォンが抑えに定着するなど戦力が充実してきた。

 7月6日のロッテ戦で敗れ9位に後退するも、7月12日のLG戦で19歳の先発投手ムン・ドンジュが好投し勝利し再び8位に浮上した。7月15日のオールスター戦では前日のホームランレースで優勝、本番では満塁本塁打など5打点と活躍したチェ・ウンソンがMVP(最優秀選手)を受賞した。7月28日のSSG戦で勝利し84試合消化した時点で8位ながら勝率.463と、今後の追い上げ次第ではさらなる譲位も狙えそうだった。

 しかし7月29日のSSG戦から8月2日のトゥサン戦まで4連敗、8月4日のキア戦から11日のトゥサン戦まで引き分けと雨天中止を挟んで5連敗となり、9位に後退し勝率も.421まで下がってしまった。翌8月12日のトゥサン戦で勝利し8位に浮上するが、8月19日のKT戦から雨天中止を挟んで勝てない日々が続き、8連敗で最下位に転落した。しかし9月6日のSSG戦から10日のキウム戦まで6連勝で8位に浮上し、9位サムソン、最下位キウムとの差を広げた。

 9月12日のトゥサン戦から17日のKT戦まで4連敗、9月22日のキウム戦から27日のサムソン戦まで4連敗となり、9月29日のロッテ戦で敗れ9位に後退、シーズン終盤でし烈な最下位争いに巻き込まれた。10月1日のNCダイノス戦から4日のサムソン戦まで3連勝、8位に浮上した。この頃、中国での杭州アジア競技大会野球に韓国代表としてノ・シファンとムン・ドンジュの2名が出場、10月7日の台湾代表との決勝戦でムン・ドンジュが先発として6回を無失点に抑え勝利し優勝、ノ・シファンとともに兵役免除の恩典を得た。

 投打の主軸の2名が不在だったこともあり、10月5日のサムソン戦から10日のNC戦まで6連敗、残り3試合でついに最下位へ転落した。しかしハンファの試合がなかった10月11日、13日にキウムが敗れ最下位に転落し全日程を終了、9位に浮上すると10月14日、本拠地大田でのロッテ戦で勝利し9位が確定、ようやく3年連続最下位から脱出、2019年以来4年ぶりとなる9位でシーズンを終えることができた。

 

【投手の成績】

防御率4.38(7位) 奪三振1037(3位) 被本塁打101(3位) 与四球517(5位)

[主な先発投手]

ペーニャ        32試合 11勝11敗  防御率3.60

サンチェス     24試合 7勝8敗 防御率3.79

ムン・ドンジュ   23試合 8勝8敗 防御率3.72

チャン・ミンジェ  25試合 3勝8敗1ホールド  防御率4.80

イ・テヤン     50試合 3勝3敗2ホールド  防御率3.23

キム・ミヌ     12試合 1勝6敗 防御率6.97

 先発投手のチーム防御率(4.37)は10チーム中9位だった。韓国2年目の外国人選手ペーニャが11勝と、2022年には不在だった10勝以上を記録した投手となった。5月から合流した外国人選手サンチェスも7勝と最下位脱出に貢献した。20歳となったプロ2年目の剛腕ムン・ドンジュはチームの方針で規定投球回数には達しなかったが、アジア競技大会野球での活躍もあり新人王を受賞した。上記3名以外の先発投手の層は薄く、最下位争いを続けてしまった要因にもなった。

 

[主なリリーフ投手]

キム・ボムス     76試合 5勝5敗1セーブ18ホールド  防御率4.19

パク・サンウォン   55試合 5勝3敗16セーブ 防御率3.65

チュ・ヒョンサン   55試合 2勝2敗12ホールド  防御率1.96

チョン・ウラム    52試合 0勝1敗8ホールド 防御率5.36

ハン・スンジュ    47試合 1勝4敗2ホールド 防御率3.95

ユン・デギョン    47試合 5勝1敗2ホールド 防御率2.45

カン・ジェミン    43試合 1勝3敗12ホールド 防御率6.44

チャン・シファン     33試合 2勝2敗1セーブ7ホールド  防御率3.38

 リリーフのチーム防御率(4.38)は10チーム中7位だった。リリーフの柱は左の中継ぎのキム・ボムスで、左腕不足もあって2年連続でチーム最多の登板数となった。抑えは6月後半からパク・サンウォンが定着した。22歳のハン・スンジュは先発として起用される試合もあった。38歳のベテラン左腕チョン・ウラムはプロ野球史上初の個人通算1000試合登板を達成した。

 

【野手の成績】

打率.241(10位) 本塁打100(3位) 得点604(10位) 盗塁67(9位) 失策109(6位)

捕手:チェ・ジェフン   125試合 打率.248 1本塁打 33打点 1盗塁

一塁:キム・インファン  112試合   打率.225 7本塁打 42打点 1盗塁

二塁:チョン・ウヌォン  122試合 打率.222 2本塁打 30打点 6盗塁

三塁:ノ・シファン    131試合 打率.298 31本塁打 101打点 2盗塁

遊撃:イ・ドユン        106試合 打率.252 1本塁打    13打点 11盗塁

左翼:ウィリアムス    68試合 打率.244 9本塁打  45打点 1盗塁

中堅:ムン・ヒョンビン  137試合 打率.266 5本塁打   49打点 5盗塁

右翼:イ・ジニョン    121試合  打率.249 10本塁打  50打点 5盗塁

指名:チェ・ウンソン   137試合   打率.263 23本塁打 84打点 0盗塁

控え:パク・サンオン、パク・チョンヒョン、オ・ソンジン、キム・テヨン、チャン・ジンヒョク、イ・ウォンソク、チェ・インホなど

 LGの主力だったチェ・ウンソンは期待通りの活躍で、4番打者としてチームを引っ張った。本塁打(31)、打点の打撃2部門で個人タイトルを受賞した23歳のノ・シファンがプロ野球界を代表する長距離砲に成長しつつある。野手の選手層は依然として薄く苦戦が続くも、19歳の新人ながら二塁、中堅などを守り137試合に出場した左打者ムン・ヒョンビン、26歳で初めて100試合以上に出場、10本塁打を記録したイ・ジニョンなどの台頭で世代交代が一気に進んだ。オグレディが0本塁打自由契約となり、代役のウィリアムスもやや物足りない成績で、外国人野手に恵まれなかったのが惜しまれる。

 

【オフシーズンの動向】

 オフシーズンはまたもや積極的に補強した。FA選手ではチャン・ミンジェと再契約し、ロッテで主力として活躍し2度目のFAとなっていた内野手アン・チホンと契約し、補償選手はなく補償金のみ譲渡された。余剰戦力を対象とした2次ドラフトでは、41歳の外野手キム・ガンミンをSSGから指名し話題を集め、また内野手の控えでFAによりハンファより移籍してきたオ・ソンジンはロッテから指名され、1年でハンファを去った。
 捕手の補強として、SSGから自由契約となったイ・ジェウォンと契約した。外国人選手ではペーニャ、サンチェスの2名の投手とは再契約したが、ウィリアムスとは再契約せず新外国人選手ヨナタン・ペルラザと契約した。

 

 2023年、前年より勝率を約1割上げて他チームとようやく対等に戦えるであろう戦力を整備した。チェ・ウォンホ監督にはその上昇気流を維持し、選手たちをさらに育ててポストシーズン進出争いに加われるチームを作り上げていくことが期待される。幸い若い才能ある選手たちが集まっているため、近い将来は優勝争いの常連へと変貌を遂げているのかもしれない。

 

(文責:ふるりん