史上最低順位の後に突然の終焉
2020年シーズン成績
レギュラーシーズン:51勝92敗1分(勝率.357)9位
ポストシーズン:出場せず
2018年に韓国シリーズで8年ぶり4度目の優勝を成し遂げるも、2019年はレギュラーシーズンの最終戦でトゥサンに追いつかれ優勝を逃し韓国シリーズにも進出できず、オフシーズンにはエースとして活躍してきたキム・グァンヒョンがMLB(メジャーリーグベースボール)・セントルイスカーディナルス、外国人選手のうちサンチェスが日本プロ野球・読売、ソーサが台湾プロ野球・富邦へ移籍するなど大幅な戦力の低下があった。そのため2020年シーズンの苦戦は開幕前から予想されていた。
3月の示範競技が中止となり、例年よりも1か月以上遅れた5月5日のレギュラーシーズン開幕戦のハンファ戦は、本拠地・仁川で0-3の完封負けを喫した。翌6日のハンファ戦はハン・ドンミンの2本塁打、新外国人選手ピントの韓国初勝利となる好投でシーズン初勝利をあげた。ところが翌7日のハンファ戦から19日のキウム戦まで10連敗と最初の泥沼に陥った。開幕投手だった新外国人選手キンガムは故障で5月12日のLG戦を最後に一軍から外れた。
5月28日、開幕から20試合を終え4勝16敗とハンファを除く他のチームから大きく引き離されていた。そこで5月29日、イ・スンジン投手とクォン・ギヨン捕手を交換要員に、トゥサンとの2対2トレードが成立、31歳の経験豊富なイ・フンニョン捕手とキム・ギョンホ外野手を獲得し、翌30日のハンファ戦ではイ・フンニョンの本塁打などで勝利、6月2日のNC戦まで5連勝となった。ところが6月になっても故障者の続出で連敗を繰り返した。
6月18日、ノ・スグァン外野手を交換要員に、中継ぎ陣の強化のためハンファからトレードでイ・テヤン投手を獲得した。6月25日、トゥサンとのダブルヘッダー第1戦で8連敗となり、試合中にヨム・ギョンヨプ監督が倒れ入院した。幸い第2戦で勝利し連敗から脱出したが、勝率は3割をやや下回りハンファとの最下位争いが続き、すでに上位進出が絶望的になっていた。ヨム・ギョンヨプ監督の入院が長引いたため、やむを得ずパク・キョンワン首席コーチを監督代行とした。
故障からの復帰のめどがたたないキンガムをウェーバー公示し、代役の新外国人選手として野手のホワイトと契約し強化に努めた。7月19日のキウム戦から26日のハンファ戦まで4連勝、勝率を3割台半ばにまで上げたが、勝率5割近い8位ロッテは遠い彼方にいた。7月28日のLG戦から8月7日のサムソン戦までまたもや8連敗となった。
8月13日、イ・ホング捕手を交換要員にKTからトレードで内外野のユーティリティプレイヤー、オ・テゴンを獲得し打線の強化に努めた。8月19日のハンファ戦ではチーム新記録となる1試合26得点で大勝したが、最下位ハンファ以外の相手にはなかなか勝てなかった。8月28日のキア戦からまたもや連敗が始まった。9月1日にヨム・ギョンヨプ監督が復帰したが、8日にまたも休養となりその間は1勝もできなかった。9月9日のキウム戦では1試合16与四球の不名誉なプロ野球記録を更新し、シーズン最多の11連敗となった。
9月9日時点で9位SKの勝率.311、最下位ハンファの勝率.290であり、両者のゲーム差は1.5と、9月10,11日の直接対決の結果次第では順位が入れ替わった。だがSKは10日は先発パク・チョンフンの好投とチェ・ジョンの本塁打などで勝利、11日はホワイトの韓国初打点となるタイムリーで連勝し最下位転落を免れた。9月16日のキア戦まで6連勝となり、シーズン終盤にようやく反撃が始まるかと思いきや、9月17日のNC戦から24日のキウム戦まで7連敗と結局最下位争いから抜け出せなかった。9月29日のNC戦から10月2日のキウム戦まで4連敗となり、勝率.325で最下位ハンファに0.5ゲーム差まで迫られた。
幸いにも10月3日、4日のキウム戦で連勝し最下位転落をまたもや免れ、これ以降大きな連敗はなかった。すでにチーム史上最低となる9位が確定していた10月30日のシーズン最終戦となるLG戦を前に、休養中のヨム・ギョンヨプ監督の辞任が発表された。そしてLG戦は2020年での現役引退を発表したユン・ヒィサンが先発登板し打者一人と対戦し降板、試合は3-2で勝利し有終の美を飾った。
球団が創設された2000年の8位(当時は8球団制)を下回る9位と惨憺たる結果に終わった2020年のSKが2度の10連敗以上を喫しても最下位にならなかったのは、最下位ハンファ相手に11勝4敗1分けと勝ち越したからである。SKのハンファ戦以外の勝率は.313でしかなく、ハンファのSK戦以外の勝率は.333であった。
【投手の成績】
防御率5.57(10位) 奪三振953(7位) 被本塁打162(1位) 与四球670(1位)
[主な先発投手]
ピント 30試合 6勝15敗 防御率6.17
パク・チョンフン 28試合 13勝11敗 防御率4.81
ムン・スンウォン 25試合 6勝8敗 防御率3.65
イ・ゴヌク 27試合 6勝12敗 防御率5.68
チョ・ヨンウ 35試合 2勝4敗 防御率5.96
2019年は1位だったチーム防御率が2020年は最下位と、投手陣の予想以上の劣化が最下位争いから脱出できなかった最大の要因だった。先発の防御率5.35は10チーム中9位だった。チーム最多勝はアンダースローのパク・チョンフンで、キム・グァンヒョンが去った後の先発投手陣の柱となった。ムン・スンウォンは勝ち星に恵まれなかったが、規定投球回数(144回)に達した10チームの韓国人選手で最も防御率がよかった。また25歳の右腕イ・ゴヌクがプロ初勝利を含む6勝と健闘した。
韓国1年目の外国人選手ピントは故障による離脱こそなかったが、リーグ最多の15敗と屈辱的な内容だった。シーズン途中でウェーバー公示されたキンガムはたった2試合の登板、未勝利で退団し外国人投手2名で合計6勝は致命的だった。
[主なリリーフ投手]
ソ・ジニョン 63試合 2勝7敗8セーブ12ホールド 防御率4.13
パク・ミンホ 57試合 2勝1敗4セーブ11ホールド 防御率2.42
キム・ジョンビン 57試合 1勝1敗1セーブ10ホールド 防御率5.13
イ・テヤン 46試合 2勝1敗4ホールド 防御率5.13
キム・セヒョン 42試合 2勝1セーブ7ホールド 防御率5.79
キム・テフン 33試合 1勝6敗4ホールド 防御率7.40
キム・ジュハン 22試合 1勝7敗 防御率7.43
リリーフの防御率は5.94で10チーム中10位と、先発投手陣よりもさらにチームの足を引っ張った。この中で最も安定していたのは28歳の右の中継ぎパク・ミンホだった。2019年は36セーブを記録したハ・ジェフンが不振で7月以降登板せず、わずか4セーブに終わったのが響き、10チーム中で唯一10セーブ以上を記録した投手がいなかった。シーズン終盤になってソ・ジニョンがようやく抑えに定着した。
【野手の成績】
打率.250(9位) 本塁打143(4位) 得点634(9位) 盗塁81(8位) 失策99(6位)
捕手:イ・ジェウォン 80試合 打率.185 2本塁打 21打点 1盗塁
一塁:ロマック 139試合 打率.282 32本塁打 91打点 4盗塁
二塁:チェ・ハン 47試合 打率.265 2本塁打 15打点 1盗塁
三塁:チェ・ジョン 133試合 打率.270 33本塁打 96打点 8盗塁
遊撃:キム・ソンヒョン 133試合 打率.271 2本塁打 25打点 1盗塁
左翼:コ・ジョンウク 92試合 打率.283 3本塁打 26打点 1盗塁
中堅:キム・ガンミン 122試合 打率.253 12本塁打 45打点 7盗塁
右翼:チェ・ジフン 127試合 打率.258 1本塁打 27打点 18盗塁
指名:チェ・テイン 71試合 打率.281 7本塁打 24打点 0盗塁
控え:イ・フンニョン、チェ・ジュヌ、チョン・ヒョン、チョン・ウィユン、ハン・ドンミン、オ・ジュンヒョク、オ・テゴンなど
攻撃面でも弱さが目立った。プロ野球個人通算2位の本塁打数(368)のチェ・ジョン、韓国4年目の外国人選手ロマックは他チームにとって脅威となるも、負傷者が続出し全体的に層が薄くイ・ジェウォン、ハン・ドンミンなどの不振が響いた。そのようなチーム状態の中、38歳のベテラン外野手キム・ガンミンが健闘した。新戦力としては、大卒新人のチェ・ジフンが外野の一角に定着し新人王候補にも挙げられるなど、低迷するチームの数少ない明るい話題となった。また21歳の左の内野手チェ・ジュヌが7月まで二塁を守り続けるも、8月以降失速したのが惜しまれた。
【オフシーズンの動向】
9位というチーム史上最低の順位を受け、オフシーズンの動きは活発だった。まずレギュラーシーズン最終戦の翌日の10月31日、アーティー・ルウィキ、ウィルマー・フォントと投手2名の新外国人選手との契約と、ロマックの再契約が発表された。これでピント、ホワイトとの再契約が見送られた。
そしてキム・ウォンヒョン新監督の就任が発表されると、トゥサンからFA(フリーエージェント)となっていた左の内野手チェ・ジュファンと契約し、最大の弱点だった二塁の補強に成功した。トゥサンから補償選手としてカン・スンホ内野手が指名され移籍した。他にもキウムからFAとなっていた中継ぎ右腕のキム・サンス投手がいったんキウムと再契約し、3億ウォンの金銭トレードでSKへ移籍してきた。FAとなっていたショートのキム・ソンヒョンとは再契約した。
積極的な補強で2021年シーズンの反撃を予感させる中、1月26日、突如SKワイバーンスは流通業の新世界グループへの球団を発表した。2000年に球団が創設され4度の韓国シリーズ優勝を成し遂げたSKワイバーンスは21年で歴史の幕を閉じることになると思われる(2月中に正式な球団売買に関する契約を結び、新チーム名などは3月に発表予定)。本拠地は仁川のままとする。財政難というわけでもないのに突如終焉を迎えたSKワイバーンスに対する球界全体の衝撃は大きかった。新チームはSKワイバーンスの遺産をどのように受け継ぎプロ野球界に新しい風を吹かせていくのか、2021年シーズン開幕時のプロ野球界最大の注目を集めるであろう。
(文責:ふるりん)