DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2019年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2019年韓国シリーズ:トゥサン-キウム 展望

 2019年の韓国シリーズは、10月1日のレギュラーシーズン最終戦で勝利しSKと勝率で並ぶも直接対決で勝ち越していたため優勝となったトゥサンと、この2チームと終盤まで優勝争いを繰り広げ2ゲーム差で3位となり、ポストシーズンではLGとの準プレーオフ、SKとのプレーオフを勝ち抜いてネクセン時代の2014年以来となる2度目の韓国シリーズ進出を果たしたキウムとの対戦となった。両チームの韓国シリーズでの対戦は初めてで、東の蚕室野球場、西の高尺スカイドームソウル特別市を本拠地とするチームが対決する初の韓国シリーズとなった(同じ蚕室野球場を本拠地とするトゥサンとLGの韓国シリーズでの対戦は、前身のOBベアース、MBC青龍の時代を含め1982年のプロ野球創設以降一度もない)。

 

  トゥサンは2018年のレギュラーシーズンで2位SKに14.5ゲーム差をつけて優勝したが、韓国シリーズの調整のため日本での練習試合で中継ぎの柱だったキム・ガンニュルが負傷し、また韓国シリーズ開幕後に不動の4番打者キム・ジェファンが故障で欠場するなどチームのバランスが崩壊し、それを立て直せずSKに敗れてしまった。2019年のトゥサンは韓国シリーズに向けて国内での調整につとめ、レギュラーシーズン終了から韓国シリーズまで3週間ほど日程が空いてしまうため、試合の感覚を維持するため尚武(兵役中のプロ選手が所属するチーム)との練習試合を実施した。

 

 トゥサンは2015年から5年連続での韓国シリーズ出場となり、経験という点ではキウムに勝っている。キム・ヒョンス(現LG)、ミン・ビョンホン(現ロッテ)、ヤン・ウィジ(現NC)などFA(フリーエージェント)による主力選手の流出はありながらも、選手の育成に長けているため戦力を維持し続けている。

 トゥサンのチーム防御率3.51は10球団中2位で、特にリーグ最多勝(20勝)・最多奪三振(189)の個人タイトルを受賞したエース格の外国人選手リンドブロムが不動の大黒柱だった。そのほかの先発投手ではプロ4年目の21歳で自己最多の17勝を記録した若手右腕イ・ヨンハ、7年連続2桁勝利の11勝と安定しているベテラン左腕ユ・ヒィグァンがシーズンを通して活躍した。一方で2018年リーグ最多勝(18勝)も故障で苦しみ2019年は9勝止まりの外国人選手フランコフ、同じく故障で苦しみ2018年の15勝から2019年は7勝止まりだったイ・ヨンチャンの2人に不安が残る。韓国シリーズが基本的に第7戦までであることを考えると、過去に抑えとして活躍していた経験を買ってイ・ヨンチャンをリリーフに回すことが考えられる。

 リリーフ陣は右のユン・ミョンジュンとイ・ヒョンボム、左のハム・トクチュとクォン・ヒョクが中心となる。特にNCへFAで移籍したヤン・ウィジの補償選手として移籍してきたイ・ヒョンボムはチーム最多の19セーブを記録し、ハンファを自由契約となったベテランのクォン・ヒョクも11ホールドを記録した。経験豊富なペ・ヨンス、キム・スンフェなどのベテラン右腕も控え、もつれた展開になった際の継投パターンも豊富である。

 

 トゥサンのチーム打率,278は10球団中3位、チーム総得点736は2位と、リーグ有数の攻撃陣であった。チーム本塁打数84は10球団中9位と、広い蚕室野球場を本拠地としているがゆえに少なかったが、上位から下位までのつながりを重視した打線だった。その中心となったのがリーグ最多安打(197)の外国人選手フェルナンデスで、打率.344と高打率でチャンスメイカーとしてだけでなく、15本塁打・88打点と勝負強さも光った。チームの中軸は左の長距離打者オ・ジェイルがチーム最多本塁打(21)・打点(102)と活躍し、2018年は本塁打(44)・打点(133)のリーグ二冠王だったキム・ジェファンは15本塁打・91打点と成績を落としたが、フェルナンデスの加入もありチームの攻撃力が大幅に下がったとはいえなかった。

 そのほかにも外野のパク・コヌ、内野のホ・ギョンミン、捕手のパク・セヒョクと攻守に秀でた選手が目立ち、レギュラーシーズンの優勝チームらしく攻守ともに層が厚い。また代走や守備固めとして野球センスにあふれたベテラン内野手オ・ジェウォンがいるのも肝心な場面では心強い。

 

 

 対するキウムはSKとのプレーオフを3試合で終え、中4日の休養をもってトゥサンとの韓国シリーズに臨み、初優勝を目指す。

 先発投手陣は第1戦の予告先発ヨキシュと、ブリガム(元東北楽天)の外国人選手2名にチェ・ウォンテ、イ・スンホの若手2名の韓国人選手が起用されるであろうが、先発の出来が悪く、8人以上の継投策を取った試合が目立った。ハン・ヒョンヒィ、チョ・サンウ、キム・サンス、オ・ジュウォンなどキウムのリリーフ陣はトゥサンに見劣りしない層の厚さがあるが、優位に進めたとはいえ準プレーオフ4試合、プレーオフ3試合の合計7試合の疲労がどこまで回復しているかは未知数である。

 キウムの攻撃陣では 21歳の若き安打製造器イ・ジョンフがプレーオフでMVPを受賞するなど活躍し、リーグの本塁打王(33本)のパク・ピョンホ、打点王(113打点)のサンズと中軸を打つと思われる。その周りを固めるキム・ハソン、ソ・ゴンチャン、キム・ギュミン、ソン・ソンムンなどもプレーオフでは好調だった。打線の破壊力ではトゥサンを上回るだけに、早い回で大量得点を奪ってリリーフ陣に託したいところだ。

 

 

 勢いだけならキウムが上回っているように思えるが、プレーオフで対戦したSKはレギュラーシーズン終盤での失速をそのまま引きずってしまっていたようだった。レギュラーシーズンで逆転優勝を果たした勢いもあり、2016年以来3年ぶりの優勝を目指す経験豊富なトゥサンはこれまでの相手とは明らかに違うため、トゥサンの優位を予想する。また、11月に2連覇と2020年東京オリンピック出場権をかけて出場する国際大会・WBSCプレミア12韓国代表にはトゥサンから6名(イ・ヨンハ、ハム・トクチュ、パク・セヒョク、ホ・ギョンミン、パク・コヌ、キム・ジェファン)、キウムから5名(ハン・ヒョンヒィ、チョ・サンウ、パク・ピョンホ、キム・ハソン、イ・ジョンフ)と合計11名も選出されているため、実力派のそろう両チームの激闘を期待したい。

 

(文責:ふるりん