DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第6回 SKワイバーンズ

 2016年は6位に終わりポストシーズン進出を逃し、チームの大改造に着手した。そのためチーム史上初となるアメリカ合衆国出身の外国人監督、エリック・ヒルマンが就任した。やや停滞気味のチームに新たな風を吹かせ、2010年以来となる韓国シリーズ優勝を目指す。


【投手陣】

〈先発〉 
ケリー、◎△ダイアモンド、パク・チョンフン、ユン・ヒィサン、イム・ジュンヒョク
〈リリーフ〉
ムン・グァンウン、チョン・ユス、チェ・ビョンニョン、パク・チョンベ、△シン・ジェウン、△パク・ヒィス、ソ・ジニョン


注 : ◎は新加入、△は左腕
 近年エースとして活躍してきたキム・グァンヒョンがFA(フリーエージェント)を行使し残留したものの、2016年12月にひじの手術を受けたため復帰時期は未定である。先発の柱は2016年にチームで唯一投球回数が200イニング以上を記録した韓国3年目の外国人選手ケリーとなり、キム・グァンヒョンの代役として2012年にMLBミネソタツインズで12勝を記録した実績のある新外国人選手の左腕ダイアモンドが期待される。そのほかには2016年に先発ローテーションを守ったアンダースローのパク・チョンフン、サイドスローのユン・ヒィサンなどがあげられるが、層が薄いため大卒新人キム・ソンミンのような若手の台頭が望ましい。
 リリーフ陣では左腕不足が目立つ。2016年の抑えは左腕パク・ヒィスだったが、2017年シーズンはこれまで中継ぎで起用されてきた奪三振率の高い24歳の右腕ソ・ジニョンが務めることになりそうだ。


【打撃陣】

〈ベストオーダー〉
1.キム・ガンミン(中)  
2.イ・ミョンギ(左) △   
3.チェ・ジョン(三)   
4.チョン・ウィユン(右)  
5.パク・チョングォン(一)△
6.キム・ドンヨプ(指) 
7.イ・ジェウォン(捕)
8.ワース(遊) ◎
9.キム・ソンヒョン(二)

〈控え〉
(捕手) キム・ミンシク、パク・チョンウ
(内野手) ナ・ジュファン、チェ・スンジュン、△チェ・ジョンミン、△パク・スンウク、イ・デス
(外野手) △キム・ジェヒョン、△チョ・ドンファ、△パク・チェサン、△ハン・ドンミン


注 : ◎は新加入、△は左打者。

 2016年は自身初の本塁打王(40本)を受賞したチェ・ジョン、自身最多の27本塁打・100打点を記録したチョン・ウィユンが打線の中軸となる。比較的狭い本拠地を生かした一発攻勢を志向した打線であったが、機動力には乏しく単発的な攻撃が目立った。それを考慮し新外国人選手も長距離砲ではなく内野のユーティリティープレイヤーのワースと契約した。
 打者で注目されるのはMLB傘下のマイナーリーグに所属し韓国2年目を迎える26歳のキム・ドンヨプである。堂々たる体躯で重量打線の破壊力をさらに高める役割を期待される。控えには実績のあるベテラン選手が多く選手層は決して薄くはないが、投手陣と同様に若手の台頭で新陳代謝を図りたい。


 これまでMLB、日本プロ野球北海道日本ハムなどでコーチ、監督として指導者の実績と経験が豊富なヒルマン新監督は、初となる韓国での指揮でもその手腕を発揮できるのか。チームの大改造の一歩となる重要なシーズンとなりそうだ。


【本拠地】 仁川SK幸福ドリーム球場

 2002年に開場した、総天然芝の美しい野球場。2015年シーズン開幕後、文鶴(ムナク)野球場に代わって現在の名称で呼ばれるようになった。すぐ隣には文鶴競技場があり、2002年FIFAワールドカップ、2014年アジア大会などの会場としても利用された。
 2007年から「Spo-tainment」のキャッチフレーズを掲げ、球場のテーマパーク化を進め、球場内の通路には子供のための遊戯施設もある。球場の南側に小高い山があり、緑豊かな環境のため、レフト外野に芝生席の「グリーンゾーン」も設置されるなど、地球にやさしい「グリーンスポーツ」もテーマとしている。2016年にはセンターバックスクリーン上に「ビッグボード」の愛称で長さ63m、高さ18mもの韓国の野球場では最大級の電光掲示板が新設された。そのほか周囲の案内標識をリニューアルするなど、毎年のように目新しさを感じさせるように努めている。
 座席はレフト側の芝生席以外にも内野のテーブル席、ライト側のバーベキュー席、外野最前列のカップル席など種類が豊富である。







[交通アクセス]
 仁川地下鉄1号線・文鶴競技場(ムナクキョンギジャン)駅から徒歩5分。
 ソウル駅からは仁川方面への首都圏電鉄線の電車に乗り、富平(プピョン)駅で仁川地下鉄1号線に乗り換えて1時間程度で到着。ソウル市内でも江南(カンナム)地区からだと、ソウル地下鉄7号線で終点の富平区庁(プピョングチョン)駅で仁川地下鉄1号線に乗り換えることもできる。
 仁川国際空港からは、空港鉄道(A`REX)に乗り桂陽(ケェヤン)駅で仁川地下鉄1号線に乗り換え、1時間10分程度で到着。また、文鶴競技場前のバス停留所に止まる仁川空港からのバスもある(所要時間1時間前後)。ソウル・金浦(キムポ)空港からも空港鉄道と仁川地下鉄1号線で行くことができ、所要時間45分程度。
 また、国内各都市から近くの仁川総合バスターミナルまで高速バスの便があり、同ターミナルから文鶴競技場駅までは仁川地下鉄1号線で1駅しか離れていないため、大田や光州などの地方都市へのアクセスがよい。また球場周辺には目だった飲食店や店舗はなく、文鶴競技場駅付近には野球開催日になると屋台などが軒を並べる。

(文責 : ふるりん