DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第1回 トゥサンベアーズ

 2016年は21年ぶりの公式戦優勝、チーム史上初の韓国シリーズ連覇を達成したトゥサンベアーズ。年齢的に全盛期を迎えている選手が多く、2017年シーズンも優勝争いの中心となると見られ、初の韓国シリーズ3連覇に挑む。


【投手陣】

〈先発〉 
ニッパート、△ユ・ヒィグァン、△チャン・ウォンジュン、ボウデン
〈リリーフ〉
イ・ヨンチャン、△ハム・トクチュ、チョン・ジェフン、キム・ガンニュル、ホン・サンサム、◎キム・スンフェ、△イ・ヒョンスン

注 : ◎は新戦力、△は左腕
  
 2016年に公式戦優勝の原動力となった先発四本柱は健在だ。2016年シーズンMVP(最優秀選手)・最多勝と自己最高の成績を残し韓国7年目を迎えるニッパート、18勝・最多奪三振(180)の韓国2年目のボウデンと外国人投手2名だけでなく、韓国人左腕ユ・ヒィグァン、チャン・ウォンジュンも健在で、2017年シーズンも他チームの脅威となるのは間違いがない。5人目の先発は左腕ハム・トクチュや他の若手選手で争うとみられる。
 2016年のリリーフ陣は中継ぎがチョン・ジェフン、抑えがイ・ヒョンスンとベテラン2人が軸となっていた。この2人を補佐する存在として2016年9月より軍から除隊され復帰したイ・ヨンチャンがあげられるが、オフシーズンに手術を受けたため3月31日の公式戦開幕に万全の状態で臨めるかは不透明である。海外キャンプで機会を与えられたキム・ミョンシン、パク・チグクなどの新人や若手選手は先発陣と比べてやや手薄なリリーフ陣の一角に食い込むことが当面の目標となろう。


【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.ミン・ビョンホン(右) 
2.オ・ジェウォン(ニ) △  
3.パク・コヌ(中)  
4.キム・ジェファン(指) △ 
5.エバンス(左) 
6.オ・ジェイル(一) △  
7.ヤン・ウィジ(捕) 
8.ホ・ギョンミン(三)
9.キム・ジェホ(遊) 


〈控え〉
(捕手) チェ・ジェフン、パク・セヒョク
(内野手) △チェ・ジュファン、△リュ・ジヒョク、△ソ・イェイル、チェ・ヨンジン
(外野手) ×クク・ヘソン、△キム・インテ、△チョン・ジンホ、△チョ・スヘン

注 : △は左打者、×は両打ち。

 
 上位から下位まで隙のない打線が構成され選手層も厚い。上位打線はチョン・スビンの軍への入隊で走攻守そろったミン・ビョンホンが中核となろう。2016年にチーム最多の37本塁打・124打点を記録したキム・ジェファン、センターのレギュラーに定着したパク・コヌ、外国人打者エバンス(元東北楽天)は、実質2年目のジンクスに陥ることも予想されるため、オ・ジェウォン、正捕手ヤン・ウィジなど周囲の経験豊富な打者たちが支えなくてはならなくなる。その場合にはリュ・ジヒョク、クク・ヘソン、キム・インテなど控えとしての起用が予想される打者たちにもレギュラー定着の機会が巡ってくる。育成能力の高さに定評のあるトゥサンならではの選手起用に注目したい。


 2015年の就任1年目に韓国シリーズ優勝に導いたキム・テヒョン監督は若手の新鋭の指導者として韓国シリーズ3連覇の期待がかかる。いまチームはまさに円熟期にあり、その中で勝ちながら若手や伸び悩む中堅を育てていくことができるか、指導者としての力量が問われる。


【本拠地】  ソウル・蚕室野球場

 首都ソウル特別市の南東部にある韓国を代表する25000人収容の大型野球場。周囲は蚕室総合運動場(ソウルオリンピックスタジアム)や体育館もある総合運動公園であり、プロサッカーKリーグプロバスケットボールKBLの試合も開催されるスポーツのメッカである。この野球場はトゥサンだけでなくLGの本拠地にもなっていて、ライバル意識の強い両チームの対戦は他にない盛り上がりを見せる。また、トゥサン、LGがともに韓国シリーズに出場しなくても、立地を考え観客動員を増やすため第5戦以降はこの球場で開催される規定があったが、各地の大規模な新球場の開場により2016年シーズンから廃止された。内野の場内通路には飲食物の売店のみならずグッズショップもある。
 両翼100m、左・右中間117m、センター125mと韓国の野球場では最大級の広さがあり、ホームランの出にくい球場である。また比較的トゥサンファンは女性率が高く、応援の時は黄色い歓声が球場内に響く。また球場のグッズショップは、売り場が広くないので週末の試合だと外に行列ができていることも珍しくない。

 地下鉄・総合運動場駅側の出入口(外野3塁側)には、プロ野球10球団のグッズを扱っているショップもある。また、野球場から徒歩5分程度の総合運動場の横には野球などのスポーツ用品店が並んでいる商店街があり、試合開始前に時間があれば覗いてみるのもいい。
 球場から地下鉄で1駅離れた2号線三成(サムソン)駅、9号線奉恩寺(ポンウンサ)駅付近にはCOEX(韓国総合貿易センター)モールがあり、昼間はショッピングや食事、夜は野球観戦というプランも立てやすい(野球場から徒歩でも10分少々)。COEXのビル内には都心空港ターミナルがあり、金浦空港・仁川空港へのリムジンバスが頻繁に出ていて、空港からのアクセスも良い。また地下鉄9号線は金浦空港に直通していて、空路で韓国入国後すぐに野球場へ向かうこともできる(仁川空港からは金浦空港で電車を乗り換える必要あり)。







[交通アクセス]
 ソウル地下鉄2号線・9号線総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅、5番出入口の目の前が中央チケット売り場である。ただし9号線ホームは2号線ホームと比べ野球場から離れていて地下深く、徒歩5分前後かかる。
 ソウル駅、鍾路(チョンノ)、明洞(ミョンドン)などソウルの中心街からは、地下鉄2号線などで約40分。江南(カンナム)地区の繁華街からは地下鉄2号線・9号線で10分前後。2016年12月、新しく開通した高速鉄道SRTの水西(スソ)駅からは盆唐(プンダン)線で宣陵(ソルルン)駅まで行き、2号線に乗り換えて20分程度。
 

(文責:ふるりん