2015年は公式戦3位ながら、ポストシーズンを勝ち抜いて14年ぶりに韓国シリーズ優勝を果たした。思わぬ形で王者となったが、オフシーズンには主力打者のキム・ヒョンスがメジャーリーグベースボール(MLB)・ボルティモアオリオールズへと移籍するなど、チームは転機を迎えている。
【投手陣】
〈先発〉
△ユ・ヒィグァン、△チャン・ウォンジュン、ニッパート、◎ボウデン、ノ・ギョンウン、△イ・ヒョンホ
〈リリーフ〉
オ・ヒョンテク、ユン・ミョンジュン、△ハム・トクチュ、◎チョン・ジェフン、キム・ガンニュル、△イ・ヒョンスン
注 ： ◎は新戦力、△は左腕
2015年チーム最多の18勝を記録したユ・ヒィグァンに2年連続で同様の成績を求めるのは厳しい。ポストシーズンは好投を続けたが、公式戦では故障により6勝どまりだった韓国6年目の外国人投手ニッパートの復活に期待がかかる。2015年12勝と活躍したチャン・ウォンジュンが最も安定している。新外国人ボウデン(元埼玉西武)は未知数で、近年不振が続くノ・ギョンウンの復活にも期待がかかる。不安はあるが先発の頭数はそろっていて、他チームがうらやむ陣容ではある。
2015年はシーズン当初抑えが固定されてなかったが、後半からイ・ヒョンスンが定着し韓国シリーズ優勝に貢献した。2016年シーズンも同様の布陣で行くとなると、左腕がやや手薄だがリリーフ陣は盤石となる。かつてリリーフで活躍していたベテランのチョン・ジェフンも、余剰戦力を対象とした2次ドラフトでロッテから復帰している。
【打撃陣】
〈ベストオーダー〉
１．チョン・スビン（中） △
２．パク・コヌ（左）
３．ミン・ビョンホン（右）
４．エバンス（指） ◎
５．オ・ジェイル（一） △
６．オ・ジェウォン（ニ） △
７．ホ・ギョンミン（三）
８．ヤン・ウィジ（捕）
９．キム・ジェホ（遊）
〈控え〉
(捕手) チェ・ジェフン、パク・セヒョク
(内野手) ホン・ソンフン、コ・ヨンミン、△チェ・ジュファン、△リュ・ジヒョク、◎△ソ・イェイル
(外野手) ×クク・ヘソン、キム・ジンヒョン、△チョン・ジンホ、イ・ウソン
注 ： ◎は新加入、△は左打者、×は両打ち。
2008年以降打線の軸として活躍してきたキム・ヒョンスの穴をいかに埋めるかである。現在25歳となり若手の域から脱しつつあるパク・コヌ、2015年自己最多の14本塁打と活躍した左の長距離砲オ・ジェイルに主力としての働きが求められる。また新外国人エバンス(元東北楽天)は、近年トゥサンでは見られない右の長距離砲としての期待がかかる。韓国シリーズ優勝に貢献したチョン・スビン、ミン・ビョンホン、オ・ジェウォン、ヤン・ウィジ、キム・ジェホなどの主力は健在で、外野の層がやや薄く感じるが上位から下位まで切れ目のない打線が構成できる。2015年通算2000本安打を達成した39歳のベテランのホン・ソンフンが精神的支柱となる。
キム・テヒョン監督は監督1年目にして韓国シリーズ優勝を成し遂げ、今後は指揮官としての成熟が求められていく。あまり大型補強はしないが、独自の路線で選手を育成し結果を出していくトゥサンベアーズの野球をさらに発展させられるか、そして2年連続の韓国シリーズ進出・優勝なるかが大きく注目される。
【本拠地】 ソウル・蚕室野球場
首都ソウル特別市の南東部にある韓国を代表する25000人収容の大型野球場。周囲は蚕室総合運動場（ソウルオリンピックスタジアム）や体育館もある総合運動公園であり、プロサッカーＫリーグ、プロバスケットボールＫＢＬの試合も開催されるスポーツのメッカである。この野球場はトゥサンだけでなくＬＧの本拠地にもなっていて、ライバル意識の強い両チームの対戦は他にない盛り上がりを見せる。また、トゥサン、ＬＧがともに韓国シリーズに出場しなくても、立地を考え観客動員を増やすため第5戦以降はこの球場で開催される規定があったが、近年続く新球場の整備により2016年シーズンから廃止される。内野の場内通路には各種の売店のみならず子供用の遊戯施設なども設置されている。
両翼100m、左・右中間117m、センター125mと韓国の野球場では最大級の広さがあり、大変ホームランの出にくい球場である。また比較的トゥサンファンは女性率が高く、応援の時は黄色い歓声が球場内に響く。また球場のグッズショップは、売り場が広くないので週末の試合だと外に行列ができていることがあるが、商品の多様性にはやや乏しい。
地下鉄・総合運動場駅側の出入口(外野3塁側)には、プロ野球10球団のグッズを扱っているショップもある。また、野球場から総合運動場駅と逆の方向に歩いて、総合運動場の横には、野球などのスポーツ用品店が並んでいる一角があり、試合開始前に時間があればのぞいてみるのもいい。
球場から地下鉄で1駅離れた2号線三成(サムソン)駅、9号線奉恩寺(ポンウンサ)駅付近にはCOEX(韓国総合貿易センター)モールがあり、昼間はショッピングや食事、夜は野球観戦というプランも立てやすい(野球場から徒歩でも10分少々)。COEXのビル内には都心空港ターミナルがあり、金浦空港・仁川空港へのリムジンバスが頻繁に出ていて、空港からのアクセスも良い。また地下鉄9号線は金浦空港に直通していて、空路で韓国入国後すぐに野球場へ向かうこともできる（仁川空港からは金浦空港で電車を乗り換える必要あり）。
［交通アクセス］
ソウル地下鉄2号線・9号線総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅、5番出入口の目の前が中央チケット売り場である。ただし9号線ホームは2号線ホームと比べ野球場から離れていて地下深く、徒歩5分前後かかる。
ソウル駅、鍾路(チョンノ)、明洞(ミョンドン)などソウルの中心街からは、地下鉄2号線などで約40分。ソウル・江南(カンナム)地区の繁華街からは地下鉄2号線・9号線で10分前後。
（文責 ： ふるりん）
