DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第4回 LGツインズ

「最下位からの大反撃」 
2014年成績 : 62勝64敗2分け(公式戦4位・プレーオフ敗退)
チーム総合採点…70点


 2013年、11年ぶりのポストシーズン進出を果たし長い低迷から抜け出したかに見えたLGツインズ。だが先発の軸として活躍してきた外国人投手リズが開幕前のキャンプ中の故障により退団し、暗雲が立ち込めていた。

 
 3月29日のトゥサンとの開幕戦は、やむを得ずベテランのキム・ソヌを先発に起用したが敗れた。翌30日のトゥサン戦は期待の高卒新人イム・ジソプが先発勝利をおさめたが、長続きしなかった。リズの代役の新外国人投手ティーフォードの契約も4月と遅れ勝てなくなり、4連敗で最下位に沈んでいた4月23日、キム・ギテ監督が突如辞任した。
 5月11日、ヤン・サンムン新監督が就任し勝率3割前半のチームの立て直しを図ることになった。少しずつ勝率をあげていき、6月15日のSK戦で15-2と大勝し、ようやくハンファを抜いて最下位を脱出した。公式戦128試合のうち半分の64試合を消化した6月24日のNC戦では、相手の先発チャーリーにノーヒットノーランを喫してしまい、25勝38敗1分けで勝率.397の8位と、2年連続のポストシーズン進出(公式戦4位以上)を願ってやまない者がいたとしたら、それは現実離れした夢を見ていると言われてもしかたのない状況だった。
 7月になり、開幕当初は打撃好調だったが不振に陥った外国人打者ベルを解雇し、新外国人打者スナイダーと契約した。7月初めに2014年初の6連勝でSKを抜いて7位に浮上し、ロッテ、トゥサン、キアなど4位−6位のチームの調子が上がらないこともあり、肉薄していった。投手コーチの経歴が長いヤン・サンムン監督はリリーフを中心に投手陣を立て直し、安定した戦いができるようになっていった。7月25日にはキアを抜いて6位に浮上した。
 8月初めにはトゥサンを抜いて5位まで浮上し、勝率4割台後半まで上げてきた。一時期4連敗で6位に後退したが、8月後半には勝率4割台の混戦の争いで4位にまで浮上した。チョン・ソンフン、パク・ヨンテク、イ・ジニョンなど経験豊富な打者たちが夏場を過ぎても好調を維持し、チームの上昇に貢献した。9月になっても混戦は続き、トゥサン、ロッテ、SKとの4位争いは終盤までもつれていった。
 10月になると、4位争いはSKとのマッチレースとなった。その中で、6日のNC戦で先発シン・ジョンナク、ユ・ウォンサン、シン・ジェウンと3名の投手によるプロ野球史上初の継投ノーヒットノーランを達成した。この試合は9回裏イ・ジニョンのサヨナラタイムリーで1-0と勝利し、継投で接戦をものにする2014年のLGを象徴するような内容だった。11日のトゥサン戦で勝利し勝率はついに5割を超えた。SKとの4位争いは10月17日の最終戦までもつれ、ロッテ相手に敗れたがSKも敗れたため4位が確定し、勝率5割未満でありながらも2年連続ポストシーズン進出が決定した。公式戦後半の64試合は37勝26敗1分けで勝率.587と、序盤の低迷を考えるとまさに大反撃であった。
 
 
 10月19日からの準プレーオフでは、公式戦3位のNCと対戦した。敵地・馬山での第1戦は14-2と大勝し、雨で2日間流し22日に順延となった第2戦は、ウ・ギュミンの好投もあり4-2と接戦を制し、敵地で2勝をあげた。本拠地・蚕室に舞台を移した第3戦こそ3-4で敗れたが、第4戦はリュ・ジェグクの好投と打線の爆発で11-3と大勝し、3勝1敗でプレーオフの進出を決めた。2013年はトゥサンとの準プレーオフで経験不足を露呈し敗れ去ったが、1年後はポストシーズン初出場となったNC相手に経験の差を見せつけた。また公式戦ではわき役だったスナイダーや、チェ・ギョンチョルが準プレーオフMVP(最優秀選手)受賞と、意外な選手の活躍も目立った。
 ネクセンとのプレーオフに勝利すれば、プロ野球史上初公式戦勝率5割未満で韓国シリーズに進出することになったが、投打にタレントがそろうネクセンとの戦いは苦しいものになった。敵地・木洞での第1戦はリードしていたがリリーフのチョン・チャンホンが打たれ3-6で敗れた。第2戦はシン・ジョンナクの好投で9-2と勝利し、対戦成績を1勝1敗とした。本拠地・蚕室に舞台を移した第3戦は2-6で敗れると、第4戦は2-12で大敗した。4位争いを制した勢いは続かずプレーオフ敗退が決まり、2002年以来12年ぶりの韓国シリーズ進出はならなかった。

 
 LGの強みはチーム防御率4.58が9球団中3位だった投手陣にあった。しかし先発投手の防御率は4.83とやや高かった。チーム最多勝(11勝)のアンダーハンドのウ・ギュミン、韓国2年目の元メジャーリーガーのリュ・ジェグク(9勝)、外国人投手リオーダン(9勝)やティーフォード(5勝)などの先発投手が活躍したが、傑出した成績を残した投手はいなかった。
 心もとない先発陣に比べ、リリーフ陣は防御率が4.23と比較的安定していた。中継ぎの軸は左腕シン・ジェウン(8勝)と右のイ・ドンヒョンであり、ほかにも右のユ・ウォンサン、チョン・チャンホン、左のアンダーハンドのユン・ジウンなどが粘り強く投げ試合を壊さなかった。守護神にはベテランのポン・ジュングン(30セーブ)が健在だった。

 LGはチーム打率.279のみならず、広い蚕室野球場を本拠地としているため本塁打数90も9球団中最下位と破壊力はなかった。さらに得点668も7位と得点力が高いとは言えなかったが、経験豊富な選手がそろっていた。チームの二冠王(16本塁打・87打点)イ・ビョンギュ(背番号7)が4番として特に終盤戦勝負強い打撃を見せた。ベテランのパク・ヨンテク、イ・ジニョンなどが周りを固め、要所での活躍を見せた。俊足で出塁率の高い適任の選手がいなかったため、これまたベテランのチョン・ソンフンが1番を打った。大ベテランのイ・ビョンギュ(背番号9・元中日)は出場機会が減ったが、野手最年長として存在感があった。脇役としてサードのソン・ジュイン、ショートのオ・ジファンなど意外性のある打者もいた。捕手はベテランのチェ・ギョンチョルが自身初の100試合以上出場と、思わぬ活躍を見せた。

 
 オフシーズンの動きとしてはまず、近年出場機会が減っていた内野のパク・キョンスがFAでKTへ移籍した。また2014年の外国人選手は3人とも再契約せず、キアやネクセンで活躍したヘンリー・ソーサ投手、米国メジャーリーグでの実績があるルーカス・ハレル投手、ジャック・ハナハン内野手の新外国人選手3人と契約した。また近年先発として活躍していたウ・ギュミン、リュ・ジェグクの2名が手術を受け、2015年シーズンの開幕に間に合わないとみられている。
 2015年のLGは戦力的に未知数の部分が多いが、2014年最下位から4位にまで這い上がったのは地力のある証拠である。経験豊富な野手が高齢化していて不安は残るが、次代を担う若手の起用も進めつつ、2015年こそは序盤から安定した成績を残し3年連続ポストシーズン進出が目標となるであろう。
 
 
 
(文責:ふるりん)