DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第3回 NCダイノス

「2年目の飛躍」 
2014年成績 : 70勝57敗1分け(公式戦3位・準プレーオフ敗退)
チーム総合採点…80点


 一軍参加初年度の2013年、キム・ギョンムン監督のもと手薄な戦力ながら7位と健闘した新球団NCダイノスは、オフシーズンにイ・ジョンウク、ソン・シホンのFA選手2名と契約するなど補強に成功したこともあり、2014年は2年目の飛躍が期待された。また新球団の特例で、2014年まで他球団より1名多い4名の外国人選手と契約できるアドバンテージもあった。

 
 開幕後は順調だった。韓国2年目のチャーリー、エリック、新外国人ウェーバー、2013年新人王イ・ジェハクを中心とした先発ローテーション、新外国人テームズ、ナ・ソンボムなどを軸とした強力打線がかみあい、5月になっても勝率6割前後をキープし、サムソン、ネクセンなどの首位争いに加わった。課題だったリリーフ陣も抑えのキム・ジンソン、中継ぎのイ・ミンホ、ウォン・ジョンヒョン、ソン・ジョンウクなどの起用で層を厚くした。
 6月24日のLG戦で、チャーリーが球団史上初、外国人選手史上初のノーヒットノーランの快挙を達成した。プロ野球9球団でも2000年以来14年ぶり11人目であった。この日で公式戦128試合の半分にあたる64試合を消化し、39勝25敗、勝率.604の2位、首位サムソンと4ゲーム差と、2011年の球団創設から3年余りで韓国シリーズ進出も夢ではない位置につけていた。だが6月末に初の4連敗を喫してから調子が落ちていった。
 夏場を迎え後半戦に入り、厳しい上位争いをしたことのないチームは懸念されていた体力と経験不足を露呈しだし、7月5日ネクセンに抜かれ3位に後退すると2位以上に浮上することはなかった。シーズン前半勝ち星を積み重ねていった先発陣も思うように勝てなくなっていった。
 8月24日のトゥサン戦で球団史上初の6連勝と2位ネクセン、首位サムソンを追撃するかに思われたが、その後9月6日のキア戦まで7連敗と失速した。4位以下が勝率5割前後の争いになったこともあり、3位NCは勝率5割中盤のまま公式戦を終え、球団史上初のポストシーズン進出を果たした。シーズン後半64試合は31勝32敗1分けと負け越し、シーズンを通して安定した強さを発揮できなかった。


 初出場となった10月19日からの準プレーオフでは、公式戦4位のLGと対戦した。、本拠地・馬山での第1戦は、シーズン後半調子を落とし、仁川アジア大会でも結果を残せなかったイ・ジェハクが1回持たず降板してしまい、4-13と大敗した。雨で2日間流れ、10月22日に延期された第2戦は、1点差を追いかけている9回表、若手のパク・ミヌが平凡なフライを取れず追加点を与え、2-4で敗れた。
 敵地・蚕室に舞台を移した第3戦は、経験豊富なベテランのイ・ホジュンの2ランなどで4-3と球団史上ポストシーズン初勝利をあげた。第4戦は中盤まで接戦だったが、中継ぎ陣が打たれて3-11の大敗を喫し、1勝3敗で準プレーオフの敗退が決まった。敗因は若いチームならではの大舞台の経験不足の一言に尽き、トゥサンで5度ポストシーズンの指揮経験があるキム・ギョンムン監督をもってしてもいかんともしがたかった。

 
 NCの3位進出の原動力はチーム防御率4.29が9球団中1位だった投手陣にあった。
 ノーヒットノーランを達成したチーム最多勝のチャーリー(12勝)、ウェーバー(9勝)、エリック(8勝)の外国人投手3人に、2年連続で10勝をあげたイ・ジェハクと、先発四本柱が確立していた。
 39歳のベテラン、ソン・ミンハンは54試合に登板し、若い選手の多い投手陣を支えた。チーム最多の74試合に登板した右のウォン・ジョンヒョンだけでなく、イム・チャンミン、イ・ミンホ、左のソン・ジョンウク、ベテランのイ・ヘェチョン(東京ヤクルト)と中継ぎ陣も活躍した。抑えはキム・ジンソンがシーズンを通して定着し、25セーブをあげた。


 打線はNCがチーム打率.282で7位だが得点737は3位と爆発力があった。狭い本拠地・馬山野球場を生かした一発攻勢も得意でチーム本塁打数143は3位で、キム・ギョンムン監督が得意とする機動力野球も浸透し盗塁154は2位だったた。得点圏打率も.297と高かった。

 打線の軸はチーム二冠王の外国人打者テームズ(37本塁打・121打点)、一軍2年目で仁川アジア大会韓国代表にも選ばれたナ・ソンボム(30本塁打・101打点)で、ベテランの長距離砲イ・ホジュン(23本塁打)、クリーンアップの後に控えていたモ・チャンミン(15本塁打)などタレントがそろっていた。21歳にしてセカンドのレギュラーとなり、50盗塁を記録したパク・ミヌは、2013年のイ・ジェハクに続いて2年連続NCからの新人王として選出された。トゥサンからFA移籍してきたイ・ジョンウク、ソン・シホンも安定した活躍を見せた。その他に上位を打つことが多かった快足のキム・ジョンホ、パンチ力のあるクォン・ヒィドン、内野のユーティリティープレイヤーのチ・ソックンなど、野手の層は厚かった。正捕手はキム・テグンがNC移籍後2年連続100試合に出場し、投手陣の安定に貢献した。

 
 新球団KTウィズが初めて一軍に参加することになり、2014年ポストシーズンにも進出したNCから新球団というイメージは急速に薄れている。また2015年シーズンより外国人選手も他球団と同じ3名となるため、先発として活躍したウェーバーを退団させた(チャーリー、エリック、テームズとは再契約)。アドバンテージもなくなり、他球団の警戒もさらに厳しくなることが予想される中、NCダイノスは3年目のさらなる飛躍のため、キム・ギョンムン監督が得意とする若手の抜擢と成長が望まれる。
 
 
(文責:ふるりん)