今回は、2011年10月、韓国初の独立球団として誕生した高陽(コヤン)ワンダーズの様子を紹介します。
高陽ワンダーズは、ソウル郊外の一山(イルサン)ニュータウンの西にある国家代表野球練習場を本拠地とし、2012年シーズンからプロ野球の2軍と非公式試合で対戦しています。
(日本でいう独立リーグのようなプロ野球リーグは、2013年現在韓国には存在しません)
アクセスは、首都圏電鉄3号線(ソウル地下鉄3号線)の終点・大化(テファ)駅から徒歩10分程度です。
(ソウルの鍾路・東大門などの都心部からは40分程度です。江南地区からは1時間10−20分程度です。)
野球場は公園の中にあり、1000人程度は収容できる小さなスタンドもあります。管理人が観戦した時は入場無料でしたが、土日は有料です(入場料は野球振興のために寄付されます)。
この高陽ワンダーズは、プロ野球に行けなかった、あるいは解雇された選手にチャレンジの機会を与えよう、ということで創設され、近隣に本社があるゲーム会社が出資した慈善事業のようなものです。
現に2012年、2013年の2シーズンで15名以上の選手がプロ野球チームと契約し、中には1軍で出場した者もいます。
その中の一人が、ネクセンのアン・テヨン選手です。
8月後半は2軍にいましたが、2013年シーズンは7月27日のサムソン戦で1軍初本塁打などを記録し、今後の活躍が期待できます。
平日ということで観客は非常に少なかったですが、たまたま観客席に日本の独立リーグでプレーしたことのある韓国人選手の方がいらっしゃったため、いろいろとお話を伺うことができました。
その方は9月に新球団・KTウィズのトライアウトを受験するとおっしゃっていました(残念ながら不合格だったようです)。
試合はネクセンの先発ペ・ヒムチャンが打たれ、9-2で高陽が勝利しました。なお、全日程を終了した2013年シーズンの高陽の成績は27勝15敗6分けと、2軍相手とは言えかなりの好成績です。
なお、高陽は複数の外国人選手とも契約しています。2013年シーズンは日本人の小林亮寛投手(元千葉ロッテ)をはじめ、ルイス・ゴンザレス(元横浜)、ディオーニ・ソリアーノ(元広島)、オシリス・マトスが所属していました。
全員投手で、この日は先発マトスが8回途中まで2失点に抑え、小林投手が2番手として相手の反撃を断ちました。
小林投手はアメリカ、カナダ、台湾、日本の独立リーグなどを渡り歩いた苦労人で、2012年シーズンから高陽に所属しています。
このチームを率いるのはSKで3度の韓国シリーズ優勝を果たした名将キム・ソングン監督です。在日韓国人であるため、SK時代と同じく河野敬幸コーチ、広橋公寿コーチなど複数の日本人コーチを呼び、もちろん韓国でも長年実績のあるコーチも指導しています。
試合後、キム・ソングン監督は外で待っていたファンたちにサインをしていました。
2014年シーズンも高陽ワンダーズは活動を続ける予定で、すでに選手のトライアウトも行っています。
今後も多くの選手たちに機会を与え、韓国野球界の底上げに貢献して欲しいです。
(文責 : ふるりん)