2012年は公式戦4位だったが、準プレーオフでトゥサンに勝利し、4年連続で跳ね返されてきたポストシーズンの壁を乗り越えた。だが、プレーオフでは地力に勝るSKを最後で押しきれず、韓国シリーズ出場はならなかった。そのためオフにはヤン・スンホ監督が辞任し、ネクセンを率いていたキム・シジン新監督が就任した。さらにホン・ソンフン、キム・ジュチャンと2人の主力野手がFAで移籍してしまい、戦力ダウンが懸念されている。
【投手陣】
〈先発〉
ソン・スンジュン、◎△ユーマン、コ・ウォンジュン、◎オクスプリング、イ・ジェゴン
〈中継ぎ〉
△カン・ヨンシク、△イ・ミョンウ、◎キム・スンフェ、チン・ミョンホ、キム・ソンベ、◎ホン・ソンミン
〈抑え〉
キム・サユル、チョン・デヒョン
注 : ◎は新加入、△は左腕
先発陣はベテランのソン・スンジュン、2012年チーム最多の13勝をあげた外国人左腕ユーマンが軸となる。当初契約した外国人投手リッチモンドは、キャンプ中の膝の故障で退団となり、代役はかつてLGで活躍したオクスプリング(元阪神)となった。ただそのあとの先発投手がこころもとなく、まだ22歳のコ・ウォンジュンの一本立ちに期待したい。
リリーフ陣は、トゥサンへ移籍したホン・ソンフン、キアへ移籍したキム・ジュチャンの人的補償として獲得したキム・スンフェ、ホン・ソンミンの加入により、層が厚くなった。抑えは2012年34セーブをあげたキム・サユル、ポストシーズンで好投しアンダースローのチョン・デヒョンのどちらかが起用されると思われる。
【打撃陣】
(ベストオーダー)
1.チョン・ジュヌ(中)
2.チョ・ソンファン(二)
3.ソン・アソプ(右)△
4.カン・ミンホ(捕)
5.パク・チョンユン(一) △
6.チャン・ソンホ(指) ◎△
7.ファン・ジェギュン(三)
8.キム・ムンホ(左)
9.パク・キヒョク(遊)
〈控え〉
(捕手)ヨン・ドカン、キム・サフン
(内野手)×パク・チュンソ、チョン・フン、ソン・ヨンソク、ムン・ギュヒョン、チョン・ボミョン
(外野手)△イ・スンファ、ファン・ソンヨン、△キム・デウ、△◎コ・ドヨン
注 : ◎は新加入、△は左打者、×は両打ち。
4年間主軸打者を務めたホン・ソンフン、5年以上外野のレギュラーを務めたキム・ジュチャンがともにFAでチームを去ってしまった。その穴を埋めようと、キア、ハンファで活躍し2012年2000安打を達成したチャン・ソンホをトレードで獲得した。またかつてショートのレギュラーとして活躍していたパク・キヒョクが軍から復帰するなど、希望がないわけではない。
4番は2012年チーム最多の19本塁打を記録した正捕手カン・ミンホが任される。なお、控え捕手としてヨン・ドカンもおり、指名打者での出場も考えられる。その他にも2013WBC(ワールドベースボールクラシック)韓国代表にも選ばれたチョン・ジュヌ、ソン・アソプの外野2人が上位を打ち、パク・チョンユン、ファン・ジェギュンも5番以下としては怖く、打線の迫力は以前より劣っているとは言えない。
ロッテジャイアンツは比較的監督の寿命が短く、比較的ロッテ出身者の指導者を重んじるところがある。過去ロッテに在籍したことがあるとはいえ、長年現代、ネクセンで指揮を執ってきたキム・シジン監督が指導力を発揮できるか、そして20年以上優勝から遠ざかっているチームに勝利をもたらすことができるか注目したい。
【本拠地】
釜山・社稷野球場
韓国第2の都市・釜山(プサン)は韓国のみならず、アジアを代表する貿易港として近年国際的な地位が向上している。また野球の盛んな都市として知られ、その釜山市民の期待を一身に受けるロッテの本拠地・社稷(サジク)野球場は、チームが好調だと3万人の大観衆で球場が埋まり、韓国、いや世界一とも言われる熱狂的な応援を繰り広げ、その独特の光景は野球ファンなら一度は見ておきたい。
ファンたちは新聞紙をちぎってボンボン状のふさを作り、試合後半になると配布されるオレンジ色のビニール風船を振り回すか頭にかぶるなどして、世界でも類を見ない独特の応援風景を作り上げる。また終盤には「釜山港へ帰れ(プサンハンヘ トラワヨ)」、「釜山のカモメ(プサンカルメギ)」などのご当地ソングが歌われ、雰囲気を盛り上げる。また釜山や周辺の慶尚南道出身者の多いソウルでも、蚕室野球場のロッテ戦の際は3塁側内野席のほうが、ホーム応援席の1塁側内野席より盛り上がっていることもある。なお、釜山から西へ50kmほどの地方都市・馬山(昌原市)に新球団NCダイノスが誕生し、2013年シーズンから同じ地域のライバルとしてこの2チームの対戦は新たなプロ野球の黄金カードとなりそうだ。
近年社稷野球場は8球団一の観客動員数を受け、新しいグッズショップのオープンなど施設の拡充を図った。入場料金は2012年シーズンと比べて席の種類や料金に変更がある。内野は全席指定席制となっていて、プレミアム席(バックネット裏下段)が40000ウォン、R指定席が30000ウォン、S・A指定席が1万2000ウォン、B・C指定席が10000ウォンである。また、グラウンドにせり出した内野エキサイティングゾーンは30000ウォンである。自由席(外野、バックネット裏上段)は7000ウォンとなっている。また家族席は1人あたり中央部が25000ウォン、3塁側が20000ウォン(最大5人まで)、カップル席(2人用)が80000ウォンとなっている。
(3月24日現在の為替レート:1万ウォンが約844円。)
4月、5月のシーズン序盤だけでなく、夏場以降ロッテが上位に残れば、土日・祝日(17時試合開始)はかなりの混雑が予想され、入場券売り場には長打の列ができることが予想される。その際は試合開始2時間前くらいに球場へと到着することをお勧めする。
なお、球団の歴史を展示したロッテジャイアンツ博物館が球場正面入り口横にあり、試合開始前に入場して見学することができる。1982年の球団創設から現在まで活躍した歴代の名選手たちのユニフォームや実使用の野球道具、過去の貴重な映像などを見ることができる。
[交通アクセス]
釜山地下鉄3号線・社稷(サジク)駅下車徒歩5分、総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅下車徒歩8分。
KTXや長距離列車が発着する釜山駅から社稷駅まで、地下鉄1号線に乗り蓮山洞(ヨンサンドン)駅で3号線に乗り換え30分弱。なお、大邱など近隣の地方都市に列車で行く場合は、地下鉄3号線社稷駅から15分ほどで着く亀浦(クポ)でセマウル号などに乗車でき、釜山駅に出るより早い。長距離バスが発着する総合バスターミナル近くの釜山地下鉄1号線・老圃洞(ノポドン)駅からは同じく蓮山洞駅で乗り換え、30分弱。
球場の周囲は大型ショッピングセンターなど商店も多く食堂なども多いが、釜山広域市でも最大級の繁華街・西面(ソミョン)へは地下鉄3号線と1号線を乗り継いで20分程度で到着する。また東に少し離れた東莱(トンネ)地区には温泉ホテルが建ち並び、ビジターチームの選手たちが宿泊していることもある。釜山市内のロッテ百貨店にはロッテジャイアンツコーナーがあり、ユニフォームやTシャツの関連グッズを買えるようになった。
(文責:ふるりん)