2010年シーズンは、公式戦4位で3年連続ポストシーズン進出に成功したが、3年連続準プレーオフ敗退と短期決戦での弱さが目立ち、史上初の外国人監督だったロイスター監督は退任となった。代わりにロッテとはそれまでまったく縁のなかったヤン・スンホ新監督が就任し、心機一転し2011年シーズンこそポストシーズンでも勝てるチームに生まれ変わり、19年ぶりの韓国シリーズ優勝を目指すことになった。
【投手陣】
〈先発〉
ソン・スンジュン、△チャン・ウォンジュン、サドースキー、コーリー、イ・ジェゴン、キム・スワン
〈中継ぎ〉
△カン・ヨンシク、キム・イリョプ、ペ・ジャンホ、△ホ・ジュンヒョク(背番号20)、ホ・ジュンヒョク(背番号56)、イム・ギョンワン
〈抑え〉
コ・ウォンジュン、キム・サユル
注 : △は左腕
2010年2ケタ勝利をあげたソン・スンジュン、チャン・ウォンジュン、サドースキーの3本柱に、練習試合や示範競技で好投を続ける新外国人コーリー(元千葉ロッテ)が加わり、先発投手陣は厚みを増した。また2010年台頭したイ・ジェゴン、キム・スワンの若手右腕2人も頼もしい。またかつてのエースで、2010年は故障で1試合も1軍登板できなかったソン・ミンハンの復活も期待したいが、開幕1軍から外れることが決まった。
ロッテ投手陣の課題はリリーフであり、2010年は抑えや必勝の継投パターンを固定できず苦戦した。だがオフにトレードでネクセンから有望な若手コ・ウォンジュンを獲得し、2010年シーズン終盤に抑えを任された未完の大器キム・サユルと、この2人が守護神候補となり明るい兆しが見えてきた。左腕カン・ヨンシク、左右のホ・ジュンヒョク、サイドハンドのイム・ギョンワンなど中継ぎ陣は頭数がそろっている。
【打撃陣】
(ベストオーダー)
1.キム・ジュチャン(左)
2.イ・スンファ(中) △
3.チョ・ソンファン(二)
4.イ・デホ(指)
5.ホン・ソンフン(左)
6.カン・ミンホ(捕)
7.チョン・ジュヌ(三)
8.ファン・ジェギュン(遊)
9.パク・チョンユン(一)△
(控え)
チャン・ソンウ、パク・チュンソ、ムン・ギュヒョン、チョン・ボミョン、パク・チンファン、△ソン・アソプ、ファン・ソンヨン、△イ・イング
注 : △は左打者、×は両打ち。
2008年から2010年まで打線の核となっていた外国人打者ガルシアが退団し、外野にあいた穴をどう埋めるかが課題だ。そのため、2009年のロッテ移籍後主に指名打者として活躍していたホン・ソンフンが、春季キャンプからレフト転向を試みている。また2010年は外野で出場していたチョン・ジュヌが、元のポジションのサードに戻るなど、ポジションは大きく動いているため、あまり守備力の高いチームではないため連携に不安が残る
打線の核は言うまでもなく、2010年自身2度目の打撃三冠王となったイ・デホである。オフにはFA(フリーエージェント)の権利を獲得することが濃厚で、自身の去就をかけた重要なシーズンとなる。2010年65盗塁を記録した快足のキム・ジュチャン、打線の火付け役チョ・ソンファン、強打の捕手カン・ミンホなどタレントはそろっているが、控えとレギュラーの差が決して小さくなく、主力が誰か不振に陥ると、信じられないくらい打線が機能しなくなるという致命的な弱点をどう克服するかが見ものだ。
数年前の低迷から脱し、ロイスター、ヤン・スンホ監督と外部の血を入れ徐々にチーム力を向上させている人気球団ロッテジャイアンツ。熱狂的な応援で知られる釜山市民たちの期待も高まり、4月2日社稷野球場での開幕戦は、前売り分の入場券18000枚あまりが1時間足らずで完売した。示範競技は3年連続首位で終え勢いはあり、念願の公式戦初優勝、19年ぶりの韓国シリーズ優勝を達成するには、投打ともに円熟期に差し掛かった選手が多い2011年こそ最大のチャンスである。
【本拠地】
釜山・社稷野球場
韓国第2の都市・釜山(プサン)は野球の盛んな都市として知られ、野球好きな釜山市民の期待を一身に受けるロッテの本拠地・社稷(サジク)野球場は、チームが好調だと3万人の大観衆で球場が埋まり、韓国随一と呼ばれる熱狂的な応援が見られる。2010年は前年までの熱気はやや冷めたか観客動員数は減少したが、それでも土日や祝日には大勢のロッテファンが詰め掛けた。
ファンたちは新聞紙をちぎってボンボン状のふさを作り、試合後半になると配布されるオレンジ色のビニール風船を振り回すか頭にかぶるなどして、世界でも類を見ない独特の応援風景を作り上げる。また終盤には「釜山港へ帰れ(プサンハンヘ トラワヨ)」、「釜山のカモメ(プサンカルメギ)」などのご当地ソングが歌われ、雰囲気を盛り上げる。また釜山や周辺の慶尚南道出身者の多いソウルでも、蚕室野球場のロッテ戦の際は3塁側内野席のほうが、ホーム応援席の1塁側内野席より盛り上がっていることもある。
近年社稷野球場は8球団一の観客動員数を受け、新しいグッズショップのオープンなど施設の拡充を図った。蚕室野球場と同じように内野は指定席制となっていて、R指定席(バックネット裏下段)が2万5000ウォン、P指定席(バックネット裏下段)が1万5000ウォン、S・A指定席が1万ウォン、B指定席が8000ウォンである。また韓国初の内野エキサイティングゾーンは25000ウォンである。自由席(外野、バックネット裏上段)は7000ウォンとなっている。また家族席が1人あたり15000ウォン(最大5人まで)、カップル席が50000ウォンとなっている。
4月、5月のシーズン序盤だけでなく、夏場以降ロッテが上位に残れば、土日・祝日(17時試合開始)はかなりの混雑が予想され、入場券売り場には長打の列ができることが予想される。その際は試合開始2時間前くらいに球場へと到着することをお勧めする。
なお、球団の歴史を展示したロッテジャイアンツ博物館が球場正面入り口横にあり、試合開始前に入場して見学することができる。1982年の球団創設から現在まで活躍した歴代の名選手たちのユニフォームや実使用の野球道具、過去の貴重な映像などを見ることができる。
[交通アクセス]
釜山地下鉄3号線・社稷(サジク)駅下車徒歩5分、総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅下車徒歩8分。
KTXや長距離列車が発着する釜山駅から社稷駅まで、地下鉄1号線に乗り蓮山洞(ヨンサンドン)駅で3号線に乗り換え30分弱。なお、KTXは2010年11月に専用の高速路線が開通し、比較的野球場に近い亀浦(クポ)駅に停車する列車は大きく減ったので注意が必要。総合バスターミナル近くの釜山地下鉄1号線・老圃洞(ノポドン)駅からは同じく蓮山洞駅で乗り換え、30分弱。
球場の周囲は大型ショッピングセンターなど商店も多く食堂なども多いが、釜山でも最大級の繁華街・西面(ソミョン)へは地下鉄3号線と1号線を乗り継いで20分程度で到着する。西面のロッテ百貨店釜山本店には、ロッテジャイアンツコーナーがあり、ユニフォームやTシャツの関連グッズを買えるようになった。
(文責 : ふるりん)