DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2019年 シーズン展望 第7回 ロッテジャイアンツ

2年ぶりのポストシーズン、20年ぶりの韓国シリーズ進出へ

 

 2018年は7位に終わり、2年連続ポストシーズン進出に失敗しチョ・ウォヌ監督は退任、2005年以来13年ぶりにヤン・サンムン監督が再任した。最後の韓国シリーズ優勝(1992年)から26年あまりが過ぎ、最後の韓国シリーズ出場も1999年となった。優勝をかけた大舞台から遠ざかり20年が過ぎようとしているロッテジャイアンツにはいつ3度目の栄冠は輝くのであろうか。
 

 

【投手陣】

〈先発〉 
△ラリー、◎トンプソン、キム・ウォンジュン、チャン・シファン、パク・シヨン、ソン・スンジュン
〈リリーフ〉
オ・ヒョンテク、パク・チンヒョン、ク・スンミン、△コ・ヒョジュン、◎△パク・クンホン、◎ソ・ジュヌォン、ユン・ソンビン、ソン・スンナク

注 : ◎は新加入、△は左腕
 先発投手陣の軸は、韓国5年目を迎える外国人選手ラリーとなる。2018年は11勝を記録するも内容はよくなかったため、2019年は安定した投球が求められる。新外国人選手のジェイク・トンプソンはまだ25歳も、MLB(メジャーリーグベースボール)・フィラデルフィアフィリーズで2018年までに30試合登板し通算7勝と韓国での成長と飛躍を期待させる。だが韓国人の信頼できる先発が少なく、2018年にようやく自身最多の8勝を記録した25歳のキム・ウォンジュンがエース格となり、非常に心もとない。そのためチャン・シファン、パク・シヨンなどリリーフ陣を先発へ転向させる方針となった。
 さりとてリリーフ陣も層が厚いとはいえない。2016年から守護神として活躍しているソン・スンナクも37歳となり、年齢的に不安を隠せなくなっている(あと15セーブでオ・スンファンのプロ野球個人通算最多セーブ記録・277セーブに並ぶ)。33歳のオ・ヒョンテクは2018年に最多ホールド(25)の個人タイトルを受賞し中継ぎの柱となったが、2年連続での活躍は不透明だ。こうしたチーム状況を考えると、高校時代にU-18韓国代表で活躍した高卒新人ソ・ジュヌォンがサイドハンドからの直球を武器として早いうちに一軍での登板機会を与えられるかもしれない。


【打撃陣】

<先発予想>

1.ミン・ビョンホン(中)   
2.チョン・ジュヌ(左)
3.ソン・アソプ(右) △
4.イ・デホ(一)  
5.チェ・テイン(指) △
6.ハン・ドンヒィ(三)
7.アスアヘ(二) ◎△
8.キム・ジュンテ(捕) 
9.シン・ボンギ(遊) 

〈控え〉
(捕手) ナ・ジョンドク、アン・ジュンヨル
(内野手) △キム・ドンハン、チョン・フン、ムン・ギュヒョン、チョン・ビョンウ、オ・ユンソク
(外野手) △キム・ムンホ、△ナ・ギョンミン、△イ・ビョンギュ、△チョ・ホンソク

注 : ◎は新加入、△は左打者。
 
 不動の4番打者イ・デホ(元福岡ソフトバンク)を軸にミン・ビョンホン、ソン・アソプ、チョン・ジュヌと2013年以降の野球韓国代表経験者をそろえた外野陣による上位打線は圧巻である。新外国人選手アスアヘは長打力よりも二塁の守備での期待が大きい。2018年のロッテはリーグ最多の失策数だった。

 若手で期待がかかるのはプロ2年目の19歳、ハン・ドンヒィである。2018年は高卒新人ながら一軍で87試合に出場し、才能の片鱗を見せた。攻守にスケールアップを果たし三塁のレギュラー定着を果たしたい。

 カン・ミンホが移籍して弱点となった捕手は、兵役を終えて軍から除隊されたキム・ジュンテの復帰で層が厚くなった。21歳のナ・ジョンドク、23歳のアン・ジュンヨルとの正捕手をめぐる争いも見ものだ。

 レギュラークラスの野手はSK、トゥサンなどの優勝候補に見劣りしないが、下位打線や控えには弱さが見られる。不安定な投手陣を考えるといくら点数があっても足りなく感じられるかもしれない。

 

 

 ヤン・サンムン監督にとって最大の課題は、2018年に低迷した最大の要因となった投手陣の整備である。LGで監督経験があり、投手コーチとして高い評価を得てきたヤン・サンムン監督の手腕が発揮されると信じたい。2年ぶりのポストシーズン進出、そして1999年以来20年ぶりの韓国シリーズ進出で、優勝争いをすると満員の観客で沸き返る本拠地・社稷(サジク)野球場を熱狂の渦に巻き込むことはできるのだろうか。

 


【本拠地】
釜山・社稷野球場
 韓国第2の都市・釜山(プサン)は韓国のみならず、アジア屈指の貿易港として発展を遂げた。野球の盛んな都市として知られ、釜山近隣のファンの期待を一身に受けるロッテの本拠地・社稷(サジク)野球場は、チームが好調だと2万人以上の大観衆で球場が埋まり、特有の熱狂的な応援を繰り広げる。その圧倒的な雰囲気は野球ファンならずとも一度は見ておきたい。
 野球場の正面玄関、球場内通路の2か所にグッズショップがあり、品ぞろえも豊富である。また試合開催日以外でも開館している「ロッテジャイアンツ博物館」があり、写真などの展示が豊富でチームの歴史を体感でき、実際の社稷野球場のベンチを模した記念撮影コーナーもある。
 社稷野球場は釜山広域市の北部にあり、国際フェリーターミナルがある釜山港付近からは遠く、西面(ソミョン)や釜田(プジョン)の繁華街から割合近い。球場の西には山々が連なるが、周囲には商業ビルが建ち並び食事や買い物などには困らない大都市の球場である。

 

 

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社稷(サジク)野球場周辺

 ロッテファンたちは新聞紙を短冊状にちぎってからまとめて房を作り(出入口付近で古い新聞が安く売られている)、試合後半になると配布される赤色のビニール風船を振り回すか頭にかぶるなどして、独特の応援風景を作り上げる。5回裏終了時には場内の照明を落として携帯電話のライトをつけながらファンたちがロッテジャイアンツの応援歌を歌い、終盤には「釜山港へ帰れ」、「プサンカルメギ(釜山のカモメ)」などご当地ソングの合唱もあり雰囲気を盛り上げる。
 釜山から北へ50kmほどの地方都市・蔚山(ウルサン)広域市の文殊(ムンス)野球場でも時折主催試合が行われることがある。同野球場は約1万2000席と社稷野球場に比して規模が小さく、当日券を購入する際には早めに到着することをお勧めする。


[交通アクセス]
 釜山交通公社3号線・総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅、社稷(サジク)駅下車で徒歩10分。

(文責 : ふるりん