DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第1回 サムソンライオンズ

 
 2011年は5年ぶり4度目の韓国シリーズ優勝を達成し、アジアシリーズでも韓国のチームとして初優勝を飾るなど、最高の1年だったサムソンライオンズ。オフにはかつての主砲イ・スンヨプも2003年以来9年ぶりに復帰することが決まり、2012年シーズンも優勝候補の大本命である。


【投手陣】

〈先発〉 
ユン・ソンファン、△チャン・ウォンサム、△チャ・ウチャン、ペ・ヨンス、◎タルボット、◎ゴードン
〈中継ぎ〉
アン・ジマン、チョン・ヒョヌク、△クォン・ヒョク、◎△パク・チョンテ、チョン・イヌク、イム・ジヌ、クォン・オジュン
〈抑え〉
オ・スンファン

注 : ◎は新加入、△は左腕

 優勝の原動力は圧倒的な質量を誇る投手陣だった。2012年は外国人投手2名が入れ替わり、2011年シーズン途中からSKでプレーしたゴードンに期待がかかる。タルボットも2010年、米国メジャーリーグ・インディアンスで10勝した実績はあるが、韓国ではまったくの未知数である。先発の軸は2011年、14勝でチーム最多勝だったユン・ソンファンとなるが、2011年アジアシリーズの統一戦で復活を印象付けたかつてのエース、ペ・ヨンスに期待が集まる。左のチャン・ウォンサム、チャ・ウチャンと実績のある投手たちもひかえ、両外国人も活躍すれば最強の先発陣となる。
 鉄壁を誇るリリーフ陣に大きな変化は見られない。右のアン・ジマン、チョン・ヒョヌク、クォン・オジュン、左のクォン・ヒョクなど中継ぎ陣は最強を誇るが、数年間の勤続疲労を考えるとその代役も探しておかなければならない。あいにくいい人材を得ておらず、示範競技でも若手をテストしているが結果を出していない。右に比べて左のリリーフが手薄なため、2011年2次ドラフトでキアから指名した左腕パク・チョンテに注目したい。
 2011年47セーブをあげ、最強守護神オ・スンファンにつなぐ磐石のリレーが2012年も見られれば、韓国シリーズ2連覇への道は大きく開ける。



【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.ペ・ヨンソプ(中) 
2.パク・ハニ(右) △
3.イ・スンヨプ(一)◎△  
4.チェ・ヒョンウ(左) △
5.パク・ソンミン(三) 
6.チェ・テイン(指) △、
7.シン・ミョンチョル(二) 
8.チン・ガビョン(捕) 
9.キム・サンス(遊)  

〈控え〉
(捕手)チェ・サンビョン、イ・ジョンシク、ヒョン・ジェウン
内野手)チョ・ドンチャン、△チョ・ヨンフン、モ・サンギ、ソン・ジュイン、×カン・ミョング
(外野手)△ウ・ドンギュン、カン・ボンギュ、△チョン・ヒョンシク、キム・ホンゴン


注 :◎は新加入、△は左打者、×は両打ち。

 サムソン打線は、爆発力という点では他球団に見劣りする部分はあるが、2011年本塁打(31)、打点(118)の2冠王だった主砲チェ・ヒョンウが軸に座っている。かつての主砲イ・スンヨプは、以前2度の年間50本塁打以上を記録し、5度の本塁打王に輝いたころの圧倒的な成績は望めないが、示範競技では好調で、公式戦でも時折存在感のあるホームランやタイムリーヒットを打てば、破壊力が大きく増す。
 2011年新人王に輝いた右打ちの俊足の外野手ペ・ヨンソプ、韓国を代表するショートに成長したキム・サンスなどの若い選手だけでなく、正捕手チン・ガビョン、勝負どころを知るシン・ミョンチョルなどの存在感あるベテランも多く、機動力を生かした非常にバランスの取れた打線となっている。若手にとって出場機会を得るのは決して楽ではないが、イ・スンヨプに刺激されて次代のサムソンを担う有望株の出現を待ちたい。

 
 2012年シーズンのサムソンは、監督1年目ながら韓国シリーズ・アジアシリーズ優勝という最高の結果を出したリュ・ジュンイル監督が更なる高みに達することができるかが最大の注目点である。王者ということで他球団の警戒は非常に厳しくなるであろうが、かつて主砲として活躍したイ・スンヨプ大邱で最後の輝きを見せることができるか、それに新たな黄金時代の誕生がかかっているのかもしれない。 


本拠地
 大邱市民運動場野球場
 
 大邱(テグ)は韓国南東部にある人口250万人以上の韓国第4の都市である。広い盆地に位置し、夏は大変暑く冬はかなり冷える。そのため4月から5月前半までのナイター観戦は、日中暖かくても少し厚着をしていったほうがよい。
 電子製品を中心に世界的な大企業となったサムソングループであるが、同グループ発祥の地ということでサムソンライオンズ大邱を本拠地としている。1982年の球団創立以来チーム名や本拠地の変更はなく、大邱やその周辺の慶尚北道(キョンサンプクト)を中心にファンが多い(2013年より、慶尚北道東部の工業都市浦項で主催試合を開催する予定)。普通ホーム応援席といえば1塁側だが、この球場は夕方西日が差し込みまぶしいということで、3塁側内野席にある。収容人数は1万人とプロ野球の本拠地としては最も小さく、比較的アットホームな雰囲気である。



 野球場は大邱都心部から少し離れたところにあり、隣に陸上競技場や体育館があるなど市民運動公園の敷地内にあり、タクシーや自家用車などでも比較的アクセスしやすい。古くからの住宅地の中にあり、下町の雰囲気が漂い、長年地元ファンに親しまれてきた球場ではあるが、近年老朽化が激しい。大邱広域市の東部にドーム球場の建設が決まったが、あと数年はこの球場が利用されると思われる。球場周辺にはスポーツ用品店が多く、試合前に店内でサムソンの選手たちを見かけることもあり、ファンと選手たちの距離も近い。
 スタンドには内外野とも外側にサムソンの選手の名前1人1人を書いた旗が多数飾られ、お目当ての選手の旗を探すのも楽しい。またライオンを模した(?)マスコット3体はユニークな動きが多く、試合前やその合間のパフォーマンスも要注目である。
 

 2012年シーズンの入場料は一部値上げされている。。一般席(内外野の自由席)は7000ウォン、1塁側内野指定席(ビジター)が8000ウォン(土日・祝日は9000ウォン)、3塁内野指定席(ホーム)が9000ウォン(土日・祝日は10000ウォン)、内野テーブル席は1人当たり1万5000ウォン、外野テーブル席は1人当たり1万1000ウォン、カップル席が2人で5万ウォン、特別席が2万5000ウォンとなっている。(カップル席、特別席は特別サービスつき)

※ 3月28日現在の為替レート : 1万ウォンは約730円。


[交通アクセス]
 Korail大邱地下鉄1号線大邱駅北口から徒歩15分(地下鉄駅には球場への案内板あり)。ソウル、釜山からの超特急KTXは東大邱駅に停車し、大邱駅には停車しないため要注意(大邱駅はセマウル、ムグンファなどの列車が停車)。なお、ソウルから東大邱まではKTXで1時間40−50分。釜山から東大邱までは40−45分。なお、東大邱からソウル行きの最終のKTXは23時30分発と、18時半開始の平日のナイターを見ても、試合が長引かなければ十分にソウルから日帰りが可能である。(ソウル駅着は翌日の1時15分、2012年3月末現在の運行ダイヤによる)
 各都市へのバスが発着する高速バスターミナルも近い東大邱駅から大邱駅までは、地下鉄1号線で3駅5分程度。なお球場近くの市内バスはあまり本数が多くなく、東大邱駅に行くものもあるが、韓国語が理解でき土地勘がなければ利用は避けたほうがよい。そのため、観光地の薬令市(ヤンニョンシ)や西門市場(ソムンシジャン)、繁華街の中央路(チュンアンノ)からはタクシーを利用したほうが便利であり、東大邱駅から野球場までもタクシーで10分程度で到着する。


(文責 : ふるりん