DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第9回 サムソンライオンズ

 
 2017年は2年連続の9位、チーム史上初の勝率3割台と低迷が続いたサムソンライオンズ。オフシーズンにFA(フリーエージェント)を行使した元ロッテの大物捕手カン・ミンホと契約し話題を集めた。2018年シーズンは、2015年以来3年ぶりのポストシーズン進出が目標となる。


【投手陣】

〈先発〉 
◎エーデルマン、◎ボニーヤ、ユン・ソンファン、ウ・ギュミン、△ペク・スンヒョン、◎ヤン・チャンソプ
〈リリーフ〉
シム・チャンミン、チェ・チュンホン、△チャン・ウォンサム、キム・スンヒョン、キム・デウ、クォン・オジュン、チャン・ピルジュン
注 : ◎は新加入、△は左腕

 投手陣に関してはここ2年低迷してきた最大の要因となっているだけに、2018年も決して楽観できない。2016年から2017年にかけてほとんど戦力として機能しなかった外国人選手については、2017年にMLBメジャーリーグベースボール)・シンシナティレッズで5勝を記録したエーデルマンと契約し、大きな期待がかかる。エーデルマンともう1人の外国人選手ボニーヤ、36歳のベテラン右腕ユン・ソンファンが先発投手陣の中心となる。
 2月からの海外キャンプで高い評価を受けたのが高卒新人ヤン・チャンソプである。先発投手候補のウ・ギュミンが故障で開幕に間に合わないため、シーズン序盤から先発に抜擢される可能性が高い。若手投手にあまり良い人材が見当たらないため、低迷が続くチームの救世主として期待される。
 リリーフ陣もあまり質が高いとはいえず、抑えは2017年と同様チャン・ピルジュンが務めると思われる。中継ぎは38歳となったベテランのクォン・オジュンにまだ頼らざるを得ない状況である。また先発、リリーフともに左腕不足である。


【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.パク・ヘミン(中)△ 
2.キム・ホンゴン(左) 
3.ク・ジャウク(右)△  
4.ラフ(一) 
5.カン・ミンホ(捕)◎  
6.イ・ウォンソク(三)
7.パク・ハニ(指) △ 
8.チョ・ドンチャン(二) 
9.カン・ハヌル(遊) △  

〈控え〉
(捕手)イ・ジヨン、クォン・ジョンウン
内野手)キム・サンス、△ペク・サンウォン、◎ソン・ジュイン、△キム・ソンヒョン、チェ・ヨンジン
(外野手)△ぺ・ヨンソプ、◎△イ・ソンゴン、△パク・チャンド、ファン・ソンド


注:◎は新加入、△は左打者。

 2017年で現役を引退した大打者イ・スンヨプ(元オリックス)の空白を埋めるため、プロ野球界屈指の強打の捕手カン・ミンホを補強したといえる。イ・スンヨプに代わる打線の顔となるのが、2017年は自身初の20本塁打以上を記録した25歳のク・ジャウクである。2017年の打点王の外国人選手ラフが4番を任され、ク・ジャウク、カン・ミンホのそろう中軸は他球団の脅威となる。2015年から2017年まで3年連続盗塁王のパク・ヘミンが健在で、2018年も多数の得点機会を演出するであろう。
 下位にも2017年に18本塁打を記録したイ・ウォンソク、39歳となる巧打者のパク・ハニなど実力ある選手がそろい、打線は申し分ない。2016年以降負傷もあり不振が続く内野手キム・サンスの復活も期待したい。

 
 球団史上かつてない低迷期を迎えたサムソンを指揮するキム・ハンス監督は就任2年目となり、チームを掌握し自分の理想とするチーム作りに着手できる。既存の戦力を活用しつつ、ヤン・チャンソプなど次代のチームの中心となる選手を育て、過去7回の韓国シリーズ優勝(年間総合優勝は8回)を数える強豪の復活を実現させてほしい。


本拠地
 大邱サムソンライオンズパーク
 
 大邱(テグ)は韓国南東部にある人口250万人以上の韓国第4の都市である。広い盆地に位置し、夏は大変暑く冬はかなり冷える。そのため春先のナイター観戦は、日中暖かくても少し厚着をしていったほうがよい。
 電子製品を中心に世界的な大企業となったサムソングループであるが、同グループ発祥の地ということでサムソンライオンズ大邱を本拠地としている。2016年より中心市街地から小さな峠を越えた東側に新築された大邱サムソンライオンズパークを本拠地としている。観客席は約24300と約10000だった前本拠地と比べ倍増し、内野は上段・下段の二層構造となっている。














 大邱サムソンライオンズパークは緩やかな起伏の丘を開発して建設され、周囲には商店や食堂などは少ない。しかしアクセスは非常によく、大邱都市鉄道(地下鉄)2号線・大公園(テゴンウォン)駅の目の前で、幹線道路がすぐ横を通っていて市内・市外バスも頻繁に運行されている。

 メジャーリーグベースボール(MLB)、フィラデルフィアフィリーズの本拠地・シティズンズバンクパークを参考に設計され、客席がサムソンのチームカラーの青に統一された特徴的なデザインの野球場には電光掲示板、観客席ともに最新鋭の設備が導入され、快適な観戦環境が提供されている。2015年までの本拠地だった大邱市民運動場野球場と同じくホームが三塁側となっている。ファールグラウンドが狭くて内野席の臨場感もあり、他の韓国の野球場に見られない八角形の形状である。両翼99.5m、センター122.5mとなっているが、外野フェンスが直線的で右中間、左中間がやや狭い。グッズショップは球場の外側にあり、内部の通路沿いの売店も充実している。

 まだ新しさの残る大邱サムソンライオンズパークのさらなる進化に期待したい。


 なお、大邱から東へ約70kmの地方都市・浦項(ポハン)でも主催試合が開催され、2018年シーズンも6試合が予定されている。
(ソウルから浦項へはKTXで2時間30分前後。金浦空港から浦項空港への国内便もあり。)


[交通アクセス]
 大邱都市鉄道(地下鉄)2号線・大公園駅4,5番出入口の目の前にある。大邱市内の玄関口・東大邱駅から大公園駅までは、都市鉄道(地下鉄)1号線で半月堂(パノォルダン)駅まで行き、2号線に乗り換えて35分程度。都市鉄道は遠回りで時間もかかるため、東大邱駅複合乗換センター(駅南側にある総合バスターミナル兼都市鉄道1号線の出入口)から大邱サムソンライオンズパーク方面へのバスに乗ってもよい(937番バスなどで15〜20分)。大邱中心市街地である中央路(チュンアンノ)・半月堂駅付近までは都市鉄道で20分程度である。
 東大邱駅まではソウル市内から高速鉄道KTX・SRTで1時間30〜45分。釜山から東大邱までは40〜55分。なお、東大邱からソウル市内の水西(スソ)行の最終の高速鉄道SRTは23時50分発と、平日に18時半開始の試合を観戦しても長引かなければソウル市内から日帰りが可能である(2018年3月現在の運行ダイヤによる)。
 
(文責:ふるりん