DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2020年 シーズン展望 第8回 サムソンライオンズ

5年ぶりのポストシーズン進出へ


 2019年は8位に低迷、4年連続ポストシーズン進出を逃し、シーズン終了後にホ・サミョン新監督が就任し捲土重来を図ることになった。だが大きな戦力補強はなく、若手の育成など戦力の底上げで強化を図り、最後に韓国シリーズに出場した2015年以来5年ぶりとなるポストシーズン進出が目標となる。


【投手陣】

〈先発〉 
ライブリー、◎ブキャナン、△ペク・チョンヒョン、ユン・ソンファン、△チェ・チェフン、ウォン・テイン

〈リリーフ〉
ウ・ギュミン、キム・デウ、チェ・ジグァン、ホン・ジョンウ、チャン・ピルジュン、△イム・ヒョンジュン、オ・スンファン
注 : ◎は新加入、△は左腕

 

 先発投手陣は手薄である。近年の低迷の理由として外国人投手の不作続きがあげられるが、2019年シーズン途中の8月に契約したライブリーは印象的な投球を見せたため2020年も再契約した。新外国人選手のブキャナン(元東京ヤクルト)には先発投手陣の柱として期待がかかる。韓国人選手では2019年に自身最多タイの8勝を記録した左腕ペク・チョンヒョンが最も安定している。38歳のユン・ソンファンの衰えが予測される中、高卒2年目で20歳のウォン・テインなど若手の成長が急務となる。

 リリーフに関しては、2019年シーズン途中の8月にサムソンへ復帰したオ・スンファン(元阪神)が注目される。プロ野球史上最多の277セーブを記録した最高の抑え投手も37歳となった。しかし過去の海外不法賭博による処分で2020年はレギュラーシーズン開幕から24試合の出場停止処分が残っている。そのためサムソンでの初登板は早くても6月2日以降となる。それまではウ・ギュミン、チャン・ピルジュンなどの経験豊富な選手たちが抑えをつとめることになりそうだ。

 
【打撃陣】

〈先発予想〉

捕手:カン・ミンホ

一塁:イ・ウォンソク

二塁:キム・サンス

三塁:◎サラディーノ

遊撃:△イ・ハクチュ

外野:△ク・ジャウク、△パク・ヘミン、キム・ホンゴン

DH:キム・ドンヨプ  

〈控え〉
(捕手)キム・ミンス
内野手)チェ・ヨンジン、△ヤン・ウヒョン、キム・ジェヒョン、パク・ケェボム、イ・ソンギュ
(外野手) △イ・ソンゴン、△パク・チャンド、パク・スンギュ
注:◎は新加入、△は左打者。

 2019年まで4番打者をつとめたラフが再契約を見送られ、新外国人選手サラディーノは守備に定評のある選手で、攻撃力は低下したと見られても仕方がない。また負傷によりイ・ハクチュが開幕に間に合わないため、代役の選手の起用でしのぐこととなりそうだ。

 新たな主軸として活躍が期待されるのが、2019年にトレードでSKから移籍してきた長距離打者キム・ドンヨプである。2019年は不調に終わったが、2017~2018年に2年連続で20本塁打以上を記録したころの打撃が取り戻せれば得点力は大いに向上する。その他カン・ミンホ、ク・ジャウク、キム・サンスなどの主力打者たちの奮起にも期待したい。

 
 現役時代は一軍未勝利で終わり知名度が低かったホ・サミョン新監督は、フロントからの大抜擢となった。チームを裏方として長年見続けて熟知したホ・サミョン新監督はコーチの経験もないが、過去に7度の韓国シリーズ優勝(1985年の前後期両方優勝を含めると8度)の結果を残した名門サムソンライオンズの再建という大役が果たされた。近年プロ野球では現役時代の実績にとらわれない監督が目立つようになっているが、ホ・サミョン新監督はその成功例となるか注目される。


【本拠地】
大邱サムソンライオンズパーク
 

 大邱(テグ)は韓国南東部にある人口250万人以上の韓国第4の都市である。広い盆地に位置し、リンゴの産地でもある。電子製品を中心に世界的な大企業となったサムソングループであるが、同グループ発祥の地ということでサムソンライオンズ大邱を本拠地としている。中心市街地から小さな峠を越えた東側にある大邱サムソンライオンズパークは、2016年に完成した緑に囲まれたボールパークである。周囲には商店や食堂などは少ないが、大邱都市鉄道(地下鉄)2号線・大公園(テゴンウォン)駅の目の前にあり交通の便はよい。グッズショップは球場の外側にあり、内部の通路沿いの売店も充実している。

 客席がサムソンのチームカラーの青に統一された特徴的なデザインの野球場には電光掲示板、観客席ともに最新鋭の設備が導入され、快適な観戦環境が提供されている。この野球場は西日が差し込まないようにするためホームが三塁側となっている。3塁側内野応援席の上には、過去の韓国シリーズ優勝を記念したプレートが掲げられ、1塁側ライトポール付近には2017年に引退した大打者イ・スンヨプ(元オリックス)の肖像画が描かれ、ボール型のモニュメントも置かれている。ファールグラウンドが狭くて内野席の臨場感もあり、他の韓国のプロ野球本拠地球場に見られない八角の形状である。


 なお、大邱から東へ約70kmの地方都市・浦項(ポハン)でも主催試合が開催されることがある(2020年シーズンの開催は未定)。

 

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大邱サムソンライオンズパーク


[交通アクセス]
 大邱都市鉄道(地下鉄)2号線・大公園駅4,5番出入口の目の前にある。高速鉄道KTXが停車する東大邱駅前の複合乗換センターから大邱サムソンライオンズパーク方面への937番バスで15〜20分程度。
 
(文責:ふるりん