DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

   サムソン、福岡ソフトバンクに逆転勝ちし韓国代表初優勝

サムソン 5−3 福岡ソフトバンク  (台湾・台中洲際)
(勝)チャン・ウォンサム 2勝  (セーブ)オ・スンファン 2S  (敗)岩崎 1敗
 2008年以来、3年ぶりに開催されたアジアシリーズ2011で、2005年大会以来6年ぶり2度目の決勝に進んだ韓国代表・サムソンライオンズは、台湾・台中洲際野球場で日本代表・福岡ソフトバンクと対戦した。26日、予選リーグで対戦したときは福岡ソフトバンクに0-9で大敗していた。

 サムソンの先発は25日のパース戦で好投した左のチャン・ウォンサムで、2009年WBC(ワールドベースボールクラシック)などで韓国代表として国際大会に出場した経験を買われて起用された。一方福岡ソフトバンクの先発は当初摂津が予想されていたが、登板できる状態でないということで期待の若手・岩崎が起用された。
 福岡ソフトバンクは1回裏、チャン・ウォンサムから2番本多が四球で出塁し、2塁へ盗塁を決めると、3番内川のファールゾーンへの飛球をライトのパク・ハニが捕球した際にひざを痛め、急遽チョン・ヒョンシクと交代した。するとここで4番松田のタイムリーで福岡ソフトバンクが1点を先制した。サムソンは2回表、6番チェ・テインがチーム初ヒットを打ったが得点につながらなかった。3回表には9番キム・サンスへの死球、途中出場の2番チョン・ヒョンシクへの四球でチャンスを作ったが、これも生かせなかった。しかしチャン・ウォンサムは2回以降好投を続け追加点を与えなかった。
 
 サムソンは5回表、1死から8番イ・ジョンシクのヒット、キム・サンスの2打席連続死球、1番ペ・ヨンソプへの四球で満塁のチャンスを作ると、チョン・ヒョンシクの2点タイムリーで逆転した。さらに3番パク・ソンミンのタイムリーで1点を追加し岩崎をノックアウトすると、さらに代わった2番手陽耀勲から5番カン・ボンギュの打球をショートが取れず2点を追加した。サムソンは6回表、7回表の追加点のチャンスを併殺打で逃したが、チャン・ウォンサムが好投を続けた。


(5回表、チョン・ヒョンシクが2点タイムリーで逆転。)


 チャン・ウォンサムは7回裏1死1,2塁のピンチでマウンドを2番手チョン・ヒョヌクに譲り、後続をきっちり断った。サムソンは大場、藤岡など福岡ソフトバンクのリリーフ陣から追加点を奪えず、福岡ソフトバンクは8回裏、サムソンの3番手クォン・ヒョクから、本多が15球も投げさせるなど粘りに粘って無死1,2塁のチャンスを作ると、ここで守護神オ・スンファンが早々と登場した。ここで3番内川がヒットでつなぎ無死満塁としたが、続く松田の併殺打の間にようやく1点を返した。続く5番長谷川のタイムリーで2点差と追い上げ、6番明石の内野安打でなおもチャンスが続いたが、7番福田を打ち取りようやくオ・スンファンはピンチを脱した。
 オ・スンファンは9回裏、貫禄の投球で三振2個を奪う三者凡退で相手の反撃を断ち、サムソンが逆転勝ちし、韓国代表としてアジアシリーズで見事初優勝を飾り、優勝賞金1500万台湾ドル(約3840万円)を受け取った。

 サムソンは予選リーグこそ福岡ソフトバンクに敗れ2位だったが、決勝では全力を尽くして前回敗れた借りをしっかり返し、見事優勝の栄冠に輝いた。主力投手の多くが不在で苦戦が予想されたが、オ・スンファン、チョン・ヒョヌクなど国際経験豊富な選手が要所を締めた。この試合も7回途中まで1失点と好投し、大会で2勝をあげ優勝に貢献したチャン・ウォンサムが大会MVP(最優秀選手)に選ばれた。


(大会MVPを受賞したチャン・ウォンサム。)

 3年ぶりに復活し、初めて台湾で開催されたアジアシリーズは、過去4回の日本開催で日本勢が4連覇した大会と異なり、初めて韓国代表が優勝した歴史的な大会となった。2012年のアジアシリーズは、現在韓国での開催が検討されている。もし実現すれば、韓国シリーズに優勝して韓国代表となるチームは、ディフェンディングチャンピオンとしてその名に恥じない戦いが求められることになる。今後もプロ野球の国際化のために、アジアシリーズが続けられることを願ってやまない。
  

 
(文責 : ふるりん