DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  イ・テックン(ヒーローズ)のトレード問題、KBOは加入金の問題などで承認留保

 ヒーローズとLGが17日、イ・テックン外野手(29)と金銭25億ウォン、パク・ヨンボク捕手(26)とカン・ビョンウ外野手(22)とのトレードに合意したことに関して、KBO(韓国野球委員会)は18日、ヒーローズは2009年12月までに納付しなければならない加入金120億ウォンを完納していないとして、この件の承認を留保するとした。
 ソウル・木洞野球場を本拠地とするヒーローズは2008年から2009年まで、4回に分けて加入金120億ウォンを分納し、その一部が以前からソウルに本拠地を置くトゥサン、LGに補償金として分け与えられることになっていた。しかし、この件に関して、2000年の球団創設の際、かつて仁川と京畿道を本拠地としていたが、ソウルに移転するためSKにその権利を譲り54億ウォンを受け取った現代が、結局ソウルに適当な野球場が見つからず、球団が解散となった2007年まで京畿道・水原を暫定本拠地としていたことで、SKが球団経営で損害を受けたとして、トゥサン、LGが、現代をほぼそのまま受け継ぐ形で球団が創設されたヒーローズの加入金の一部を受け取ることに反対していた。そのため、KBOはこの120億ウォンの分配を、加入金完納後に論議するとしていた。
 ところがヒーローズは税制上の問題があるとして、2009年6月に12億ウォンずつ、12月に15億ウォンずつの合計27億ウォンずつをトゥサン、LGに直接支払い、KBOには2年間で66億ウォンしか支払っていないことになるが、これで加入金120億ウォンを完納したとしていて、金銭を受け取ったトゥサン、LGもこれらを返す気はないとしている。だがKBOを通さずトゥサン、LGに補償金合計54億ウォンを支払ったヒーローズの行為は、SK以外の他球団からも反発が強く、KBOはまだ加入金120億ウォンを完納していないとして、イ・テックンのトレードを現時点では認めないとした。これはヒーローズが加入金を完納しない限り、事前にKBOの承認がなければトレードができないという約定によるものである。しかしヒーローズ、LG、トゥサンとKBOの見解は大きな隔たりがあり、この問題の解決は時間がかかる可能性がある。
 
(注 : トゥサン、LGがヒーローズに要求した補償金54億ウォンは、SKが球団を創設した際に現代へ支払った金額を根拠としている。)

 イ・テックンは2008年北京五輪、2009年WBC(ワールドベースボールクラシック)に出場した韓国球界を代表する外野手で、走攻守そろったヒーローズの主軸打者としても活躍している。それに対して、LGが交換要員としたパク・ヨンボクはプロ7年間で1軍出場がわずか14試合(2009年シーズンは13試合)にとどまり、カン・ビョンウにいたってはプロ通算5年間で1軍出場が1試合もなく、2008年シーズン途中ウリタバコ社が権利を放棄してから、メインスポンサーが見つからず経営が不安定なヒーローズにとっては、第3者からすると25億ウォンの金銭目当てのトレードにしか見えない。ヒーローズは過去にも、2008年11月先発投手陣の軸のチャン・ウォンサムをサムソンにトレードしようとして、KBOの承認を得られず失敗したこともある。

 史上最多の約592万人の観客が集まり、新たな黄金時代を迎えたとされた2009年の韓国プロ野球界だが、年末になって複数の球団を巻き込んだ、大企業の支援がなければ経営が成り立たないプロ野球そのものの体質に根ざす思わぬ問題が発生し、関係者は頭を抱えることになった。