DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  ヒーローズ、加入金未納問題解決  イ・テックンがLG、チャン・ウォンサムがサムソン、イ・ヒョンスンがトゥサンへトレード

 KBO(韓国野球委員会)は30日、緊急理事会を開き、ヒーローズの加入金120億ウォンのうち、ソウルを本拠地とするトゥサン、LGに27億ウォンずつ、現代の本拠地分割補償金を求めていたSKに20億ウォンの補償金を渡すことに決定し、事態を解決することにした。ただしこのうち、トゥサンとLGは5億ウォンずつ、SKは4億ウォンを野球発展基金特別会費としてKBOに寄付することになり、実際受け取る額は少なくなる。

 2008年プロ野球に参入した新球団ヒーローズは、2009年12月までにKBOへの加入金120億ウォンを払うことになっていたが、12月までに納付する36億ウォンのうち15億ウォンずつを先にトゥサン、LGへ支払ってしまい、物議をかもしていた。また選手のトレードについてはKBOの承認が必要な立場だったヒーローズは、主力外野手のイ・テックン(29)を、25億ウォンと無名選手2名と交換の条件でLGへトレードすることで合意し、あとはKBOの承認を待つのみだったが、加入金120億ウォンが未納であるとし、KBOはこのトレードの承認を保留していた。だが30日加入金が完納されたとして、ヒーローズは他の球団と同じく選手の自由なトレードの権利を得たため、イ・テックンのみならず、チャン・ウォンサム(26)、イ・ヒョンスン(26)とさらに2人の主力選手のトレードを申請し、KBOはこれを承認した。

 左腕チャン・ウォンサムは、2008年11月金銭と選手1名をつけてサムソンへトレードされることになっていたが、1年たってまた同じサムソンへ、20億ウォンとパク・ソンフン(27)、キム・サンス(21)と2名の選手をつけてトレードされることになった。また2009年シーズンはチーム最多勝だったイ・ヒョンスンは、同じ左腕のクム・ミンチョル(23)と10億ウォンをつけてトゥサンへトレードされることとなった。これでヒーローズは主力野手1人、投手2人を3球団に売って55億ウォンを手に入れる計算となる。

 イ・テックンは2006年現代で外野のレギュラーに定着し、現代解散後はヒーローズの主力外野手として活躍を続け、2008年北京五輪、2009年WBC(ワールドベースボールクラシック)にも韓国代表として出場した。2009年シーズンの成績は123試合に出場、打率.311、15本塁打、60打点、43盗塁。なお、LGからはパク・ヨンボク捕手(26)、カン・ビョンウ外野手(22)と2人の交換相手が移籍するが、パク・ヨンボクは1軍での出場試合数がプロ8年間でわずか14試合しかなく、カン・ビョンウはプロ5年間で1軍出場が1度もない。
 チャン・ウォンサムは大学卒業後2006年現代に入団し、プロ1年目から12勝をあげる活躍を見せた。現代解散後ヒーローズでも左のエースとして活躍し、2008年北京五輪、2009年WBC(ワールドベースボールクラシック)にも韓国代表として出場した。ところが2009年シーズンは不振もあって19試合に登板、4勝8敗、防御率5.54と不本意な成績に終わった。新天地サムソンは先発左腕不足で、チームの命運を握る選手の1人となるであろう。2009年シーズン左の中継ぎとして20試合に登板したパク・ソンフンは、くしくも1年前チャン・ウォンサムの交換相手となったことがある。プロ4年目の若手で、2009年シーズンは中継ぎで43試合に登板したキム・サンスは、新天地での今後の成長が期待される。

 チャン・ウォンサムと同じく大学卒業後、2006年現代へ入団した左腕イ・ヒョンスンは、当初2年間は中継ぎとして活躍し、現代解散後ヒーローズでは先発に転向した。特に2009年シーズンは30試合に登板、13勝10敗、防御率4.18の成績を残し、チームの最多勝となった。先発陣がやや弱いトゥサンにとっては念願の補強だったが、代わりに2009年シーズン大きく成長した同じ左腕のクム・ミンチョルを手放すこととなった。プロ5年目のクム・ミンチョルは、2009年シーズン終盤先発を任されるようになり、36試合に登板、7勝2敗、防御率4.43の成績を残した。今後の成長しだいでは、新天地でチャン・ウォンサム、イ・ヒョンスンの穴を生めることも十分に可能である。

 このような相次ぐ主力選手の金銭トレードを断行したヒーローズに対し、KBOは2010年末までの選手の現金トレードを禁止した。2008年夏ウリたばこ社の権利放棄後、メインスポンサーが見つからず資金難となっていることが推測されるヒーローズの今後が不安視されている。
 
(12月30日現在の為替レート : 1000万ウォンは約79万1000円。)