元メジャーリーガーのソ・ジェウンの入団などで、上位進出も可能だと評判だった2008年シーズンだが、終わってみれば序盤の出遅れなども響き、公式戦を6位で終え2年連続ポストシーズン進出に失敗した。ソ・ジェウンなどの大物選手たちが期待にこたえられず、エースのユン・ソンミン以来信頼できる先発が少なかったことや、長打力不足の打線など、全体的な選手層の薄さが目立った。SKで監督経験があり、就任2年目となったチョ・ボムヒョン監督は、2009年シーズンこそ自分のカラーに選手たちを染めて戦いたいところだ。
【投手陣】
(先発)
◎ユン・ソンミン、ソ・ジェウン、ガトームソン、ロペス、イ・ボムソク、イ・デジン
(中継ぎ)
ユ・ドンフン、ソン・ヨンミン、イム・ジュンヒョク、コ・ウソク、△ヤン・ヒョンジョン、クァク・チョンチョル、△チン・ミンホ
(抑え)
ハン・ギジュ
注 : ◎は2009年WBC韓国代表、△は左腕
比較的若くて有望な投手がそろっている。特にユン・ソンミンはまだ22歳ながら、チームのエースとして安定感ある投球を続け、2008年シーズンの最優秀防御率投手に輝き、北京五輪、2009年WBCでも活躍し、韓国を代表する右腕に成長した。ただこれに続く先発投手が弱く、元メジャーリーガーとして期待されながら、故障もあり満足な成績を残せなかったソ・ジェウンの奮起を期待したい。若手に混じってベテランのイ・デジンが投手陣の精神的支柱となる。また日本プロ野球で活躍した新外国人ガトームソン(元福岡ソフトバンク)、ロペスの2人も先発ローテーションの一員として起用されるが、2008年はホセ・リマなど3人の外国人投手が戦力として機能しなかったため、その二の舞は避けたい。
さらに、全体として左腕不足は明らかで、ヤン・ヒョンジョンなどの若手左腕が先発に定着しないと、台所事情は苦しくなる。またリリーフ陣も若き守護神ハン・ギジュが調整遅れで示範競技に登板できなかったなど、不安要素が大きい。それでも打線が強力とはいえないだけに、投手陣の踏ん張りが上位進出への最大の鍵となるであろう。
【打撃陣】
(ベストオーダー)
1.イ・ヨンギュ(右) ◎△
2.イ・ジョンボム(中)
3.ナ・ジワン(左)
4.チェ・ヒィソプ(指) △
5.イ・ジェジュ(一)
6.イ・ヒョンゴン(三)
7.キム・ソンビン(遊)
8.キム・サンフン(捕)
9.キム・ジョングク(二)
(控え)
チャ・イルモク、△チャン・ソンホ、アン・チホン、ホン・セワン、△キム・ウォンソプ、イ・ジョンボム、△チェ・ギョンファン
注 : ◎はWBC韓国代表、△は左打者、×は両打ち。
2008年シーズンは主砲として期待された元メジャーリーガーのチェ・ヒィソプが体調不良でまったく活躍できず、打線に軸ができなかった。さらに長年主力打者として活躍してきたチャン・ソンホも、故障でまともに働けず、2009年シーズンはこの2人の左打者にとって復活の1年となる。
35歳を超えたベテランの中距離打者イ・ジェジュを越える選手が出ないと、2009年も苦しい戦いとなるであろう。北京五輪、2009年WBCでも活躍した1番打者イ・ヨンギュがいくら出塁し盗塁を決めても、それを返す打者がいないと得点にはならない。また8月に39歳となるベテランで精神的支柱のイ・ジョンボム(元中日)は、引退勧告を拒否して現役を続行し、外野のレギュラー復帰にかける。まだまだファンからの声援は圧倒的に大きく、存在感は失われていない。
比較的有望な若手が少ない中、プロ2年目を迎えるナ・ジワンがクリーンアップを打ち、好手ともに成長できるかが注目される。また守備面でも長年セカンドを守ってきたセカンドの名手キム・ジョングクの後釜がほしいところで、2008年は高卒ルーキーながら100試合以上に出場したキム・ソンビンの更なる成長に期待したい。
キアの前身のヘテは、ソン・ドンヨル(元中日、現サムソン監督)などを擁し、史上最多の韓国シリーズ9度優勝、さらに史上最長の4連覇達成(1986−89年)と黄金時代を築いた。だが2001年シーズン途中にキアへ生まれ変わってからは、韓国シリーズ出場すら1度もない。数多くの名選手を輩出してきた光州の誇り高きチームは、いつになったらその栄冠を取り戻すことができるのであろうか。2009年は何とかして3年ぶりのポストシーズン進出を達成し、新たな黄金時代の礎を築くことをファンは期待している。
【本拠地】
光州・無等運動場野球場
韓国南西部最大の都市・光州(クァンジュ)は、ソウルや釜山などの大都市から遠く、発展も遅れている。その理由として韓国特有の地域対立があり、釜山、大邱を中心とした南東部出身者の政治家が多かった1960年代から90年代後半までの韓国政府からも差別的待遇を受けてきた。そのため光州を中心とした地域の人間は反骨心が強く、非常に熱しやすい性格の者が多いと言われている。
かつて黄金時代を築いたタイガースは光州の誇りであったが、ここ5年間で2度の最下位を味わい、ファンたちは落胆の日々を送っている。だが数は決して多くないが、どの球団のファンにも負けない情熱的なファンたちは、ご当地ソングである「南行きの列車(ナメンヨルチャ)」を歌いチームに声援を送り続けている。またソウル・蚕室野球場でのキア戦も、光州や周囲の全羅道出身者が集まるため、3塁側ビジター応援席もかなりにぎやかになる。
球場はかなり老朽化が進んでいるが、光州市は財政悪化を理由に新球場建設を見送っている。しかし1塁側にはいつも熱心のファンが通い、地方球場らしい雰囲気にあふれている。ただ球場の周囲は工場などの多い下町であり、商店や食堂などは少ない。またKTXの光州駅や、韓国有数の規模の光州のバスターミナルからのアクセスはあまりいいとは言えず、言葉に自信のない外国人はタクシーで行くことをお勧めする。試合後食事などをする場合は、比較的近いデパートや食堂が集中するバスターミナル周辺の繁華街へ足を運ぶといい。
球場の隣にはキアのトラのマスコットが書かれた5階建ての建物が見られるが、「メンホグァン(猛虎館)」というキアの選手の寄宿舎である。
(応援団長からのインタビューを受けているのはエースのユン・ソンミン。)
[交通アクセス]
Korail(韓国鉄道公社)光州駅からはバスで約10分。
ただし、ソウル、大田方面からの湖南線の木浦(モクポ)行き超特急KTXは、光州駅に行かず光州市内の西部にある松汀里(ソンジョンニ)にしか停車しないので、要注意。
光州総合バスターミナルからはバスで5,6分程度。
(文責 : ふるりん)