2008年シーズンは夏場まで上位に残りながら、終盤で息切れし5位に終わり、4年連続ポストシーズン進出を逃したハンファ。投手陣の若返りが進まず、主砲キム・テギュンなど中軸が長打を打たないと勝てない試合運びのまずさなどが目立った。先日WBCでは韓国代表を2大会連続で率い、見事準優勝に輝いた名将キム・インシク監督にとっても、5年目の2009年シーズンは勝負の一年となる。
【投手陣】
（先発）
◎△リュ・ヒョンジン、チョン・ミンチョル、アン・ヨンミョン、△ソン・ジヌ、キム・ヒョンミン、ユ・ウォンサン
（中継ぎ）
チェ・ヨンピル、ユン・ギュジン、マ・ジョンギル、△ヤン・スンジン、ヤン・フン、△ク・デソン、ホ・ユガン
（抑え）
△トーマス
注 ： ◎は2009年WBC韓国代表、△は左腕
先日のWBCではあまり活躍できなかった若き左腕リュ・ヒョンジンが、2009年シーズンもエースとしてチームを引っ張る。ただそれに次ぐ先発要員が少なく、右のエースが37歳になったばかりのチョン・ミンチョル(元読売)というのがなんとも苦しい。ユ・ウォンサン、キム・ヒョンミンなどの若手が先発に定着しないと、2009年も手薄なリリーフ陣に負担がかかり、主導権を奪いにくくなる。また43歳になった大ベテラン左腕ソン・ジヌも、通算個人最多勝利数(209勝)をどこまで伸ばせるか注目したい。技巧派の打たせて取るピッチングは芸術的ですらある。
リリーフ陣を見ると、2008年31セーブをあげた守護神トーマス(元北海道日本ハム)は健在だが、中継ぎ陣の層が相変わらず薄い。ベテラン左腕ク・デソン(元オリックス)が、脱腸によりハワイキャンプを離脱し出遅れたのが痛い。右の中継ぎの柱に成長したユン・ギュジン、サイドハンドの変則フォームのマ・ジョンギルなどが軸となる。WBC韓国代表でも発揮された、苦しい台所事情をやりくりするキム・インシク監督の投手起用に注目したい。
【打撃陣】
（ベストオーダー）
１．ユン・ジェグク（中） △
２．イ・ヨンウ（左） △
３．ディアズ（右）
４．キム・テギュン（一） ◎
５．イ・ボムホ（三） ◎
６．キム・テワン（指）
７．ソン・グァンミン（遊）
８．シン・ギョンヒョン（捕）
９．オ・ソンジン（二）
（控え）
キム・ミンジェ、△カン・ドンウ、イ・ドヒョン、△ヨン・ギョンフム、△チュ・スンウ、イ・ヨサン、パク・ノミン
注 ： ◎はWBC韓国代表、△は左打者、×は両打ち。
2008年シーズンはチーム本塁打数最多(120本)を記録した「ダイナマイト打線」の異名をとる強力打線は2009年シーズンも健在だ。WBC韓国代表でも3本塁打、11打点と主砲として活躍した2008年本塁打王のキム・テギュン、同じくWBCで期待以上の活躍をしたイ・ボムホ、2008年23本塁打と大きく成長したキム・テワンだけでなく、新外国人ディアズが活躍すれば、8球団一の破壊力となる。また示範競技5本塁打と絶好調で、ショートのレギュラー定着を狙う若手ソン・グァンミンも期待されている。
しかし確実性がなく機動力のある選手が少なかったため、中軸の選手が打つか打たないかに試合の勝敗が大きく左右され、得点力はさほど高くなかった。そのため、高い出塁率で攻撃を活性化させる上位打線の構築が急務である。他球団で実績のあるカン・ドンウ、ユン・ジェグクなどのベテラン勢や、かつて主力として活躍したイ・ヨンウの完全復活に期待がかかるが、イ・ジョンウク(トゥサン)、イ・ヨンギュ(キア)のように、走攻守三拍子そろった外野の若手選手の出現が期待できない。
また、ここ数年間セカンドのレギュラーとして出場機会が多かったが、軍へ入隊したハン・サンフンの穴を誰が埋めるかが注目される。在日韓国人選手カン・ビョンス(元東京ヤクルト、日本名：大原)にもチャンスはある。ダイナマイトが単なる打ち上げ花火とならないよう、多彩な攻撃パターンの確立が求められる。
【本拠地】
大田・ハンバッ運動場野球場
大田(テジョン)は韓国中西部の地方都市で、ソウルから南部への鉄道・高速道路の分岐点と交通の要所にあり、1970年代以降ハイテク産業が発展し人口140万人を超える韓国第5の都市に成長した。ハンファは1986年の球団創設(1993年までピングレイーグルス)以来大田を本拠地としているため、球場には地元の年季の入った熱心なファンが集まり、1万3000人収容と小ぢんまりとした場内はアットホームな雰囲気に包まれている。外野センターバックスクリーンには小さなオーロラビジョンとスコアボードがある。大田はソウルから日帰りで観戦が可能で、平日の18時半開始のナイターでも、球場を22時半過ぎに出て大田駅へ向かえばソウル行きの最終のKTXに十分間に合う(ただし事前に座席を確保しておくのが望ましい)。
バックスクリーンの脇には、2005年で引退した通算本塁打数記録(340本、2008年シーズン終了現在)の保持者で、いまだに根強い人気を誇るチャン・ジョンフンの永久欠番35番をたたえるモニュメントや、内野1塁席には史上初の通算200勝を達成したソン・ジヌのイラストや勝利数や奪三振数を表示するボードがある。また、内野のバックネット裏付近の通路には、前身のピングレ時代からの年表や写真が飾られ、韓国語が分からなくても、球団の歴史を何となくではあるが知ることができる。日本でもおなじみのク・デソン(元オリックス)の写真もあるので、探してみるのも面白い。
［交通アクセス］
Korail、大田地下鉄1号線大田駅からバス(111-1番など)、タクシーで10分程度。
大田地下鉄1号線・中央路(チュンアンノ)駅から111番バス、タクシーで5分程度。
（文責 ： ふるりん）
