DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第4回 キアタイガース

 2011年オフ、満を持してソン・ドンヨル監督(元中日)が就任し、9回の韓国シリーズ優勝を達成したキアの前身であるヘテ黄金時代の再現が期待されている。だがそれを知る唯一の選手イ・ジョンボム(元中日)が3月31日、突如現役引退を表明し、チームは大きく若返ろうとしている。


【投手陣】

〈先発〉 
ユン・ソンミン、ソ・ジェウン、◎アンソニー、◎△ラミレス、△パク・キョンテ、△ヤン・ヒョンジョン
〈中継ぎ〉
ソン・ヨンミン、△シム・ドンソプ、キム・ヒィゴル、イム・ジュンヒョク、ハン・スンヒョク、コ・ウソク、△チン・ヘス
〈抑え〉
ユ・ドンフン

注 : ◎は新加入、△は左腕

 2011年、最多勝最優秀防御率最多奪三振などタイトルを総なめにし、シーズンMVPを受賞したユン・ソンミンがエースとして君臨する。左の先発の軸として期待されたが、2011年は低調だったヤン・ヒョンジョンが故障で開幕に間に合わないため、メジャーリーグで通算40勝と実績のある新外国人左腕ラミレスに期待がかかる。韓国人投手では、これまで中継ぎだった左腕パク・キョンテが先発に転向する。2011年、日本プロ野球福岡ソフトバンクに在籍した新外国人投手アンソニー・レルー(登録名はアンソニー)も先発として起用されることになった。
 先発に比較してリリーフが弱いのがキアの特徴で、2011年はその不振が目立った。2009年韓国シリーズ優勝時の抑えユ・ドンフンの復調が期待される。ここでも左腕が弱いが、まだ20歳の若手ながら左の中継ぎの柱に成長したシム・ドンソプに重圧がかかる。ハン・スンヒョクなど他の若手の成長が待たれる。
  

【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.イ・ヨンギュ(中) △
2.シン・ジョンギル(右) △ 
3.ナ・ジワン(左) 
4.イ・ボムホ(三) 
5.キム・サンヒョン(指)  
6.チェ・ヒィソプ(一) △
7.アン・チホン(二) 
8.チャ・イルモク(捕) 
9.キム・ソンビン(遊)  

〈控え〉
(捕手) キム・サンフン、ソン・サン
(内野手) キム・ジュヒョン、イ・ヒョンゴン、ホン・ジェホ、パク・キナム、◎△ファン・ジョンニプ
(外野手) △キム・ウォンソプ、△チェ・フルラク、イ・ジュンホ

注 : ◎は新加入、△は左打者。
 打線の軸は、2011年加入し8月の負傷による離脱まで4番として活躍したイ・ボムホとなる。長距離打者ナ・ジワンの更なる成長も見込まれる。心身の不調により海外春季キャンプに参加できなかった元メジャーリーガーのチェ・ヒィソプの復活が、打線の動向を大きく左右する。2009年の本塁打打点王のキム・サンヒョンなど、中軸の破壊力は他球団に決して引けを取らない。
 そのほか不動の1番打者イ・ヨンギュ、若き大型内野手アン・チホンなど、タレントはそろっている。だが主力が故障し長期離脱した場合のバックアップ要員が心もとない。ここ数年主力がすべてそろってシーズンを戦ったことがあまりないだけに、選手層を厚くすることが上位進出の鍵となるだろう。

 2010年までサムソンの監督をつとめ、2度の韓国シリーズ優勝を経験したソン・ドンヨル監督は十分な実績があり、球史に残る大投手としてヘテ黄金時代の最大の功労者が率いるキアは、否が応にも過去の栄光を求められてしまう。ヘテ時代を知るファンたちが待ち望んだチームの体制が、21世紀の新しい黄金時代を迎えているプロ野球でまた栄冠をつかめるのか、野球ファンたちの注目を集めている。
 

本拠地
 光州・無等運動場野球場

 韓国南西部最大の都市・光州(クァンジュ)は、ソウルや釜山などの大都市から遠く、発展も遅れがちであった。その理由として韓国特有の地域対立があり、釜山、大邱を中心とした南東部出身者の政治家が多かった1960年代から90年代後半までの韓国政府からも差別的待遇を受けてきた。そういった光州や周辺の全羅南道の人々の鬱屈した感情を晴らすひとつの手段として、1980年代韓国シリーズ4連覇を達成したヘテタイガースへの応援があった。
 21世紀の現代もその雰囲気が残っていて、試合中には全羅南道ご当地ソングである「南行きの列車(ナメンヨルチャ)」が観客席から何度も聞こえ、独特の風情をかもしだしている。ソウル・蚕室野球場や木洞野球場でのキア戦も、光州や周囲の全羅道出身者が集まるため、3塁側ビジター応援席が真っ赤に染まることも多い。2001年夏、キアタイガースに生まれ変わってから10年以上の月日がたったが、ファンたちは相変わらず「ヘテ」に憧れている。
 球場はかなり老朽化が進み、2015年の光州ユニバーシアード開催に合わせて隣の無等競技場があったところに新球場を建設中で、2014年シーズンより新本拠地として利用される予定である。そのため現在のひなびた無等野球場でキアタイガースの試合が見られるのはあと2年である。古きよき時代をしのぶことができる時間はそう長くない。
 2010年よりグッズショップが入場券売り場だけでなく、1塁側内野席入り口付近にも開かれ、グッズの種類が大きく増えた。



 2012年シーズンの入場料金は一部値上げされている。内野中央指定席は平日13000ウォン、土日・祝日14000ウォン。その他の一般指定席は平日8000ウォン、土日・祝日9000ウォン。自由席の外野席は平日7000ウォン、土日・祝日8000ウォン。食事をしながらのグループ観戦に適したテーブル席が内外野に設置され、外野のプロト席(2人用)が平日33000ウォン(土日・祝日39000ウォン)、1塁側内野席にはソウル席(2人用)が平日44000ウォン(土日・祝日50000ウォン)、バックネット裏のK5席(2人用)が55000ウォン(土日・祝日60000ウォン)と、それぞれ親会社キア自動車の車種の名前がつけられる。また新設されたK7ファミリー席は2人席が66000ウォン(土日・祝日72000ウォン)、4人席が132000ウォン(土日・祝日144000ウォン)となっている。

 

[交通アクセス]

 光州の市街地にあるが、周囲は住宅地や中小工場が並ぶ庶民的な町で、繁華街から少し離れたところにある。球場の入り口付近に停留所があるものの、バスでのアクセスは韓国語が理解でき土地勘がないとお勧めできない。ソウル市内の龍山(ヨンサン)発のKTXの終着駅・光州駅からではタクシーで約10分弱である。
 ソウル・大田方面からの湖南線・木浦(モクポ)行きKTXは、光州駅に行かず光州市内の西部にある光州松汀(クァンジュソンジョン)駅にしか停車しないので要注意。そこから中心市街地へは地下鉄1号線が出ているが、野球場へのアクセスはよくない。

韓国各都市からのバスが発着する、光州総合バスターミナルからはタクシーで5,6分程度。広大なバスターミナル周辺には旅館やホテルも多く、デパートもあるためショッピングや食事には事欠かない。
(文責:ふるりん