DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

   キアタイガース

 2月1日、宮崎県日向市・お倉が浜総合公園まで、キアの春季キャンプを見学しに行きました。
 今日はその際の写真を何枚か掲載し、レポートします。



 この日はよく晴れていましたが、風が強く体感気温はやや低かったです。1月末は雨が何日か降り続き、グラウンドはまだぬかるんでいたものの、選手たちは午前中から野球場で軽めのノックや打撃練習に汗を流していました。
 キアの春季キャンプは1月23日に野手組が先発隊として日向市に到着し、グアムで練習を行っていた投手陣は一旦韓国に戻っていて、まだ合流していませんでした(4日に投手陣は日向市に到着し、5日の練習から投手、野手全員が練習に参加すると思われます)。選手たちはグラウンドと室内練習場の日向サンドームを行き来し、フリーバッティングやノックなどの軽めの練習をこなしていました。



(打撃練習にいそしむイ・ジョンボム。)


(打撃練習の順番を待つ北京五輪韓国代表イ・ヨンギュ。)


(子供たちへのサインに応じる元メジャーリーガー、チェ・ヒィソプ。)

 
 キャンプ見学の魅力は何といっても、選手たちとの距離が近く、サインなどをもらいやすいだけでなく、その選手たちの素顔が垣間見えることでしょう。この日は野球場の隣のグラウンドで少年サッカー大会が開かれていて、小学生の子供たちがキアの選手たちの練習をものめずらしそうに見ていました。外野を巡回しているコーチやスタッフに「アンニョンハセヨー」など声をかけ、ボールなどをもらっていました。中にはそのボールにサインをもらおうとしている子もいました。
 僕は外野で練習を見守っていたキム・ジョンモ首席コーチ、去年もお話させていただいたチェ・テウォン走塁コーチなどとしばらくお話をするなど、コーチやスタッフの方と何人か交流することができました。またスタッフの方と親しい地元の方のご好意で、バックネット裏や食堂などの様子も見学させていただきました。厚くお礼を申し上げます。



(昼食を取る選手たち。食事は日向市内の宿舎で用意したものが運ばれている。)


 午後練習を見学していると、3塁側のほうから声高な日本語が聞こえてきました。マンツーマンで年配の日本人が、通訳の方を通して若手選手(2008年の2次ドラフト1位:アン・チホン内野手)の打撃練習を熱心に指導していました。

 上の写真の白い帽子をかぶった男性は、後でスタッフの方に聞いたところによると、現役時代主に大洋ホエールズ内野手として活躍し、2000本安打を達成した名選手の松原誠氏とのことでした。近年は解説者の仕事を時々する程度だそうですが、今回の春季キャンプでは臨時インストラクターとして2月中ごろまで選手たちの指導に当たるそうです。近年SKの4名の日本人コーチなど、韓国プロ野球での日本人指導者の活躍が目立ちますが、以前からもこのように日本でのキャンプで大物日本人指導者を臨時インストラクターとすることがあります。ちなみにキアには去年から引き続き、日本人投手コーチの神部年男氏(ヤクルト、オリックスなどで投手コーチを歴任)がいます。

 選手やコーチ、スタッフたちは日が沈もうとする午後5時過ぎ、マイクロバスによるピストン輸送で宿舎へと帰っていきました。
 


 さて、この日向市では2004年限りで解散した大阪近鉄がキャンプ地として利用していましたが、その後2005年の初年度のみ東北楽天が利用したものの、設備がよくないことなどを理由に沖縄県久米島にキャンプ地を移してしまいました。ちなみにこのお倉が浜総合公園には選手用のロッカールームがなく、キアの選手たちのバッグなどの荷物は、狭いバックネット横の観客席に置かれていて、着替えなどもそこですることが多いです。
 そのため日向市にとって、毎年のように1ヶ月以上キャンプで滞在してくれるキアはいいお客さんです。韓国からの報道陣はさほど多くありませんが、キアが利用するマイクロバスなどは地元のレンタカーを利用していますし、宿舎となるホテル周辺の飲食店やタクシー会社にもお金が落ちます。ですが「歓迎 キアタイガース」の文字は宿舎前の看板に出ているだけで、日向市駅前や市役所周辺にそれに類するものはありません。せっかくの機会ですから、国際交流の場としてキアの選手たちが市民と交流するイベント(野球教室など)を開くとか、日向市から毎年キア応援ツアーを本拠地・光州まで派遣するなどしてもいいのではないでしょうか。
 
 今後の予定ですが、キャンプは3月3日(火)まで行われ、選手たちは翌4日に帰国予定です。日本全国から大勢の見学客が集まる日本の球団のキャンプと違って、休日でも球場内に人影がまばらだと思われますが、お近くの方は選手を間近に見られるまたとない機会ですので、是非見学に行かれることをお勧めします。2月下旬には宮崎県内でキャンプ中の読売、東京ヤクルトの2軍との練習試合も予定されています(日時、場所未定)。
(文責:ふるりん)