DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2024年 シーズン展望 第5回 トゥサンベアース

5年ぶり7度目の韓国シリーズ優勝へ

 2023年はプロ野球個人通算最多本塁打(467本)のイ・スンヨプ新監督(元オリックス)の就任1年目ということで大いに注目され、レギュラーシーズン5位で2年ぶりにポストシーズン進出を果たしたがワイルドカード決定戦でNCダイノスに敗れた。先発投手クァク・ピンの成長など若手投手陣の台頭はあったが、野手の世代交代はあまり見られなかった。新外国人選手ラモスとの契約以外に目立った補強はなく、現有戦力の底上げで2年ぶりの韓国シリーズ進出、5年ぶり7度目の優勝を目指す。 

 


【投手陣】

〈先発〉 
アルカンタラ、△ブランドン、クァク・ピン、チェ・ウォンジュン、キム・ミンギュ、キム・ドンジュ

〈リリーフ〉
パク・チグク、キム・ミョンシン、△チェ・スンヨン、△イ・ビョンホン、チョン・チョルォン、イ・ヨンハ、◎キム・テギョン、ホン・ゴンヒィ

注 : ◎は新戦力、△は左腕。

 先発投手陣では2023年チーム最多勝(13勝)のアルカンタラ(元阪神)、11勝のブランドンの外国人選手2名、韓国人で最多勝(12勝)のクァク・ピンの3名が中心となる。先発4番手以降の層が厚くなかったが、22歳のキム・ドンジュ、キム・ミンギュなどの活躍があれば優勝争いに残れる可能性が高まる。2023年は3勝のみと不調だったチェ・ウォンジュンの復活も期待される。

 リリーフではキム・ミョンシン、パク・チグク、チョン・チョルォンなどが中継ぎをつとめてきた。2023年、チーム最多の22セーブを記録したホン・ゴンヒィが負傷で出遅れているため、キャンプの練習試合から好投を続けている18歳の高卒新人キム・テギョンの起用も考えられる。

 

【打撃陣】

〈先発予想〉

捕手:ヤン・ウィジ

一塁:ヤン・ソックァン

二塁:カン・スンホ

三塁:ホ・ギョンミン

遊撃:パク・チュニョン

外野:◎✕ラモス、チョン・スビン、△チョ・スヘン

DH:△キム・ジェファン

〈控え〉
(捕手) アン・スンハン、✕チャン・スンヒョン
(内野手) キム・ミンヒョク、キム・ジェホ、イ・ユチャン、パク・ケェボム、チョン・ミンジェ
(外野手) 、△キム・インテ、△ヤン・チャニョル、△ホン・ソンホ、キム・デハン

注 :◎は新加入、△は左打ち、✕は両打ち。

 36歳となった正捕手ヤン・ウィジ、2023年のチーム最多本塁打(21本)・打点(89)のヤン・ソックァンが打線の主軸を担い、2023年は10本塁打と不振だった35歳のキム・ジェファンも復活をかける。新外国人選手ラモスは2022年にKTウィズと契約し負傷でシーズン途中に自由契約となっているが、2度目の韓国挑戦で結果を残したい。

 そのほか三塁手のホ・ギョンミン、2023年の盗塁王(39)のチョン・スビンなど、実績のある生え抜きの野手たちがそろってはいるが、若手の台頭に乏しく得点力不足に陥ることが懸念される。そういった中で26歳のパク・チュニョンがレギュラーの定着を期待され、示範競技などで起用されている。

 

【本拠地】 

ソウル・蚕室野球場 

 首都ソウル特別市の南東部にあり、韓国を代表する25000人収容の野球場。周囲は蚕室総合運動場や体育館もある総合運動場であり、プロサッカー、プロバスケットボールなど各種競技が開催される。トゥサンだけでなくLGツインスの本拠地でもあり、ライバル意識の強い両チームの対戦は他にない盛り上がりを見せ、3塁側の遠征してきたチームのファンたちも少なくない。両翼100m、左・右中間117m、センター125mと韓国の野球場では最大級の広さがあり、本塁打が出にくい。

 近年他の本拠地球場はMLBなどを手本としたボールパーク化が進められているが、ソウルオリンピック(1988年)の前の1982年に完成した同球場は昔ながらのたたずまいを残し、ロッテタワーなど江南(カンナム)地区の高層ビル群を背景とした特有の活気を感じたい。

蚕室野球場(2023年)


[交通アクセス]
 ソウルメトロ2号線・9号線総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅、5番出入口の目の前が中央チケット売り場である。ただし9号線ホームは2号線ホームと比べ野球場から離れていて徒歩5分前後かかる。9号線はソウル高速バスターミナル、金浦空港とを結び、韓国の他地域や国外からも観戦に訪れやすい。
 
(文責 : ふるりん