DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2021年 シーズン展望 第2回 トゥサンベアース

2年ぶりの韓国シリーズ優勝へ

 

 2020年はポストシーズンを勝ち抜き、史上最多タイの6年連続で韓国シリーズに出場するもNCダイノスに敗れたトゥサンベアース。シーズンオフにFA(フリーエージェント)となったオ・ジェイルがサムソン、チェ・ジュファンがSSG(元SK)へ移籍し、再契約したチョン・スビン、キム・ジェホ、ユ・ヒィグァンなどの主力選手たちも高齢化が進んでいる。世代交代を進めつつ2年ぶりの韓国シリーズ優勝が目標となる。

 
【投手陣】

〈先発〉 
◎ロケット、◎△ミランダ、チェ・ウォンジュン、イ・ヨンハ、△ユ・ヒィグァン、キム・ミンギュ
〈リリーフ〉
パク・チグク、△イ・ヒョンスン、ホン・ゴンヒィ、キム・ガンニュル、キム・ミョンシン、ユン・ミョンジュン、イ・スンジン

注 : ◎は新戦力、△は左腕
  
 2020年に最多勝(20勝)を記録したアルカンタラ、ポストシーズンで活躍したフレクセンと2人の外国人選手が国外へ移籍し、代わりとなる新外国人選手のロケット、ミランダ(元福岡ソフトバンク)は未知数である。韓国人選手では26歳のチェ・ウォンジュンが2020年に初のシーズン10勝と成長を遂げ、韓国シリーズで好投した21歳のキム・ミンギュに先発定着の期待がかかる。また2020年は不振だったまだ23歳のイ・ヨンハの復活も必須である。

 リリーフは抑えが課題であり、2020年シーズン途中にSKから移籍し一軍で好投した26歳のイ・スンジンが候補に挙げられている。絶対的な守護神が優勝のためには不可欠である。

 

【打撃陣】

〈先発予想〉

捕手:△ パク・セヒョク

一塁:◎ヤン・ソックァン

二塁:△ オ・ジェウォン

三塁:ホ・ギョンミン

遊撃:キム・ジェホ

外野:パク・コヌ、チョン・スビン、△キム・ジェファン

DH:△フェルナンデス


〈控え〉
(捕手) チェ・ヨンジェ
(内野手) ◎ パク・ケェボム、キム・ミンヒョク、◎ カン・スンホ、クォン・ミンソク、◎△ アン・ジェソク
(外野手) △チョ・スへン、△キム・インテ、×クク・ヘソン、△アン・グォンス

注 :◎は新加入、△は左打者、×は両打ち。

 オ・ジェイル、チェ・ジュファンと主力の内野手2名が移籍したことで選手起用が注目されている。2019-2020年と2年連続でリーグ最多安打を記録した韓国3年目の外国人選手フェルナンデス、2020年に30本塁打・113打点とチーム最多を記録した4番打者キム・ジェファンの2名が軸となるも、得点力の低下は懸念されている。そのためLGとのトレードで右の長距離打者ヤン・ソックァンを獲得した。

 幸いチョン・スビン、ホ・ギョンミン、パク・コヌ、キム・ジェホなどの主力が健在で、36歳のオ・ジェウォンがチェ・ジュファンなどの穴を一時的に埋めるとは思われる。ただ先を考えるとFA移籍による補償選手として移籍したパク・ケェボム、カン・スンホ(2019年の飲酒事故による出場停止処分中)の2名、高卒新人アン・ジェソクなどの若手に多くのチャンスを与えたい。2015年オフのキム・ヒョンス(現LG)、2018年オフのヤン・ウィジ(現NC)などFAにより主力が移籍してもその穴を埋める選手の起用に成功してきた育成能力の高さが発揮されるであろう。

 

 就任7年目と長期政権となったキム・テヒョン監督は、3度の韓国シリーズ優勝とチームの黄金時代を築き上げたが、投打ともに次代の主力の育成が急務となった。投打の柱だった外国人、韓国人選手の移籍により戦力が低下したと思われるも、地力を見せ7年連続の韓国シリーズ出場、2年ぶりの優勝は決して非現実的な目標ではない。

 

【本拠地】 

ソウル・蚕室野球場 

 首都ソウル特別市の南東部にあり、韓国を代表する25000人収容の大型野球場。周囲は蚕室総合運動場や体育館もある総合運動場であり、プロサッカー、プロバスケットボールなど各種競技が開催されるスポーツのメッカである。この野球場はトゥサンだけでなくLGの本拠地でもあり、ライバル意識の強い両チームの対戦は他にない盛り上がりを見せる。両翼100m、左・右中間117m、センター125mと韓国の野球場では最大級の広さがあり、本塁打が出にくい。

 ここ10年あまり、韓国のプロ野球本拠地はMLB(メジャーリーグベースボール)などを手本としたボールパーク化が進む中、完成した1982年ごろと比べ大きな変化がない同球場はやや古びた印象を受けるが、ロッテタワーなど江南(カンナム)地区の高層ビル群に近い大都市の野球場には韓国ならではの活気を感じられる。

 


[交通アクセス]
 ソウルメトロ2号線・9号線総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅、5番出入口の目の前が中央チケット売り場である。ただし9号線ホームは2号線ホームと比べ野球場から離れていて徒歩5分前後かかる。9号線は高速バスターミナル、金浦空港などを結んでいるため、韓国の他地域や国外からも観戦に訪れやすい。
 
(文責 : ふるりん