DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2024年 シーズン展望 第6回 キアタイガーズ

イ・ボムホ新監督、2年ぶりのポストシーズン進出へ

 2023年は6位で2年連続ポストシーズン進出に失敗した。2024年1月末、海外キャンプへの出発を前にしてキム・ジョングク監督が背任、収賄の嫌疑で捜査を受けていることが明らかになり解任され、2月13日に打撃コーチだったイ・ボムホ新監督(元福岡ソフトバンク)が内部昇格で就任した。1981年生まれと10チーム中で最年少の監督のイメージで、不祥事からの刷新を図ろうとしていると思われる。

 オフシーズンは新外国人選手のクロウ、ネイルの2名の投手と、2014年の首位打者で2023年シーズン終了後にLGツインスから自由契約となった内野手ソ・ゴンチャン以外大きな補強はなかった。イ・ボムホ新監督は現有戦力の底上げで2年ぶりのポストシーズン進出、2017年以来7年ぶり12度目の韓国シリーズ優勝を目指す。

 
【投手陣】

〈先発〉 
△ヤン・ヒョンジョン、△イ・ウィリ、◎クロウ、◎ネイル、△ユン・ヨンチョル、ファン・ドンハ

〈リリーフ〉
△イ・ジュニョン、ユン・ジュンヒョン、パク・チュンピョ、△チェ・ジミン、△キム・デユ、イム・ギヨン、◎イ・ヒョンボム、チョン・サンヒョン、チャン・ヒョンシク、チョン・ヘヨン

注 : ◎は新加入、△は左腕

 現役では個人通算最多となる168勝のヤン・ヒョンジョンは36歳となり、年齢による衰えを懸念しなくてはならない。次世代のエースである21歳の左腕イ・ウィリは2023年も11勝と数字を残したが、6回以上3失点以内のクォリティースタートが6試合と少なかったのが懸念である。20歳となるプロ2年目の左腕ユン・ヨンチョルは2023年に8勝を記録、さらなる成長が予感される。右腕の先発要員が少ないため、新外国人選手のクロウ、ネイルともに右腕となった。

 リリーフでは先発もこなせるサイドハンド右腕のイム・ギヨン、チョン・サンヒョン、チョン・ヘヨンなどが軸となる。2023年に杭州アジア競技大会など韓国代表で活躍した20歳のチェ・ジミンなど、比較的左腕のリリーフも豊富である。先発がやや手薄な分、リリーフの細かい継投で勝利を拾う展開が多くなると予想される。

 

【打撃陣】

〈先発予想〉

捕手:キム・テグン

一塁:ファン・デイン

二塁:キム・ソンビン

三塁:キム・ドヨン

遊撃:パク・チャンホ

外野:△ナ・ソンボム、△ソクラテス、イ・ウソン

指名:△チェ・ヒョンウ

〈控え〉
(捕手) △ハン・ジュンス、ハン・スンテク
(内野手) △キム・ギュソン、△◎ソ・ゴンチャン、ピョン・ウヒョク、パク・ミン
(外野手) △チェ・ウォンジュン、△キム・ホリョン、△コ・ジョンウク、イ・チャンジン

注 : ◎は新加入、△は左打者。

 2023年はキム・ドヨン、ナ・ソンボムなどが故障などで欠けていた期間が長く、2024年シーズンは主力がそろって戦い続けられるようにしたい。個人通算251本塁打の34歳のナ・ソンボム、韓国3年目の外国人選手ソクラテスが打線の軸となり、走攻守そろったプロ3年目の20歳の大型内野手キム・ドヨン、プロ野球史上最多の個人通算打点(1542)を記録した40歳のチェ・ヒョンウがその前後を固める。

 また2度の盗塁王(2019年、2022年)となったパク・チャンホ安打製造機のキム・ソンビンなどのチャンスメイカーもそろっている。控えの層も厚く、打線が最大限の力を発揮すれば優勝争いに残れるチャンスは十分にあると思われる。2023年は不振で5本塁打に終わったファン・デインの復活にも期待したい。

 

【本拠地】
光州・キアチャンピオンズフィールド

 韓国南西部の中心都市・光州(クァンジュ)はソウルや釜山などの大都市から距離があり、特有の文化や風情がある。試合中には全羅南道ご当地ソングである「南行きの列車(ナメンヨルチャ)」が観客席から何度も聞こえてくることもある。首都圏の蚕室野球場などでも、3塁側の内野応援席がキアファンで溢れかえることも少なくない。現在も光州キアチャンピオンズフィールドの内野スタンドの壁面に、隣の無等(ムドゥン)野球場で栄光の歴史を刻んできたヘテ時代の9度の韓国シリーズ優勝を記念したエンブレムが飾られている。またレフト外野の球場外には、前身のヘテタイガーズからの歴史館もある。
 2014年に開場した現代的なボールパークは、そういった勝利の伝統が息づくチームにふさわしい威容だ。西日がまぶしいためキアは3塁側ベンチを使用し、応援ステージも3塁側内野席に設置されている。外野には木造の椅子とベンチ、砂場などもあり、老若男女問わずグループ観戦に便利である。また世界中に自動車を輸出するキアグループの球団のため、自社のモデルカーが展示されることもある。

 

光州キアチャンピオンスフィールド(2023年)

 

[交通アクセス]

 韓国各都市からのバスが発着する光州総合バスターミナルからは徒歩15分程度。KTXが停車する光州松汀(クァンジュソンジョン)駅からは、比較的近い光州駅

までの列車が運行されている。光州駅からはタクシーで10分程度。

  
(文責 : ふるりん