2020年プロ野球ポストシーズンは準プレーオフへと入り、レギュラーシーズン3位・トゥサンベアースと、キウムヒーローズとのワイルドカード決定戦に勝利したLGツインスの対戦となった。トゥサンは2015年以降6年連続でポストシーズンに進出し、プロ野球史上最多タイとなる6年連続韓国シリーズ出場、2連覇を目指している。LGは2年連続のポストシーズン出場で、2016年以来となるプレーオフ進出を目指している。同じ蚕室野球場を本拠地とするトゥサンとLGのポストシーズンでの対戦は2013年プレーオフ以来7年ぶりで、過去の対戦成績は2勝2敗である。準プレーオフでは1993年、1998年ともにLGが勝利し、プレーオフでは2000年、2013年ともにトゥサンが勝利している。
準プレーオフは2008年から2019年まで5戦3先勝制だったが、2020年シーズンは開幕が5月5日と遅れたため、2007年以来13年ぶりに3戦2先勝制に短縮された。第1戦の予告先発はトゥサンがフレクセン(※21試合・8勝4敗・防御率3.01)、LGが高卒新人イ・ミンホ(※20試合・4勝4敗・防御率3.69)と発表された。
先に2勝したほうが、11月9日(予定)からのプレーオフに出場、レギュラーシーズン2位・KTウィズと11月17日(予定)からの韓国シリーズ(NCダイノスの出場が決定済み)出場権をかけて戦う。
※ ( )内は2020年レギュラーシーズンの成績。
【2020年 準プレーオフ トゥサンベアース-LGツインス:日程】
第1戦 : 11月4日 18時半 ソウル・蚕室
第2戦 : 11月5日 18時半 ソウル・蚕室
第3戦 : 11月7日 14時 ソウル・蚕室
注:第1戦と3戦はトゥサン、第2戦はLGが後攻。
【準プレーオフ展望】
2018年と2019年にレギュラーシーズンを2連覇、2019年も含めて過去5年間で3度の韓国シリーズ優勝に輝いたトゥサンベアース。2020年シーズンも優勝の有力候補だったが、NCダイノスの首位独走を許し混戦の2位争いに巻き込まれ、最終盤の4連勝で3位を確定させポストシーズンは準プレーオフからの出場となる。144試合を終えLGとは79勝61敗4分と全くの同率だったが、直接対決で9勝6敗1分と勝ち越していたためトゥサンが上位扱いとなった。
11月2日、キウムヒーローズとのワイルドカード決定戦で延長13回の激闘でサヨナラ勝ちし準プレーオフに進出したLGは、第1戦の先発をまだ19歳の新人イ・ミンホに託さざるを得ない苦しい状況だ。イ・ミンホはレギュラーシーズンで16試合に登板、4勝と将来の活躍を予感させる才能を見せたが、ポストシーズンの大舞台で緊張せずに投げられるかは未知数だ。対する第1戦のトゥサンの予告先発は、故障が長引きレギュラーシーズンで8勝にとどまったが10月は4連勝、防御率0.85と絶好調の外国人選手フレクセンであり、10月30日のレギュラーシーズン最終戦から中4日の休養を挟んだため有利に思える。
第2戦の先発はトゥサンがレギュラーシーズン最多勝(20勝)の外国人選手アルカンタラ、LGが外国人選手ウィルソンと予想される。ウィルソンはレギュラーシーズンで10勝を記録したが、故障で10月4日を最後に1ヵ月ほど一軍で登板していないため、調子が戻っていなければトゥサンが有利となる。アルカンタラは特に9月以降先発で10連勝と絶好調である。
2勝すればプレーオフに進出できるため、トゥサンとしては外国人選手の先発2枚看板で第2戦で決着をつけたいところだろう。もし第3戦までもつれれば、LGはレギュラーシーズンでチーム最多勝(15勝)、ワイルドカード決定戦で7回2失点だったケリーの先発が予想されるのに対し、トゥサンはベテラン左腕のユ・ヒィグァン、または2020年シーズン先発に定着した右腕チェ・ウォンジュンのどちらかになると思われ、勝敗の行方は全く分からなくなる。
リリーフに関しては両チームともに経験豊富な選手がそろっている。特にトゥサンでは8月下旬に先発からリリーフに転向したイ・ヨンハが不振から脱し、9月下旬からは抑えとして安定した投球を続けているのが好材料である。21歳のチョン・ウヨン、22歳のコ・ウソクとLGの若きリリーフ陣の柱の2名との投げ合いも注目したい。
攻撃陣であるが、トゥサンはチーム本塁打(30本)・打点(113)トップのキム・ジェファン、リーグ最多安打(199本)の外国人選手フェルナンデスを軸にオ・ジェイル、パク・コヌ、チェ・ジュファン、ホ・ギョンミン、チョン・スビン、キム・ジェホ、パク・セヒョクなど3度の韓国シリーズ優勝に貢献した選手たちからなる強力な打線が構成されている。控えの選手の層は厚くないが、経験豊富な35歳のベテラン内野手オ・ジェウォンが復帰しており、代打などで流れを変える働きを見せてくれるかもしれない。
LGの攻撃陣もトゥサンに大きく見劣りはしない。チーム最多打点(118)のキム・ヒョンス、最多本塁打(38)の外国人選手ラモスを軸にオ・ジファン、チェ・ウンソン、ユ・ガンナム、イ・ヒョンジョンなどの強力な打者たちがそろっている。2020年シーズンに外野のレギュラー、1番打者に定着したホン・チャンギが大舞台を通してさらなる成長を遂げる可能性にも期待したい。また、2020年シーズン限りでの現役引退を予定している41歳の大打者パク・ヨンテク(個人通算2504安打)が代打の切り札として控えており、打席に立てば蚕室野球場のLGファンたちからかつてない大歓声が聞こえてくるであろう。
レギュラーシーズン終盤の勢いと余裕を考えればトゥサンが有利であるが、同じ蚕室野球場を本拠地とするLGとしても、2002年以来となる韓国シリーズ出場に向け、ライバルとの大舞台での激突に並々ならぬ闘志を見せるはずだ。第3戦までもつれ込む接戦を期待したい。
(文責:ふるりん)