DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  プレミア12決勝、完封勝ちで初代王者に

韓国 8−0 アメリ  (日本・東京ドーム)
(勝)キム・グァンヒョン  (敗)セゴビア
本塁打) 韓国 : パク・ピョンホ


 WBSCプレミア12の初代王座の座をかけた決勝戦は21日、日本・東京ドームで開催され、19日の準決勝で日本に勝利した韓国代表はアメリカ合衆国代表と対戦した。


 韓国は1回表、アメリカの先発セゴビアから1番チョン・グヌ(ハンファ)がヒットで出塁しすかさず2塁へ盗塁すると、2番イ・ヨンギュ(ハンファ)のタイムリーで1点を先制した。この回4番イ・デホ(福岡ソフトバンク)の四球、5番パク・ピョンホ(ネクセン)の死球で満塁としたが、無得点に終わった。韓国は2回表も先頭の7番ファン・ジェギュン(ロッテ)がヒットで出塁し2塁へ盗塁したが、得点に至らなかった。だが3回表イ・ヨンギュが四球を選ぶと、3番キム・ヒョンス(トゥサン)のタイムリーで3点目を奪いセゴビアをノックアウトした。この後アメリカの2番手バウンダースから6番ソン・アソプ(ロッテ)が四球を選んだが追加点は奪えなかった。
 韓国の先発キム・グァンヒョン(SK)は3回裏1番メイ、2番ソトの連続安打でピンチを招いたが無失点に抑えた。韓国は4回表9番キム・ジェホ(トゥサン)の2塁打を足掛かりに満塁とし、キム・ヒョンスの2点タイムリーでリードを広げると、パク・ピョンホの特大の3ランで7-0と一方的な展開にした。アメリカは4回裏先頭の4番マクブライドが2塁打で出塁したが、続く5番パストルニッキーが内野ゴロに倒れ投手キム・グァンヒョンが捕って投げた際にボールが当たってしまった。これは1塁線の内側を走っていたため守備妨害でパストルニッキーがアウトとなった。この後6番ブラック(KT)などが凡退し無得点に終わった。韓国は6回表アメリカの3番手バスケスから満塁のチャンスをつくり、代わった4番手チャーチから途中出場の6番ミン・ビョンホンがライトフライを打ち上げ、犠牲フライになるかと思いきや外野からの好返球で、3塁走者は塁間に挟まれアウトとなり無得点に終わった。
 韓国は6回裏から2番手イム・チャンミン(NC)に交代した。7回裏からは3番手チャ・ウチャン(サムソン)が登板した。韓国は8回表、アメリカの5番手イブランド(元ハンファ)からチョン・グヌ、イ・ヨンギュの連打で無死1,3塁のチャンスをつくった。ここでキム・ヒョンスがレフトフライを打ち上げ犠牲フライになると思いきや、これまたレフトからの好返球で3塁走者は本塁で憤死した。そしてチャ・ウチャンは8回裏途中で4番手チョン・デヒョン(ロッテ)に交代し無失点を続けた。韓国は9回表、アメリカの7番手コールマンからミン・ビョンホンのヒット、代打オ・ジェウォンの四球、キム・ジェホのヒットで満塁とし、チョン・グヌの押し出しで8点目を奪った。
 韓国は9回裏、5番手としてチョ・サンウ(ネクセン)を登板させ三者凡退に抑え、見事完封リレーで決勝戦を制し、WBSCプレミア12初代王者に輝いた。


 8日の日本戦、15日のアメリカ戦に続いて3度目の先発登板となったキム・グァンヒョンは5回を無失点に抑え、ようやく勝利に貢献できた。打線ではキム・ヒョンスが3安打3打点と活躍し、さらには大会MVP(最優秀選手)まで受賞した。チョン・グヌも3安打1打点と活躍。その他大会ベストナインには韓国からファン・ジェギュン(ロッテ)が三塁手、キム・ヒョンスが外野手、イ・デホ指名打者部門でそれぞれ選出された。


 2015年11月、新しい野球の国際大会として開催されたWBSCプレミア12において、韓国代表は優勝すれば兵役免除などの恩典があったわけではない。だが、2006年・2009年WBC(ワールドベースボールクラシック)などにおいて好成績を収めた名将キム・インシク監督や経験豊富なコーチ陣からなる代表チームは、米国メジャーリーグの国際的に高い評価を受けている選手が出場できない中、国内のプロ野球と日本プロ野球で活躍する選手の中で集団として機能するチームづくりを心がけ、最高の結果を出すことができた。そして2度のWBCで優勝に手が届かなかったキム・インシク監督にとっては、初の世界タイトルが人生最高の栄誉となった。だがもう68歳という年齢を考えると、韓国代表を率いて困難な世界大会を戦い抜くことができる新たな指揮官も育てていかなくてはならない。

 
 まさに自分の将来のためだけではなく、韓国の野球界をさらに一段高いところへ飛躍させるために日本、台湾の地で2週間あまり、全8試合の厳しい戦いを勝ち抜き、新しい栄光の歴史を開いた2015年WBSCプレミア12韓国代表。その中には先日米国メジャーリーグミネソタツインズからポスティングにより1285万ドルで落札された4年連続本塁打王パク・ピョンホなど、新たな舞台へ挑む選手もいる。またそう遠くないうちに、次のステージでさらなる成長を見せた選手たちが、太極旗のついたユニフォームに袖を通し一致団結して再び世界の頂点を目指す戦いに臨むことを、きっと多くの人々が望んでいるはずだ。





(文責:ふるりん