DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  札幌ドームで公式記者会見

 野球の新しい国際大会・WBSCプレミア12に出場する韓国代表は、グループB初戦にて大会開幕戦の日本戦(11月8日19時-)の会場となる日本・札幌ドームで、キム・インシク監督が日本代表・小久保裕紀監督とともに出席し共同記者会見を行った。また韓国代表も札幌市内の北海道日本ハムファイターズの室内練習場で練習を行った。


 日本戦、韓国の先発はキム・グァンヒョン(SK)であると報じられている。2015年シーズンは14勝をあげた左腕は2008年北京オリンピックで日本を封じた印象が強いが、2009年WBC(ワールドベースボールクラシック)では攻略されてしまった。2011年以降故障もあり成績を落としたが、2013年から3年連続2ケタ勝利と安定した成績を残してはいる。だが2008年8月のころほどの強烈さやしなやかさはないため、日本プロ野球千葉ロッテで活躍するイ・デウンが早い段階でリリーフ登板することも予想される。
 韓国代表の打線では、2012年から4年連続本塁打打点王、2014−2015年とプロ野球史上初の2年連続50本塁打以上を記録し、メジャーリーグへのポスティングで1285万ドルで落札されたパク・ピョンホ(ネクセン)に注目が集まり、日本代表の先発に予定されている大谷翔平(北海道日本ハム)との対決が期待されている。その他の中軸としては国際大会の経験が豊富だが、10月の日本シリーズでの手首の負傷が心配となるイ・デホ(福岡ソフトバンク)、28本塁打のパワーだけでなく23盗塁の俊足も兼ね備えるナ・ソンボム(NC)、自己最高の28本塁打・121打点を記録し国際大会の経験も豊富なキム・ヒョンス(トゥサン)などがあげられる。
 これらの中軸を生かすのがイ・ヨンギュ、チョン・グヌ(ハンファ)のこれまた経験豊富なチャンスメーカータイプの打者たちだ。下位打線にはファン・ジェギュン、カン・ミンホ(ロッテ)、キム・サンス(サムソン)などが控え、代表チームらしい力強くスピード感にあふれる打線が構成される。またヤン・ウィジ、キム・ジェホ、ホ・ギョンミン、オ・ジェウォン、ミン・ビョンホンなど、2015年の韓国シリーズ優勝チーム、トゥサンの選手たちは守備や走塁などで重要なバイプレイヤーとしての活躍を期待したい。


 リリーフ陣は絶対的な守護神こそいないが、右のイ・テヤン、イム・チャンミン(NC)、チョ・ムグン(KT)、左のイ・ヒョンスン(トゥサン)、チャ・ウチャン(サムソン)チョン・ウラム(SK)、アンダースローのチョン・デヒョン(ロッテ)、シム・チャンミン(サムソン)など多様なタイプがそろっている。日本戦もこれらの投手による小刻みな継投が考えられる。


 日本戦を終えた後、残りのグループBの試合はすべて台湾で行われる。そのため寒冷な北海道から温暖な台湾への環境の適応が求められる。先発要員としてはアンダースローのウ・ギュミン(LG)、左腕チャン・ウォンジュン(トゥサン)の起用が予想されるが、所属チームで先発として活躍するチャ・ウチャン、イ・テヤンなどの起用も考えられる。日本が最大の強敵とされているが、グループリーグ5試合全体を考えた選手起用が肝要だ。短期決戦ゆえに取りこぼしは絶対に許されず、2002年釜山アジア大会、2006年・2009年WBCと国際大会で結果を残してきた経験豊富な名将キム・インシク監督の手腕に注目が集まる。

 グループBでは6チーム中上位4チームが準々決勝に進出し、グループA(台湾・キューバ・カナダ・プエルトリコ・オランダ・イタリア)の上位4チームいずれかと対戦する。


 韓国代表は2008年北京オリンピック優勝、2009年WBC準優勝と国際大会で世界の頂点をかけた戦いに挑み結果を残し、プロ野球の人気向上、規模拡大に貢献してきた。しかし2013年WBCの1次ラウンド敗退、2014年仁川アジア大会での苦戦と、近年の韓国代表チームは、成功した「満ち足りた者」の戦いしか見せられなくなってきている。10チームに拡大したプロ野球も、数年前の爆発的な観客動員は見られなくなってきている。
 このWBSCプレミア12もまだ第1回目で、大会そのものの権威はなく勝ったところで兵役免除などの恩典はない。だが、こういう時だからこそ、10年前とは違い有力選手の中には米国メジャーリーグに直接高額で移籍できる者も現れ、明らかな成長を遂げた韓国の野球界そのものの底力を見せ、次の野球界を担う世代たちに目標を示すことが求められる。長かったプロ野球の公式戦を終えたばかりで疲労が蓄積しているにもかかわらず、国家を背負い未知の相手と対戦する選手たちにはかなりの負担となるが、韓国野球界、そして発展途上の野球の国際大会の今後につながる何かを残してほしい。


【2015 WBSCプレミア12 韓国代表 日程】

〔グループB]
11月8日14時- : 日本(札幌ドーム)
11月11日19時- : ドミニカ共和国(台湾・桃園国際)※
11月12日13時- : ベネズエラ(台湾・桃園国際)※
11月14日19時- : メキシコ(台湾・天母)※
11月15日19時- : アメリカ合衆国(台湾・天母)※

〔準々決勝]
11月16日 : 時間・場所未定(台湾開催)

〔準決勝〕
11月19日19時−、11月20日19時− (日本・東京ドーム)

〔3位決定戦〕
11月21日13時− (日本・東京ドーム)

〔決勝〕
11月21日19時− (日本・東京ドーム)

※は日本・韓国時間。(台湾との時差は1時間マイナス)