DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  東京ドームで記者会見・公式練習

 11月16〜19日、日本・東京ドームで初めて開催される新しい野球の国際大会、アジアプロ野球チャンピオンシップ 2017に出場する韓国代表は14日に日本へ到着し、15日は会場となる東京ドームで公式記者会見にソン・ドンヨル韓国代表監督(元中日)が稲葉篤紀日本代表監督、洪一中台湾代表監督とともに出席した。記者会見の席で16日の大会開幕戦の韓国代表の先発投手はチャン・ヒョンシク(NC)、日本代表の先発投手は薮田和樹(広島)と発表された。その後選手たちは東京ドームで練習を行い、16日の大会初戦となる日本戦に備えた。
 アジアプロ野球チャンピオンシップ 2017はまず韓国、日本、台湾の3チームが総当たりで対戦し、上位2チームが19日の決勝戦に進出し優勝を争う。

【アジアプロ野球チャンピオンシップ2017 日程】
11月16日19時〜:日本−韓国
  17日19時〜:韓国−台湾
  18日18時半〜:台湾−日本
  19日18時〜:決勝


【アジアプロ野球チャンピオンシップ 2017 韓国代表】

[投手]
右腕−キム・ユンドン(キア)、キム・ミョンシン(トゥサン)、イ・ミンホ(NC)、チャン・ヒョンシク(NC)、パク・セウン(ロッテ)、パク・チンヒョン(ロッテ)、キム・デヒョン(LG)、チャン・ピルジュン(サムソン)
左腕−ハム・トクチュ(トゥサン)、ク・チャンモ(NC)、シム・ジェミン(KT)
アンダースロー−イム・ギヨン(キア)

[捕手]
ハン・スンテク(キア)、チャン・スンヒョン(トゥサン)

内野手
チェ・ウォンジュン(キア)、リュ・ジヒョク(トゥサン)、パク・ミヌ(NC)、キム・ハソン(ネクセン)、ハ・ジュソク(ハンファ)、チョン・ヒョン(KT)

[外野手]
キム・ソンウク(NC)、ナ・ギョンミン(ロッテ)、イ・ジョンフ(ネクセン)、アン・イックン(LG)、ク・ジャウク(サムソン)



【韓国代表のチーム紹介】


 まず投手陣から始めたい。
 日本戦の先発チャン・ヒョンシク(NC)は大方の予想を外していたといえる。プロ5年目、22歳の右腕は2017年レギュラーシーズンで31試合に登板、9勝9敗、防御率5.29の成績で、過去の実績も弱くプロ野球10チームの先発投手としては一流とは言い難い。しかし10月9日、ロッテとの準プレーオフ第2戦でチームは敗れたものの7回1失点と好投し、大舞台での輝きを見せ飛躍の可能性を感じさせた。またソン・ドンヨル監督の談によると、日本攻撃陣の機動力を封じるため投球モーションの速いチャン・ヒョンシクを起用したとのことである。
 大前提として、このアジアプロ野球チャンピオンシップ 2017は主に1993年生まれ以降の若手選手のための大会である。韓国代表としては目先の勝敗にもこだわらないわけではないが、チャン・ヒョンシクのみならず多くの若手選手たちに国際部隊での経験を積んでもらい、2018年のレギュラーシーズンに向けて自信をつけ、インドネシアでのジャカルタパレンバンアジア競技大会(2018年8〜9月)など今後のより規模の大きな国際大会に向けての試金石とするのが韓国代表にとっての最大の目的である。
 日本戦の翌日、17日の台湾戦では、10月29日の韓国シリーズ第4戦で6回途中無失点で勝利投手となった24歳のサイドハンド右腕イム・ギヨン(キア ※23試合・8勝6敗・防御率3.65)の先発が予想される。なおほかの先発候補として、今大会の韓国代表では2017年シーズンで最も勝利を記録した21歳の右腕パク・セウン(ロッテ ※28試合・12勝6敗・防御率3.65)などがあげられる。短期決戦ではリリーフによる継投が重要である。投手出身のソン・ドンヨル監督は左右のリリーフ陣を巧みに起用し、勝負の流れを引き寄せる手腕が期待される。ハム・トクチュ(トゥサン ※36試合・ 9勝8敗・防御率3.67)、ク・チャンモ(NC ※31試合・7勝10敗・防御率5.32)、シム・ジェミン(KT ※64試合・1勝7敗13ホールド・防御率5.18)の左腕3人がリリーフの軸となることが予想される。右のリリーフ陣ではチーム最年長の29歳、抑えとして活躍するチャン・ピルジュン(サムソン ※56試合・4勝2敗21セーブ3ホールド・防御率4.68)が中心となり、最大3試合の短期決戦ゆえに小刻みな継投で勝利を拾うことになるかもしれない。
 

 攻撃陣に関しては、レギュラーシーズンで30本塁打以上を記録した長距離砲が若手にいないため迫力不足に感じられる。しかし各所属チームで主軸として活躍する選手たちをそろえ、つながりを重視した打線が構成される。特に注目されるのは2017年シーズンの新人王イ・ジョンフである。レギュラーシーズンでは新人としてはプロ野球史上初めて全144試合に出場、打率.324、2本塁打、47打点、12盗塁を記録し、179安打は新人としてはプロ野球最多記録を更新するなど、19歳とは思えない活躍だった。特に今大会はかつてヘテやキアの主力として活躍した父親のイ・ジョンボム(元中日)が韓国代表の外野守備走塁コーチとして参加していることもあり、親子そろっての国際舞台として注目を浴びている。
 このイ・ジョンフをチャンスメイカーとして、NCでも上位打線を打つ24歳のパク・ミヌ(※103試合・打率.363・3本塁打・47打点・11盗塁)、サムソンでは主に3番を任された24歳のク・ジャウク(※144試合・打率.310・21本塁打・107打点・10盗塁)、2017 WBCにも出場しネクセンでは4番を任されショートを守った22歳のキム・ハソン(※141試合・打率.302・23本塁打・114打点・16盗塁)と、打力も走力も兼ね備えた選手たちがそろい、従来の韓国代表とは違うスタイルを見せてくれるかもしれない。また中には所属チームで主力になりきれていない選手もいるが、この大舞台を成長の糧として2018年以降に生かしてほしい。

(注:※は2017年レギュラーシーズンの成績。)


 WBC(ワールドベースボールクラシック)を頂点とするプロ選手が主体となる野球の国際大会はまだその歴史も浅く、先行きが不透明が部分な面も目立つ。様々な試行錯誤の上に今回実現した若手選手主体の「アジアプロ野球チャンピオンシップ」が、野球界の未来をはぐくむ大会として実りあるものになることを願うばかりである。


(文責:ふるりん