DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第1回 サムソンライオンズ

「黄金時代はいつまで続く」 
2014年成績 : 78勝47敗3分け(韓国シリーズ優勝)
チーム総合採点…90点



 2014年シーズン、サムソンは韓国プロ野球史上初となる公式戦と韓国シリーズのダブル4連覇を達成し、かつてない黄金時代を築き上げた。


 世代交代の時期に差し掛かるであろうし、守護神オ・スンファンが日本プロ野球阪神へ移籍したこともあり、さすがに4連覇は厳しいのではないかという開幕前の見方もあったが、ふたを開けてみれば非常に危なげない戦いぶりだった。4月まで勝率5割前後だったが、5月に19勝4敗と一気に貯金を作ると、シーズン閉幕まで首位の座を譲ることなく公式戦4連覇を達成した。


 5年連続で出場となった韓国シリーズは、強力打線を有するネクセンとの対戦となった。本拠地・大邱での第1戦を接戦で落としたが、第2戦は先発ユン・ソンファンの好投もあり快勝した。敵地・木洞での第3戦は9回表、ベテランのパク・ハニの2ランで競り勝ったが、第4戦に敗れ2勝2敗となり一気に流れを引き寄せられなかった。
 中立地・蚕室で迎えた第5戦は接戦となり、9回表まで0-1とリードされていた。しかし9回裏相手のエラーもあり逆転のチャンスをつくると、チェ・ヒョンウの2点逆転タイムリーでサヨナラ勝ちした。決勝のホームインは、代走キム・ホンゴンの捕手をかいくぐる絶妙なタッチによるものであり、勝利のDNAが控え選手にまで浸透しているサムソンの底力を感じさせた。第6戦は10点差で圧勝し、ネクセンとの地力の差を見せつけての史上2チーム目となる韓国シリーズ4連覇であった。


 韓国シリーズ4連覇の原動力は、豊富な先発陣だった。チーム防御率4.52は9球団中2位だったが、クォリティースタート(先発投手が6イニング以上を投げ自責点3以内)は63と1位だった。韓国2年目のバンデンハークはチーム最多の13勝、最優秀防御率(3.18)と最多奪三振(180)の二冠に輝いた。その他にも右腕ユン・ソンファン(12勝)、左腕チャン・ウォンサム(11勝)、外国人投手マーティン(9勝)、ペ・ヨンス(8勝)と質量ともに他球団の追随を許さなかった。
 リリーフは以前より層が薄くなった。開幕前に復帰した抑えのイム・チャンヨンは31セーブと抑えを任されていたが、防御率は5.84と高くセーブ失敗も9度記録した。代わりに右のアン・ジマン(27ホールド)、左のチャ・ウチャン(21ホールド)を軸とした強力な中継ぎ陣で試合の流れを作ることが多かった。アンダーハンドのシム・チャンミンがやや不調で、右のキム・ヒョヌなどが台頭してきた。捕手陣はベテランのチン・ガビョンが故障もあり出番が少なく、イ・ジヨン、イ・フンニョンなどの併用が続いた。


 チーム打率.301は9球団中トップで、打高投低のシーズンとはいえプロ野球史上初めてチーム打率が3割を超えた。チーム得点812、本塁打数161はともに2位で、特にイ・スンヨプ(元オリックス)の32本、チェ・ヒョンウと外国人打者ナバーロの31本と、シーズン30本塁打以上の打者が3人と破壊力は他球団の脅威となっていた。その他にも27本塁打のパク・ソンミン、99打点のチェ・テインなど頼れる打者がそろっていた。その中でも2012年より日本プロ野球からサムソンへ復帰した大打者イ・スンヨプが精神的な支柱となり、4連覇の原動力となっていた。
 公式戦終盤では1番を打っていたナバーロは25盗塁と足もあり、主に下位を打つ盗塁王キム・サンス(53個)、プロ2年目でレギュラーに定着したパク・ヘミン(36個)と機動力は高く、チーム盗塁数161は9球団中トップで隙がなかった。また毎年安定した成績を残し、韓国シリーズでも活躍したベテランのパク・ハニも健在だった。


 シーズンオフは戦力の流出が目立った。5人もの選手がFA(フリーエージェント)を行使し、ユン・ソンファン、アン・ジマン、チョ・ドンチャンの3人は再契約したものの、長年先発として活躍してきたペ・ヨンス、左のリリーフのクォン・ヒョクの2人がハンファへと移籍してしまった。また、2年間活躍したバンデンハークも日本プロ野球福岡ソフトバンクへと移籍した。
 補強としては日本プロ野球オリックスで活躍したアルフレッド・フィガロ、米国メジャーリーグフィリーズで登板経験のある右腕タイラー・クロイドの新外国人投手2名にとどまった。2011年の就任以降負けを知らないリュ・ジュンイル監督が、イ・スンヨプなど数々の栄光をもたらしたベテラン勢が健在である間に、どのようにして世代交代を進めていき、プロ野球史上初となる韓国シリーズ5連覇を達成するのかに注目が集まる。


(文責 : ふるりん