DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第6回 SKワイバーンズ

「黄金時代の終焉」 

2013年成績 : 62勝63敗3分 (公式戦6位)
チーム総合採点…35点



 2013年シーズン、SKはFAでNCへ移籍したベテラン打者イ・ホジュン、軍へ入隊したリリーフ左腕チョン・ウラムの穴を埋められず、韓国シリーズ連続出場記録が6年で途切れ、7年ぶりにポストシーズン進出を逃した。栄光に酔いしれていたファンたちにとって忘れたくなってしまうような一年間を振り返りたい。


 3月30日の本拠地・文鶴野球場でのLGとの開幕戦で終盤にリリーフが打たれ逆転負けすると、翌31日も新外国人セッドンが先発で好投したものの打線が援護できず連敗スタートとなった。開幕3連敗後、4月3日のトゥサン戦でようやく初勝利をあげた。セッドン、レイエスの新外国人投手2人、ユン・ヒィサンは安定した成績だったが、キム・グァンヒョンなどその他の先発の調子が上がらず、新しく抑えを任されたソン・ウンボムも不振だった。
 打撃好調のチェ・ジョンだけでなくハン・ドンミンなど新しい力の台頭もあり、一発は出たが打率が低く効率の悪い攻撃が目立ち、開幕から1ヶ月ほどたっても勝率5割より少し下をさまよい続けていた。5月6日、チームの起爆剤としてトレードを断行し、ソン・ウンボムとシン・スンヒョンをキアへトレードし、2009年打撃二冠王の長距離打者キム・サンヒョン、左腕チン・ヘスを獲得した。そして7日のトゥサン戦でキム・サンヒョンは移籍後初本塁打を打つなど勝利に貢献し、翌8日のトゥサン戦では史上最大となる10点差を逆転してサヨナラ勝ちし、勝率5割を突破した。
 打線は上向きだったが投手陣が不調で、これ以上勢いに乗ることはなかった。開幕から2ヶ月が過ぎても上昇気流に乗る気配はなく、勝率5割から少しずつ遠ざかり始めた。抑えにはシーズン開幕に間に合わなかった左腕パク・ヒィスが定着したが、その他のリリーフ陣が薄く安定した試合運びができなかった。チェ・ジョンが6月後半になっても打撃三冠王を狙えるほど好調だったが、チームの成績に結びつくことはなかった。
 大きな連敗はなかったが、シーズン半ばに差し掛かった6月末には勝率4割半ばの7位に定着し、勝率5割以上の6位以上とはだいぶ差がついてしまった。7月の梅雨の時期になり雨天中止が相次ぎ、チェ・ジョンの調子が下降してきた。そのため7月後半のオールスター戦を過ぎても7位にとどまり、8月2日のトゥサン戦では頼みのパク・ヒィスが延長戦で打たれ4連敗と、状況は全く改善されそうになかった。
 しかしその後8月14日のキア戦まで引き分け1つをはさんでシーズン初の6連勝と、直接対決で連勝したキアを抜いて6位に浮上した。セッドン、レイエス、キム・グァンヒョン、ユン・ヒィサンの先発投手陣に新鋭のペク・インシクが加わり、パク・チョングォン、キム・ガンミンを中心に打線も好調だった。8月29日まで4連勝で依然6位だったが勝率5割を超え、9月次第では4位以上も夢ではなくなってきた。
 9月5日のロッテとの直接対決で勝利し、ついに5位へ浮上した。9月10日のキア戦で4連勝となり、残り試合は21だったが勝率は.524まで上がり、4位ネクセンまで4ゲームとだいぶ上位に近づいていた。しかしこの時がピークで、9月12日のトゥサン戦でパク・ヒィスが打たれ7点差をひっくり返され逆転負けすると勢いを失ってしまい、18日のLG戦ではキム・グァンヒョンが打たれ4連敗で6位に後退し、公式戦4位以上のポストシーズン出場は絶望的となった。
 9月30日のロッテ戦に敗れ、勝率5割を切って5位浮上すら難しくなった。10月2日のキア戦でセッドンが最多勝トップタイとなる14勝目をあげたが、シーズン最終戦となった5日のNC戦はキム・グァンヒョンをリリーフでテストした結果逆転負けし、勝率5割も維持できず、2007年からの黄金時代が終わったことをプロ野球界に告げてしまった。


 チーム成績を検証する。
 チーム防御率は4.16で9球団中6位だった。最多勝投手のセッドン(14勝)、キム・グァンヒョン(10勝)、レイエス、ユン・ヒィサン(ともに8勝)、シーズン後半先発に定着したペク・インシク(5勝)と先発投手陣は頭数が揃っていた。特に3度の韓国シリーズ優勝に貢献したが、2011年から2012年にかけ満足にシーズンを送れなかったキム・グァンヒョンは3年ぶりの2ケタ勝利と、復活を予感させた。
 問題はリリーフ陣にあった。抑えとなったパク・ヒィス(24セーブ)、サイドハンド右腕のパク・チョンベは安定していたが、ユン・ギルヒョン、イ・ジェヨン、チョン・ユス、チン・ヘスなどの中継ぎ陣は総じて安定感を欠いていた。中継ぎに抑えに活躍したチョン・ウラムの穴は埋められなかった。
 打線はチーム本塁打数124本はネクセンと1本差の2位と、狭い文鶴野球場を生かした一発攻勢が目立ったが、チーム打率.265は5位、チーム総得点588も5位とあまり得点力は高いとは言えなかった。打線の軸は打率.310、28本塁打、83打点、24糖類と好成績を残したチェ・ジョンで、パク・チョングォン(18本塁打・70打点)、ハン・ドンミン(14本塁打・52打点)、キム・ガンミン(10本塁打・58打点)と前後を打つ打者もそろっていて、チョン・グヌ(28盗塁)、チョ・ドンファ(24盗塁)の1,2番コンビは走力もあり、チーム盗塁数144は2位と数字上の攻撃力は低くないように見えた。しかしキム・ソングン前監督時代の主力選手がほぼそのまま残った形で、若手の台頭が少なく選手層は薄くなっていた。またNCへ移籍したイ・ホジュンのような存在感あるベテランの働きが少なくなっていた。
 投打ともに一見上位に引けを取らなかったようではあるが、さりとて選手層は厚くもなく上位球団に対抗できる際立った特徴がなかったため勝率5割弱の6位に終わってしまったとも言える。イ・マンス監督の2年目のシーズンは、これまで築いてきた栄光を無に帰すような内容となってしまった。


 2014年のSKは大きな変革を迫られている。オフシーズンには1番打者として3度の韓国シリーズ優勝に貢献したチョン・グヌがFAでハンファへ移籍し、同じく優勝に貢献したベテラン捕手パク・キョンワンも引退し、新しい主力選手を育成することが急務となった。さらに最多勝投手セッドンも日本プロ野球・読売へと移籍してしまい、戦力の低下が顕著となった。代役の新外国人投手として右腕ロス・ウルフ、新外国人野手として米国メジャーリーグ通算135本塁打の大砲ルーク・スコットとも契約し、外国人左腕ジョジョ・レイエスとも再契約した。2014年シーズンは厳しい戦いが予想されるが、危機をチャンスだと考え再浮上するきっかけをつかめるかに注目したい。

(文責:ふるりん