「世代交代期に突入」
2012年成績 ： 68勝62敗3分け(公式戦3位、準プレーオフ敗退)
チーム総合採点…65点
2012年シーズン、キム・ジヌク新監督を迎えたトゥサンベアーズは、優勝争いから程遠かったまさかの5位に終わった前年からの再建が最重要課題であった。4月7日、本拠地蚕室でのネクセン戦は開幕投手ニッパートが打たれ敗れたが、翌8日のネクセン戦で13-11の乱打戦の末初勝利をあげた。イ・ヨンチャン、イム・テフンなど先発投手陣のがんばりもあり、4月後半は好調でロッテとの首位争いが続いた。混戦の上位争いで、5月15日3連勝で首位に立ったが、20日までに5連敗し5位にまで後退した。キム・ドンジュ、イ・ジョンウク、キム・ソヌなどここ数年チームを支えてきたベテラン選手の成績不振が明らかになってきた。
6月になっても一進一退が続いた。キム・ソヌの不振はあいからわずで、イ・ヨンチャン、ノ・ギョンウンなどが先発の軸となってきた。抑えとして起用されてきた外国人投手プロクターも失敗が目立つようになってきたが、過去2年ほど不振だったホン・サンサムが中継ぎの柱として成長してきた。7月初め4連勝などで調子をあげ、ロッテ、サムソンなどと上位争いをするようになってきた。キム・ソヌの復調とキム・スンフェの台頭など先発投手陣のがんばりと、ヤン・ウィジ、イ・ウォンソクなど若手野手の好調で、7月末には首位サムソンを追いかけ2位にまで上がった。
7月31日から8月2日までの首位サムソン3連戦で3連勝し、2.5ゲーム差に迫り勢いに乗った。8月11日にはサムソンと1.5ゲーム差まで迫ったが、12日から15日まで予定されていた3試合が全て雨天中止となったことで流れが変わった。16日のネクセン戦で敗れると、17日から19日までのサムソンとの3連戦で今度は3連敗を喫し、ロッテ、ＳＫに抜かれ一気に4位にまで後退してしまった。その後浮上のきっかけをつかめず、4位に停滞を続けた。だが9月後半ノ・ギョンウンの好投と、途中からキム・ドンジュに代わって4番に定着したユン・ソンミンの活躍もあって、9月27日下降気味のロッテを抜いて3位に浮上した。だが首位サムソン、終盤絶好調の2位ＳＫとの差を詰められず、公式戦は前年の5位より2つ上がった3位で終わった。
2年ぶりに出場したポストシーズンは、4位ロッテとの準プレーオフでの対戦となった。だがソン・シホン、チョン・スビン、キム・ドンジュなどの主力を欠き苦戦が予想された。接戦となった第1戦は延長にもつれ込んだが、守備の乱れで5-8と敗れた。第2戦も接戦だったが、1-2と敗れ本拠地蚕室で連敗してしまった。舞台を敵地社稷に移した第3戦は、中継ぎに定着した高卒新人ピョン・ジンスの好投もあって7-2と勝利した。第4戦も途中まで3点をリードしていたが、ニッパートのリリーフ起用が裏目に出て同点に追いつかれ、延長戦でプロクターの暴投がきっかけで捕手ヤン・ウィジの悪送球によるサヨナラ負けとなり、準プレーオフ敗退が決まった。
2012年シーズンの投打の成績を振り返る。
投手陣(防御率3.58は8球団中3位)は先発の質が高かった。プロ10年目で才能が開花しチーム最多の12勝を記録したノ・ギョンウン、2011年よりも成績が落ちたがローテーションを守った外国人投手ニッパート(11勝)、先発転向後初の2ケタ勝利を記録したイ・ヨンチャン(10勝)が三本柱だった。ベテランのキム・ソヌは年齢による衰えか、前年の16勝から6勝となった。キム・スンフェは後半先発に定着し6勝をあげた。
リリーフは中継ぎの中心がホン・サンサム、抑えが35セーブをあげたプロクターと役割分担がはっきりしていたが、層は厚くなかった。イ・ヘェチョン(元東京ヤクルト)が相変わらず成績の向上の兆しがなく、キム・チャンフンが左腕リリーフの中心だった。ピョン・ジンスは高卒新人ながら右サイドハンドの利点を生かして一軍に定着し、コ・チャンソン(オフにＮＣへ移籍)の不振の穴を埋めた。プロクターは7度のセーブ失敗で、準プレーオフの敗因となるなど信頼を得られなかった。
2010年のトゥサンは20本塁打以上の打者が5人もいる強力打線だったが、2012年シーズンはシーズン後半4番に定着したユン・ソンミンがチーム最多の10本塁打と、プロ野球全体の本塁打数が減っているとはいえ、長打力不足はチーム本塁打数59本(8球団中7位)と顕著だった。かつて不動の4番だったキム・ドンジュは足の故障が癒えずシーズン後半を棒に振り、同じ右の大砲のチェ・ジュンソクも成績不振だった。2010年は24本塁打を記録した主軸のキム・ヒョンス、同じく20本塁打のヤン・ウィジも、2012年シーズンはそれぞれたったの7本塁打、5本塁打である。またチーム最多盗塁(24個)のチョン・スビン、ショートのレギュラーのソン・シホンも負傷が多く、かつては不動の1番打者だったイ・ジョンウクも走攻守ともに衰えが見られた。
2012年シーズンオフ、最大の話題はＦＡ(フリーエージェント)でロッテの主力打者として4年間活躍したホン・ソンフンが、2008年以来4年ぶりにトゥサンへ復帰したことであった。しかしその人的補償で主力投手の一人キム・スンフェをロッテへ持って行かれてしまった。また守護神として安定した働きができなかったプロクターと再契約せず、2010年14勝をあげ活躍し日本プロ野球・東北楽天へ移籍したヒメネスが3年ぶりに復帰することが決まった。ニッパートとも再契約し、強力な先発投手陣は維持されそうである。
ただ、ここ数年間主力として活躍してきた選手たちがヤン・ウィジを除いて下り坂に入っていることが多く、2013年シーズンはさらに世代交代を推し進めなくてはならなくなっている。育成と優勝を両立させられるのか、2001年以来12年ぶりの韓国シリーズ優勝を目指すキム・ジヌク監督が背負う課題は多い。
(文責 : ふるりん)
