2009年シーズンは、3位に進出した前年の勢いをかって久しぶりの優勝が期待されたが、結局公式戦4位で2年連続のポストシーズン進出を果たしたものの、準プレーオフでまたもやあっけなく敗れ、熱狂的な釜山のファンたちは、まだまだ優勝を狙うには程遠いチームであることを実感させられた。2010年シーズンは、3年目を迎えた外国人監督ロイスターにとっても、自らの去就をかけた勝負の1年となる。
【投手陣】
〈先発〉
チョ・ジョンフン、ソン・スンジュン、△チャン・ウォンジュン、サドースキー、△イ・ミョンウ、イ・ヨンフン
〈中継ぎ〉
ナ・スンヒョン、キム・イリョプ、ペ・ジャンホ、△ハ・ジュンホ、ホ・ジュンヒョク、キム・サユル、イ・ジョンミン
〈抑え〉
イ・ジョンフン、イム・ギョンワン
注 : △は左腕
2009年最多勝(14勝)のチョ・ジョンフン、13勝の左腕チャン・ウォンジュンと右腕ソン・スンジュンが先発三本柱だったが、チョ・ジョンフンは肩の痛みで春季キャンプから大きく出遅れ、3月27日の開幕には間に合わない見込みだ。そうなると、キャンプから評価が高い新外国人サドースキーに期待が集まる。チョ・ジョンフンが登板できるようになれば、8球団でもトップクラスの先発陣ができあがる。エースとして活躍してきたソン・ミンハンは、2009年から続く故障が癒えず復帰時期は未定。
ハ・ジュンホ、ホ・ジュンヒョク、パク・シヨンなど若手の台頭により、左腕不足ではあるが、中継ぎを中心としたリリーフ陣の層はだいぶ厚くなった。2009年セーブ王となったが内容はあまりよくなかった外国人投手アドキンスを放出し、抑えにはイ・ジョンフンやサイドハンドのイム・ギョンワンなどが任されると思われる。絶対的な切り札は少ないが、質より量で勝利の方程式を作っていくことになるであろう。
【打撃陣】
(ベストオーダー)
1.キム・ジュチャン(左)
2.イ・スンファ(中) △
3.チョ・ソンファン(二)
4.イ・デホ(一)
5.ガルシア(右) △
6.ホン・ソンフン(指)
7.カン・ミンホ(捕)
8.チョン・ボミョン(三)
9.パク・キヒョク(遊)
(控え)
×チェ・ギムン、チャン・ソンウ、パク・チュンソ、チョン・ジュヌ、キム・ミンソン、△パク・チョンユン、△ソン・アソプ、ファン・ソンヨン
注 : △は左打者、×は両打ち。
2009年は負傷が多く戦線を離脱していた期間が長かったチョ・ソンファンが好調を維持していて、主砲イ・デホ、韓国3年目の外国人野手ガルシア(元オリックス)と組むクリーンアップは破壊力満点だ。これに2009年首位打者争いをしたホン・ソンフンが6番を打つと、他球団への脅威はさらに増す。
だがクリーンアップ以外に長打を望める選手が少なく、2009年は上位から下位まで満遍なく打線がつながることがあまりなかった。しかし2010年シーズンは、不振だったパク・キヒョクの復活、チョン・ジュヌ、ソン・アソプ、ファン・ソンヨンなどレギュラーを狙う若手野手たちの成長で、確実に打線に厚みが増した。また、2009年不振だった若き正捕手カン・ミンホと、ベテラン捕手チェ・ギムン、若手の新鋭チャン・ソンウによるレギュラー争いも面白い。
示範競技では18日現在8勝1敗と、2009年に続いて好調なロッテ。春季キャンプでの投打ともに選手層の底上げに成功した2010年シーズンは、ポストシーズンに進出しただけでは満足できなくなった熱狂的な釜山のファンたちのためにも、1992年以来18年ぶりとなる韓国シリーズ優勝を果たしたい。なお、2008年に発足したネクセンヒーローズを除いて、1982年の韓国プロ野球創設からある球団で公式戦優勝がないのはロッテだけであり、過去の2度の韓国シリーズ優勝はいずれもプレーオフなど
を勝ち抜いてのものである。
【本拠地】
釜山・社稷野球場
韓国第2の都市・釜山(プサン)は野球の盛んな都市として知られ、野球好きな釜山市民の期待を一身に受けるロッテの本拠地・社稷(サジク)野球場は、チームが好調だと3万人の大観衆で球場が埋まり、韓国随一と呼ばれる熱狂的な応援が見られる。2年連続でポストシーズンへ進出した2009年は、社稷野球場で年間18回の満員御礼を記録し、2008年にロッテが打ち立てた1年間の球団観客動員数の新記録(約138万人)を更新した。
ファンたちは新聞紙をちぎってボンボン状のふさを作り、試合後半になると配布されるオレンジ色のビニール風船を振り回すか頭にかぶるなどして、世界でも類を見ない独特の応援風景を作り上げる。また終盤には「釜山港へ帰れ(プサンハンヘ トラワヨ)」、「釜山のカモメ(プサンカルメギ)」などのご当地ソングが歌われ、雰囲気を盛り上げる。また釜山や周辺の慶尚南道出身者の多いソウルでも、蚕室野球場のロッテ戦の際は3塁側内野席のほうが、ホーム応援席の1塁側内野席より盛り上がっていることもある。
近年社稷野球場は8球団一の観客動員数を受け、新しいグッズショップのオープンなど施設の拡充を図った。2009年シーズンからは韓国の野球場としては初となる、グラウンドにせり出したエキサイティングシートも設置された(2万5000ウォン)。また、蚕室野球場と同じように内野は指定席制となっていて、R指定席(バックネット裏下段)が2万5000ウォン、P指定席(バックネット裏下段)が1万5000ウォン、S・A指定席が1万ウォン、B指定席が8000ウォンである。自由席(外野、バックネット裏上段)は7000ウォンとなっている。またバックネット裏下段4人、5人用の家族席が1人当たり1万5000ウォン、カップル席が50000ウォンとなっている。
4月、5月のシーズン序盤だけでなく、夏場以降ロッテが上位に残れば、土日・祝日(17時試合開始)はかなりの混雑が予想され、入場券売り場には長打の列ができることが予想される。その際は試合開始2時間前くらいに球場へと到着することをお勧めする。
なお、球団の歴史を展示したロッテジャイアンツ博物館が球場正面入り口横にあり、試合開始前に入場して見学することができる。1982年の球団創設から現在まで活躍した歴代の名選手たちのユニフォームや実使用の野球道具、過去の貴重な映像などを見ることができる。
[交通アクセス]
釜山地下鉄3号線・社稷(サジク)駅下車徒歩5分、総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅下車徒歩8分。
KTXや長距離列車が発着する釜山駅から社稷駅まで、地下鉄1号線に乗り蓮山洞(ヨンサンドン)駅で3号線に乗り換え30分弱。また、ソウル、大田方面からのKTXの列車は、終点の釜山駅のひとつ手前で、地下鉄3号線と接続する亀浦(クポ)駅で停車するものも多く、地下鉄3号線で総合運動場駅まで15分程度でアクセスできるので、野球場へ直行する場合はこちらがお勧めである。総合バスターミナル近くの釜山地下鉄1号線・老圃洞(ノポドン)駅からは同じく蓮山洞駅で乗り換え、30分弱。
なお、総合運動場駅の改札外には、ロッテジャイアンツのロイスター監督や、主力選手たちや社稷や球場のようすの写真が壁面に貼られていて、球場につく前から雰囲気を味わうことができる。
球場の周囲はちょっとした繁華街となっていて、食堂なども多いが、釜山でも最大級の繁華街・西面(ソミョン)へは地下鉄3号線と1号線を乗り継いで20分程度で到着する。西面のロッテ百貨店釜山本店には、ロッテジャイアンツコーナーがあり、ユニフォームやTシャツの関連グッズを買えるようになった。
(文責 : ふるりん)