DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第5回 ロッテジャイアンツ

 2013年は戦力ダウンが明らかで、終盤には熱狂的なファンたちも見放してしまい5位にとどまり、6年ぶりにポストシーズン進出失敗となったロッテジャイアンツ。オフにはFAでチェ・ジュンソクを獲得するなど、打線の補強に努めた。


【投手陣】

〈先発〉 
ソン・スンジュン、ユーマン、オクスプリング、チャン・ウォンジュン、キム・サユル
〈中継ぎ〉
△カン・ヨンシク、△イ・ミョンウ、キム・スンフェ、チェ・デソン、チョン・デヒョン、◎シム・スチャン、ペ・ジャンホ
〈抑え〉
キム・ソンベ

注 : ◎は新加入、△は左腕
 先発陣は2013年チーム最多の13勝をあげた外国人左腕ユーマンとオクスプリングの外国人投手コンビ、12勝をあげたソン・スンジュンの三本柱が不動だ。その後に続く先発が足りず苦労したが、かつて左のエースとして活躍したチャン・ウォンジュンが軍から除隊され復帰したのが心強い。
 リリーフ陣では、速球派として名をはせたチェ・デソンの復帰が最初にあげられる。カン・ヨンシク、イ・ミョンウの左腕のワンポイントリリーフは健在で、新加入のシム・スチャンが復活すれば層は以前より厚くなる。抑えは2013年途中からのキム・ソンベが任されると思われる。


【打撃陣】

(ベストオーダー)

1.イ・スンファ(中) 
2.チョン・フン(二) 
3.ソン・アソプ(右)△ 
4.チェ・ジュンソク(指)◎ 
5.チャン・ソンホ(一) △
6.カン・ミンホ(捕) 
7.ファン・ジェギュン(三) 
8.ムン・ギュヒョン(遊) 
9.チョン・ジュヌ(左) 

〈控え〉
(捕手) ヨン・ドカン、キム・サフン
(内野手) ×パク・チュンソ、チョ・ソンファン、△パク・チョンユン、オ・スンテク、シン・ボンギ、◎ヒメネス
(外野手) △キム・ムンホ、◎シン・ウォンジェ、△キム・デウ、△チョ・ホンソク

注 : ◎は新加入、△は左打者、×は両打ち。
 
 2006年途中までロッテに在籍し、トゥサンで長距離打者として活躍したチェ・ジュンソクが4番となる可能性が高い。ロッテという球団はつなぐ野球よりも豪快なホームラン野球を求める傾向があり、それに適した人材といえる。また新外国人打者ヒメネスは示範競技中に足を痛め、開幕には間に合わない。一塁手がチェ・ジュンソク、ヒメネス、チャン・ソンホ、パク・チョンユンと重複しているため、どのように起用していくかに注目したい。
 打線の軸は、2013年首位打者争いをし打率.345を記録したソン・アソプである。1,2番が出たらそれをきっちり返すこともできるし、後ろへとつなげるバッティングもできる。カン・ミンホ、ファン・ジェギュンと下位に置いておくと怖い打者たちもいる。また、近年1番で活躍してきたチョン・ジュヌが春季キャンプで離脱し、開幕を前にしても調子が上がってこないのも気がかりである。


 キム・シジン監督はややロッテのファンたちに受けが悪いのか、2013年シーズンはチームが上位争いから脱落したこともあり、ファンの熱が一気に冷めてしまった。2年目のシーズンは、人気球団の威信回復をかけた正念場となる。


本拠地
 釜山・社稷野球場
 韓国第2の都市・釜山(プサン)は韓国のみならず、アジアを代表する貿易港として近年国際的な地位が向上している。また野球の盛んな都市として知られ、その釜山市民の期待を一身に受けるロッテの本拠地・社稷(サジク)野球場は、チームが好調だと3万人の大観衆で球場が埋まり、韓国、いや世界一とも言われる熱狂的な応援を繰り広げ、その独特の光景は野球ファンなら一度は見ておきたい。












 ファンたちは新聞紙をちぎってボンボン状のふさを作り、試合後半になると配布されるオレンジ色のビニール風船を振り回すか頭にかぶるなどして、世界でも類を見ない独特の応援風景を作り上げる。また終盤には「釜山港へ帰れ」、「プサンカルメギ(釜山のカモメ)」などのご当地ソングが歌われ、雰囲気を盛り上げる。
 また釜山や周辺の慶尚南道出身者の多いソウルでも、蚕室野球場のロッテ戦の際は3塁側内野席がロッテファンで埋めつくされることも珍しくない。なお、釜山から西へ50kmほどの地方都市・馬山(昌原市)に誕生した新球団NCダイノスは、以前はロッテを応援していた野球ファンたちがこぞって鞍替えしたとも言われ、目の上のたんこぶとして新しい因縁の対決になりつつある。
 2014年の入場料金は以下のとおり。内野は全席指定席制となっていて、プレミアム席(バックネット裏下段)が40000ウォン、R指定席が30000ウォン、S・A指定席が1万2000ウォン、B・C指定席が10000ウォンである。また、グラウンドにせり出した内野エキサイティングゾーンは30000ウォンである。自由席(外野、バックネット裏上段)は7000ウォンとなっている。また家族席は1人あたり中央部が25000ウォン、3塁側が20000ウォン(最大5人まで)、カップル席(2人用)が80000ウォンとなっている。
 社稷野球場は年々施設の改良が進められているが、2014年シーズンはセンターバックスクリーンのオーロラビジョンが新しいものに取り替えられた。

 2014年シーズンより、釜山から北へ50kmほどの地方都市・蔚山(ウルサン)広域市の文殊(ムンス)野球場でも時折主催試合が行われる。同野球場は1万2000席程度と規模が小さく、蔚山市内では初のプロ野球開催のシーズンということもあり、チケットの入手は困難になると予想される。

(3月24日現在の為替レート:1万ウォンが約946円。)
(文責:ふるりん