3年連続ポストシーズンでＳＫと対戦し、そのいずれもが先勝しながらも連敗して地力の差をまざまざと見せ付けられるパターンでシーズンを終えているトゥサン。毎年安定して上位に進出する原動力となっているのは、キム・ギョンムン監督の積極的な若手起用策であるが、先発投手陣の弱さがたたり優勝は果たせないでいる。現職のプロ野球監督では最長となる7年目のキム・ギョンムン体制での2010年シーズンは、9年ぶりの優勝が義務付けられる。
【投手陣】
〈先発〉
キム・ソヌ、△イ・ヒョンスン、ホン・サンサム、ヒメネス、△ウォーランド
〈中継ぎ〉
イ・ジェウ、イム・テフン、△チン・ヤゴプ、コ・チャンソン、キム・サンヒョン、パク・チョンベ、チョ・スンス、ソン・ヨンフン
〈抑え〉
イ・ヨンチャン
注 ： △は左腕
先発陣にはシーズンオフにヒーローズから先発として実績のある左腕イ・ヒョンスンをトレードで獲得したが、見返りに2009年シーズン後半先発に定着した若手左腕クム・ミンチョルを交換要員として放出したので、戦力上の大きなプラスとまでにはなっていない。新外国人選手として左腕ウォーランド(元横浜)、右腕ヒメネスと2人の投手と契約したが、示範競技などでの登板内容が悪く不安を残す。右の先発は2009年11勝した元メジャーリーガーのキム・ソヌ、先発に定着した若手のホン・サンサムが中心となる。
先発が弱い分、リリーフだけでチーム最多タイの11勝をあげたイム・テフンなど、中継ぎ陣は比較的豊富であった。2010年シーズンも小刻みな継投で勝利を拾っていくことになると思われる。2009年26セーブをあげセーブ王、新人王に輝いた若手のイ・ヨンチャンは、春季キャンプで故障し出遅れている。場合によっては、実績のあるイム・テフンが抑えを任されるかもしれない。
【打撃陣】
〈ベストオーダー〉
１．イ・ジョンウク（中） △
２．イム・ジェチョル（右）
３．コ・ヨンミン（二）
４．キム・ヒョンス（一） △
５．キム・ドンジュ（三）
６．チェ・ジュンソク（指）
７．ユ・ジェウン（左） △
８．ソン・シホン（遊）
９．チェ・スンファン（捕）
注 ： △は左打者
〈控え〉
ヨン・ドカン、イ・ウォンソク、キム・ジェホ、△オ・ジェウォン、ミン・ビョンホン、△イ・ソンヨル、△チョン・スビン、パク・コヌ
トゥサンの攻撃陣は「陸上部」というあだ名があるほど走る選手をそろえ、一発を打てる打者が少ないが足でかき回し大量得点を狙う攻撃パターンができていたが、2009年はイ・ジョンウク、コ・ヨンミンなど快足の主力選手の故障が相次ぎ、チーム盗塁数は減少した。だが2010年シーズン主力野手たちは万全の調子で開幕を迎えることができ、大きな不安はない。
これまで主に3番を打ってきたキム・ヒョンスが、これまでの3番レフトから4番ファーストへと打順と守備位置ともに変わり、若干22歳ながら打線の軸に座ることになった。ベテランのキム・ドンジュは5番に回ることになった。示範競技でも今のところこの打順は成功していて、控えに名前を挙げたが内野のイ・ウォンソク、外野兼捕手のイ・ソンヨルなどもレギュラーになってもおかしくない実力がある。不動の正捕手がいないのが弱点のひとつだが、チェ・スンファン、ヨン・ドカンなどのレギュラー争いにも注目が集まる。
投打ともに他球団を圧倒するとは言いがたいが、2010年シーズンはここ数年主力として活躍してきた選手たちが円熟期を迎えていて、特に野手陣の充実は目覚しい。過去3年間最強チームとして優勝争いの中心にあったＳＫにかつてほどの強さがないとなると、トゥサンにも今度こそＳＫを倒して優勝するチャンスは十分にある。キム・ギョンムン監督がさらに若くて才能のある選手を発掘し、選手層に厚みを増せば、9年ぶりの韓国シリーズ優勝が大きく近づくであろう。
【本拠地】 ソウル・蚕室野球場
首都ソウルの南東部にある、韓国を代表する3万人収容の大型野球場。トゥサンだけでなくＬＧの本拠地にもなっていて、ライバル意識の強い両チームの対戦はソウルダービーということで他にない盛り上がりを見せる。また、トゥサン、ＬＧがどちらとも韓国シリーズに出場しなくても、他球場の収容人数は1万人台が多く、観客動員を増やすため第5戦以降はこの球場で試合が行われる。2009年の韓国シリーズ：キア−ＳＫの第5戦以降もここで開催され、両チームの激闘が第7戦まで繰り広げられ過去10年間では最大の盛り上がりを見せた。
両翼100m、左・右中間117m、センター125mと韓国の野球場では最大級の広さがあり、大変ホームランの出にくい球場である。2009年よりＬＧ主催試合のみ稼動フェンスを設置した。
近年プロ野球人気の盛り上がりにより、野球場にも女性ファンの姿が目立つようになった。特にトゥサンは20代前半の若い選手が多く、主催試合ではひいきの選手のユニフォームを着た女性ファンのグループが比較的多い。
なお入場料金であるが、平日より土日・祝日は料金が割り増しとなる。2009年よりこれまで自由席だった内野スタンドの下層部がブルー指定席(平日 : 1万ウォン、土日・祝日 : 1万2000ウォン)、レッド指定席(平日 : 1万2000ウォン、土日・祝日 : 1万5000ウォン)となり、指定席制となった。なお、内野上層部はイエロー席(平日 : 8000ウォン、土日・祝日 : 9000ウォン)、外野はグリーン席(平日 : 7000ウォン、土日・祝日 : 8000ウォン)として自由席となっている。
またバックネット裏の指定席は、テーブル席が3万ウォン、VIP席が5万ウォンとなっている(平日、土日・祝日による料金の違いはない)。
なお、近年にないプロ野球人気の盛り上がりのため、土日の試合を観戦する場合は、できる限り早く球場に行くのが望ましい。試合開始30分前には長蛇の列ができている可能性がある。熱狂的なファンの多いロッテ、キアビジターチームの場合や、同じ蚕室のライバルＬＧとの対戦では、なおのこと混雑が予想される。
なお2010年シーズンからのユニフォームの変更に合わせて、マスコットもメカニカルなものとなり、愛称は「チョルンイ」（日本語だと「鉄くまちゃん」のような意味）と決まった。
球場内外にはトゥサン、ＬＧのグッズショップもあるが、地下鉄総合運動場駅側の出入口(外野3塁側)には、首都ソウルらしくプロ野球8球団のグッズを扱っているショップもある。また総合運動場駅の改札口近くにも、レプリカユニフォームなどを打っている売店があるが、同駅7番出口を出たところに、かつてソウル都心の東大門運動場や野球場(2007年末に解体)にあったスポーツ用品店が移転しているので、時間があればそちらをのぞいてみるのも面白い。
球場から地下鉄で1駅離れた三成(サムソン)駅付近には、KOEX(韓国総合貿易センター)モールがありショッピングや食事を楽しむことができる。またKOEX内にはKCAT(韓国都心エアターミナル)があり、仁川空港、ソウル・金浦空港行きのリムジンバスも発着し出国手続きもできるため、空港へのアクセスもよい。
［交通アクセス］
ソウル地下鉄2号線・総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅、5番出口徒歩0分。
ソウル駅、鍾路(チョンノ)、明洞(ミョンドン)などソウルの中心街からは、地下鉄2号線などで約40分。ソウル・江南(カンナム)地区の繁華街からは地下鉄2号線で10分前後。
なお、地下鉄2号線・8号線の蚕室(チャムシル)駅は最寄り駅ではないので要注意。
（文責 ： ふるりん）
