2009年 韓国シリーズ 第５戦
ＳＫ ０−３ キア （ソウル・蚕室）
（勝）ロペス ２勝 （敗）門倉 １敗
2勝2敗で迎えたキアとＳＫの韓国シリーズ第5戦は、中立地のソウル・蚕室野球場に29000人の超満員の観衆を集め、前売り券は完売していたため、3000枚しかない当日券を求めて早くから長蛇の列ができたが、すぐに完売となった。中立地ではあるがこの日の蚕室野球場は、12年ぶりの優勝を心より待ち望むキアファンたちの熱気であふれ、9度の韓国シリーズ優勝と最強の名をほしいままにしていた前身のヘテ時代の威光が再び輝き始めていた。
(始球式をつとめた女性タレントのチェ・グァンヒィ。)
試合はキアの先発がロペス、ＳＫの先発が門倉(元読売)で始まった。ＳＫは2回表2死から6番パク・チェホンがチーム初ヒットで出塁するが、得点には至らなかった。3回表先頭の8番ナ・ジュファンがヒットで出塁し、9番チョ・ドンファがバントで送ろうとしたが2球連続で失敗し、やむを得ず4球目を打ったが、ここはセカンドのアン・チホンの好守備で内野ゴロに打ち取られた。続く1番チョン・グヌ、2番パク・チェサンも凡退した。
するとキアは3回裏1死から9番イ・ヒョンゴンが2塁打でチャンスを作り、1番キム・ウォンソプがショート強襲の内野安打で1,3塁とした。ここで2番イ・ヨンギュがバントを警戒した相手バッテリーが大きく外した球に食らいつき、執念で何とか3塁方向へ転がしてその間に3塁走者が生還し、先制点を奪った。ロペスは快調な投球を続け、打線は5回裏1死から8番アン・チホンがヒットで出塁し、2塁へ盗塁したところ相手の悪送球で3塁まで進んだが、得点にはつながらなかった。
(3回裏イ・ヨンギュが執念のバントでキアが先制。)
キアは6回裏先頭のイ・ヨンギュがヒットで出塁し、3番ナ・ジワンがバントで2塁へ送ると、ＳＫはここで門倉から2番手チョン・ウラムに交代した。すると4番チェ・ヒィソプは1塁線を破るタイムリーを打ち、キアが貴重な追加点をあげた。さらに交代したＳＫの3番手ユン・ギルヒョンから5番キム・サンヒョンがヒットでつなぎ1,2塁とチャンスを拡大すると、6番イ・ジョンボム(元中日)は5球目から10球目まで6球連続ファールで粘り、11球目を打ち平凡なセカンドゴロに倒れたかと思われた。ここで2塁のベースカバーに入ったショートのナ・ジュファンが、捕球後1塁走者キム・サンヒョンのスライディングに足をとられ、1塁へ悪送球してしまいその間に2塁走者が生還し、キアが3−0とリードを広げた。
ここでＳＫのキム・ソングン監督が、キム・サンヒョンの走塁が守備妨害ではないかと激しく抗議し、一時ＳＫの選手が全員引き上げたこともあり試合は10分以上中断した。一連の抗議行動によりキム・ソングン監督は審判から退場を宣告され、ポストシーズンでの監督退場第1号となってしまい、不名誉な記録をつくってしまい、ＳＫは指揮官不在で戦いを続けなくてはならなくなった。試合再開後7番キム・サンフンは三振し、長い6回裏の攻撃が終わった。
(キム・サンヒョンの2塁へのスライディングは守備妨害だと抗議されたが…)
ＳＫは7回表先頭の代打イ・ホジュンが四球で歩き、1死後パク・チェホンがヒットを打ち、外野からの送球をセカンドのアン・チホンが取れず、その隙に打者は2塁まで進塁し、2,3塁とチャンスを拡大した。しかしここでロペスはチェ・ジョンを三振、ナ・ジュファンを外野フライにしとめ、最大のピンチを脱した。キアは8回裏ＳＫの4番手コ・ヒョジュンから1死後ナ・ジワンがヒットで出塁したが、追加点は奪えなかった。
9回表のマウンドもロペスが上がり、ＳＫは先頭の3番パク・チョングォンがヒットで出塁したが、代打キム・ジョンナムが内野ゴロの併殺打に倒れた。続く5番チョン・サンホは死球で出塁したが、パク・チェホンが内野ゴロに倒れ、ロペスの見事な完封劇でキアが対戦成績を3勝2敗とし、全身のヘテ時代の1997年以来12年ぶりとなる10度目の韓国シリーズ優勝に王手をかけた。
(見事完封勝ちを収めたロペス。)
第1戦に続いて勝利投手となったロペスは、変幻自在の投球でピンチを迎えてもＳＫ打線に的を絞らせず凡打の山を築き、わずか4安打の完封で韓国シリーズ2勝目をあげ、2009年シーズン最多勝投手としての勢いを示した。キア打線は7安打と爆発したわけではないが、イ・ヨンギュの奇襲バントのような相手の裏をかく作戦が成功し、追加点のチャンスも確実にものにした。
また韓国シリーズ3連覇へ後がなくなったＳＫは、不振のチョン・グヌ、パク・チェサンの1,2番コンビがこの試合も無安打無四死球で出塁できず、わずか4安打に抑えられ、ベンチはこれといった手も打てず打線に勢いが生まれなかった。また3回表のチョ・ドンファのバント失敗など、相手を揺さぶる作戦も功を奏さず、6回途中まで1失点と好投した門倉を援護することはできなかった。
キアがこのまま優勝まで駆け上がるか、それとも決着を第7戦に持ち込むのか、注目の韓国シリーズ第6戦は蚕室野球場で23日18時から開始され、予告先発はキアがユン・ソンミン(27試合、9勝4敗7S、防御率3.46)、ＳＫがソン・ウンボム(31試合、12勝3敗、防御率3.13と発表された。
