DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  WBC決勝、死闘の末延長戦で敗れ準優勝  

日本 5−3 韓国  (ドジャースタジアム
(勝)ダルビッシュ 2勝1敗  (敗)イム・チャンヨン 1敗2S
本塁打) 韓国 : チュ・シンス 2号

 初の決勝進出を果たした2009年WBC(ワールドベースボールクラシック)韓国代表は韓国時間24日(現地時間23日)、アメリカ合衆国カリフォルニア州ドジャースタジアムで、宿敵・日本と決勝で対戦した。今大会5度目の日韓対決となったこの試合は、火曜日の午前中からにも関わらず両国民の注目が集まる激闘となった。韓国打線は、準決勝ベネズエラ戦で3ランを打ったメジャーリーガーのチュ・シンス(クリーブランドインディアンス)が5番ライトで、準決勝は出番のなかった打撃好調のイ・ボムホ(ハンファ)が6番サードで出場し、超攻撃的布陣で2番には日本戦に強いイ・ジニョン(SK)が指名打者で起用された。また守備を重視し、これまでスタメンで出ることが多かったチョン・グヌ(SK)ではなく、コ・ヨンミン(トゥサン)がセカンドで先発出場した。

 韓国の先発はこれで今大会3試合すべて日本戦に先発しているポン・ジュングン(LG)だった。日本は1回表先頭の1番イチロー(シアトルマリナーズ)がヒットで出塁すると、送りバントと四球で2死1,2塁とチャンスを作るが、ここはポン・ジュングンが5番小笠原(読売)を打ち取った。ポン・ジュングンは2回表にも2人走者を出すが、ここはイチローを抑えまたもや無得点に抑えた。しかし3回表、日本は先頭の2番中島(埼玉西武)がヒットで出塁すると、3番青木(東京ヤクルト)の打球をセカンドのコ・ヨンミン(トゥサン)がはじいてしまい、ピンチが拡大した。1死後小笠原がタイムリーを打ち、日本が1点を先制した。
 韓国は日本の先発で、1次ラウンドの順位決定戦で先発した岩隈(東北楽天)の前に3回までノーヒットに抑えられた。4回裏韓国は2死から3番キム・ヒョンスがようやっと初ヒットを打つが、4番キム・テギュン(ハンファ)は打ち取られた。ポン・ジュングンは5回表四球とヒットで無死1,3塁となった場面で2番チョン・ヒョヌクに交代した。日本は1死後、小笠原が三振し1塁走者青木も盗塁に失敗しダブルアウトとなり、絶好の機会を逃した。すると韓国は5回裏、岩隈から5番チュ・シンスが2試合連続本塁打となる同点アーチをレフトの深いところへと打ち込んだ。だが1死後7番コ・ヨンミンはレフト線へ鋭い当たりを打ちヒットとなったが、2塁でタッチアウトとなってしまい勝ち越しのチャンスを逃した。


(5回裏、チュ・シンスが2試合連続本塁打となる同点アーチを打つ。)


 韓国は6回裏岩隈から1死後1番イ・ヨンギュ(キア)が四球で出塁し、2塁へ盗塁を試みたがタッチアウトとなり、この際頭が野手の足に強く当たり、ヘルメットが割れたがプレーに支障はなくその後も出場し続けた。日本は7回表チョン・ヒョヌクから9番片岡(埼玉西武)のヒットとイチローのセーフティースクイズで無死1,2塁のチャンスを作り、中島のタイムリーで1点を勝ち越した。さらにこの回追加点のチャンスがあったが、4番城島(シアトルマリナーズ)が併殺に倒れ韓国は1点差でしのいだ。日本は8回表1死後6番内川(横浜)のヒットでチャンスを作ると、韓国はここでエース格の左腕3番手リュ・ヒョンジン(ハンファ)に交代した。しかし途中出場の7番稲葉(北海道日本ハム)の一塁線を破った打球がワンバウンドでそのまま内野スタンドに飛び込み、エンタイトル2ベースで1,3塁とピンチが広がり、8番岩村(タンパベイレイズ)の犠牲フライで日本が3−1とリードを2点に広げた。
 韓国は8回裏続投の岩隈から先頭の6番イ・ボムホが2塁打で出塁し、コ・ヨンミンの内野ゴロの間に3塁へ進んだ。ここで代打イ・デホ(ロッテ)が犠牲フライを打ち1点を返した。続く9番パク・キヒョク(ロッテ)が四球を選び、ここで日本は2番手杉内(福岡ソフトバンク)をマウンドに送り、続くイ・ヨンギュを打ち取り日本1点リードで9回へと進んだ。日本は9回表この回から登板した韓国の4番手の守護神イム・チャンヨン(東京ヤクルト)から、先頭のイチローの2塁打でチャンスを作ったが、ここはイム・チャンヨンが踏ん張り追加点を許さなかった。
 韓国は9回裏先頭の左のイ・ジニョンの代打に、右のチョン・グヌ(SK)を送ると、日本もすかさず左腕杉内からエース格の右腕ダルビッシュ(北海道日本ハム)を3番手としてマウンドに送った。チョン・グヌは三振に倒れるが、続く3番キム・ヒョンス(トゥサン)にストレートの四球を出し、代走イ・ジョンウクが送られた。続く4番キム・テギュンも四球で歩き、また代走イ・テックン(ヒーローズ)が送られ、長打が出れば一気に韓国のサヨナラ勝ちのチャンスとなった。次のこの試合5回裏同点本塁打を打ったチュ・シンスは三振に倒れ2死となったが、イ・ボムホが三遊間を抜くタイムリーを打ち、イ・ジョンウクが同点のホームを踏んで、試合は9回裏土壇場で3−3の同点となった。なおも2死1,2塁とチャンスが続いたが、コ・ヨンミンは三振し試合は両チームにとって今大会初の延長戦となった。


(9回裏2死から同点タイムリーを売ったイ・ボムホ。)


 日本は10回表先頭の内川がヒットで出塁し、送りバントで1死2塁となった。岩村のヒットで1死1,3塁とチャンスが拡大し、途中出場の9番川崎(福岡ソフトバンク)は凡退した。ここで打席にはこの試合3安打のイチローが入り、ここでベンチは敬遠ではなく勝負を選択した。2ストライクからファールで粘られると、8球目をセンター前にはじき返されこれが2点タイムリーとなり、日本が5−3と勝ち越した。その後四死球で満塁のピンチがまた訪れたが、ここは何とかイム・チャンヨンがしのいだ。
 韓国は10回裏続投したダルビッシュから先頭の途中出場の8番カン・ミンホ(ロッテ)が四球を選んだが、代打チェ・ジョン(SK)が三振、イ・ヨンギュが外野フライ、チョン・グヌが三振となり、延長までもつれ込んだが惜しくも敗れ、準優勝で大会を終えた。日本に15安打を許し主導権を握られながら、5安打だけだった韓国は少ないチャンスを何とか得点に結びつけ食らいついたが、先発ポン・ジュングンがこれまでの2試合より早い5回途中で降板し、最後は守護神イム・チャンヨンがつかまるなど手薄なリリーフ陣に負担がかかってしまったのが敗因だった。

 
 歴史に残る韓国代表の死闘を見ようと、ドジャースタジアムには米国西海岸に多い韓国系アメリカ人を中心とした大応援団が声援を送り、韓国内でも22日の準決勝と同じくソウル・蚕室野球場などに大勢のファンが平日にも関わらず集まり、遠いかなたの母国を代表する選手たちに声援を送った。また街のあちこちでも、オーロラビジョンや駅やバスターミナルの大型テレビに人々の視線が釘付けになり、国中がWBCの熱気であふれていた。


(蚕室野球場での応援イベント。)


(ドジャースタジアムの韓国応援団。)

 これで20日間にわたった2009年第2回WBC(ワールドベースボールクラシック)は閉幕し、MVPには日本の松坂(ボストンレッドソックス)が2大会連続で選ばれた。前大会を上回る準優勝という結果を残した韓国代表は、またもや韓国野球の強さを世界の野球ファンに印象付けることに成功した。最後の決勝で敗れたが5度にわたる日本との死闘、メジャーリーガーをそろえた強豪ベネズエラを大破した準決勝は人々の記憶に長く刻まれることであろう。4月4日からは、いよいよ韓国でも2009年のプロ野球公式戦が開幕する。今大会の熱気が、プロ野球人気とファン層の拡大に結びつくかどうかは、国を背負って戦った28名の選手たちと、日ごと労を惜しまぬ8球団の肩にかかっている。