DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  1次リーグ1位決定戦、宿敵・日本に完封勝ち  

韓国 1−0 日本  (日本・東京ドーム)

(勝)ポン・ジュングン 1勝  (セーブ)イム・チャンヨン 1S  (敗)岩隈 1敗

 7日、2次ラウンド進出をかけ日本に2−14でコールド負けしたが、8日の中国戦で14−0とコールド勝ちし2次ラウンド進出を決めたWBC(ワールドベースボールクラシック)韓国代表は9日、日本とのA組の1位決定戦を行った。この試合で勝ったほうが1位となり、2次ラウンドの緒戦でB組(メキシコ、キューバ、オーストラリア、南アフリカ)の2位と対戦することになっていた。韓国代表にとっては、宿敵・日本に7日まさかの大敗を喫した雪辱を晴らしたいところであった。

 日本の先発は2008年日本プロ野球パリーグMVPを受賞した日本球界を代表する投手の1人、岩隈(東北楽天)だった。韓国の先発は大方の予想のリュ・ヒョンジン(ハンファ)ではなく、同じく左腕のポン・ジュングン(LG)だった。ポン・ジュングンは2006年の前大会のWBCで、1次ラウンドの日本戦に2番手で登板し好投したこともあり、そのときの経験を買われてのものだった。また、6日の台湾戦でも2番手で好投するなど、状態はよかった。韓国は以前とは打線を組み替え、メジャーリーガーのチュ・シンス(クリーブランドインディアンス)をスタメンから外し、DH(指名打者)にはイ・デホ(ロッテ)、三塁にはイ・ボムホ(ハンファ)、ライトにはこれまでのイ・ジニョン(SK)ではなくイ・ヨンギュ(キア)を起用した。

 岩隈、ポン・ジュングンともに快刀乱麻のピッチングを続け、3回表まで両チームともに走者が出ない緊迫した展開が続く。初ヒットは3回裏、日本の8番城島(シアトルマリナーズ)が打ったが、後続が断たれ無得点に終わった。すると韓国は4回表、突如制球を乱した岩隈から1番イ・ジョンウク(トゥサン)が四球を選び初めて出塁すると、2番チョン・グヌ(SK)の韓国初ヒットで無死1,2塁とチャンスを広げた。3番キム・ヒョンス(トゥサン)は三振したが、4番キム・テギュン(ハンファ)のタイムリーで韓国が1点を先制した。しかしこの時1塁走者が3塁で刺され、5番イ・デホが四球を選んで1,2塁となった際、日本の捕手城島のけん制で2塁走者がまた刺され、絶好の追加点のチャンスを逃した。


(4回表、キム・テギュンが岩隈から先制タイムリーを打つ。)

 日本は4回裏2番中島(埼玉西武)がヒットで出塁すると、続く青木(東京ヤクルト)の打席でポン・ジュングンがボークを取られ、無死2塁と同点のピンチを招く。ここは青木を内野ゴロに打ち取ったが、走者は3塁へと進んだ。ポン・ジュングンは4番村田(横浜)、5番稲葉(北海道日本ハム)を打ち取り、ピンチを脱した。韓国は5回表先頭の6番イ・ヨンギュが四球を選んだが、1死後8番パク・キョンワンのライナー性の打球で1塁に戻れずダブルアウトとなった。日本もその裏2死走者なしから城島が2打席連続のヒットを打ったが、ポン・ジュングンが9番岩村(タンパベイレイズ)を打ち取り事なきを得た。

 韓国は6回裏1死で好投したポン・ジュングンから2番手チョン・ヒョヌク(サムソン)に交代し、2死から青木にヒットを打たれるものの、村田が凡退し無得点に抑えた。韓国は7回表日本の2番手杉内(福岡ソフトバンク)からキム・ヒョンスが四球を選び、代わった日本の3番手馬原(福岡ソフトバンク)からキム・テギュンが2塁打を放ち、無死1,3塁と追加点のチャンスを作った。しかしここでイ・デホのショートゴロで3塁走者が本塁でアウトとなり、1塁走者が3塁でも刺され、またもやダブルアウトとなり、この回は結局無得点に終わった。日本は7回裏7番福留(シカゴカブス)がチョン・ヒョヌクからヒットで2死から出塁するが、2安打で好守備を見せた城島を打ち取った。


(力投するチョン・ヒョヌク。)

 韓国は8回表、日本の4番手でエース格のダルビッシュ(北海道日本ハム)から9番パク・キヒョク(ロッテ)の四球、イ・ジョンウクのヒットで2死1,2塁のチャンスを作るが、途中出場の2番コ・ヨンミン(トゥサン)は三振に倒れた。さらに韓国は8回裏3番手としてこの試合の先発が予想されたリュ・ヒョンジンをマウンドに送り、1死後1番イチロー(シアトルマリナーズ)にヒットを打たれたところで、守護神イム・チャンヨン(東京ヤクルト)を登板させた。中島が送りバントを決め2死2塁と同点のピンチとなるが、青木をゴロに打ち取り見事な働きを見せた。

 韓国は9回表日本の5番手山口(読売)から先頭の代打イ・テックン(ヒーローズ)が四球を選び、代わった日本の6番手藤川(阪神)からイ・デホも四球を選び、またもや1死1、2塁と追加点のチャンスを演出した。しかしイ・ヨンギュが内野ゴロで併殺を取られ、点差はわずか1点で9回裏を迎えることになった。
 最後のマウンドには8回に続きイム・チャンヨンが上がった。そして村田、稲葉、途中出場の小笠原(読売)を打ち取り、韓国が1−0で白熱の投手戦を制し、WBC1次ラウンドA組(アジアラウンド)1位通過を決めた。
  

(韓国の守護神イム・チャンヨン。)

 
 韓国の先発キム・グァンヒョン(SK)が2回持たず8失点で降板した7日の対戦と違って、日本と韓国という宿敵同士の対決にふさわしい熱戦となった。ただ韓国は後半何度かあった追加点のチャンスを走塁ミスや相手の好守備で阻まれるなど、拙攻も目立った。しかし6回途中まで無失点、被安打わずか3の無死四球に抑えた先発ポン・ジュングンだけでなく、チョン・ヒョヌク、リュ・ヒョンジン、イム・チャンヨンのリリーフ陣もしっかりと抑え、なんと与四死球ゼロの6安打完封リレーをやってのけた。特に7日の日本戦で2番手として登板し、予想以上に日本の打者を抑えたため1点差の緊迫した場面でリードを守ったチョン・ヒョヌクの好投が光り、国内で際立った実績がなかったためWBCのような国際舞台には縁の無かった選手だったが、2次ラウンド以降に計算の立つ戦力が一人生まれた。

 1次ラウンドを1位で通過した韓国代表は、韓国時間16日12時(現地時間15日)から1次ラウンドB組の2位と、米国カリフォルニア州サンディエゴ、ペトコパークで2次ラウンド緒戦を行う。同じ2次ラウンド1組に入ることとなった日本代表とは、互いに緒戦に勝つか負けるかで再び対戦することとなり、その場合は生き残りをかけ1次ラウンド以上の壮絶な戦いになると思われ、その際も今回のような好勝負を期待したい。


  
(文責 : ふるりん