DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

   北京五輪野球準決勝、イ・スンヨプの一発で宿敵・日本に逆転勝ちし決勝進出

日本 2−6 韓国  (北京・五棵松メイン野球場)
(勝)キム・グァンヒョン 1勝  (敗)岩瀬 3敗
本塁打) 韓国 : イ・スンヨプ 1号
 北京五輪野球で予選リーグを7戦全勝で首位通過した韓国代表チームは、22日予選リーグ4位だった宿敵・日本と準決勝で対決した。予選リーグで韓国は日本に5−3で逆転勝ちしていたが、これまで数々の激闘を繰り広げてきた両国の対戦なだけに、接戦が予想された。


 韓国の先発は16日の日本戦でも先発で好投した若き20歳の左腕エース、キム・グァンヒョン(SK)だった。しかしキム・グァンヒョンは1回表日本の1番西岡(千葉ロッテ)に一二塁間に強い打球を打たれ、これをセカンドのコ・ヨンミン(トゥサン)がキャッチしたものの送球がそれ、さらにファーストのイ・スンヨプ(読売)が走塁妨害をしたとして、無死2塁のチャンスを作られてしまう。そして2番荒木(中日)のバントで1死3塁と先制点のチャンスを作られ、3番森野(中日)を四球で歩かせ1,3塁とピンチは拡大した。ここで4番新井(阪神)を投手ゴロに打ち取り併殺かと思いきや、キム・グァンヒョンの送球が悪く2塁でしかアウトを取れず、3塁走者が生還し日本が1点を先制した。
 韓国は日本の先発杉内(福岡ソフトバンク)から2回裏、この大会3本塁打と当たっている6番イ・デホ(釜山ロッテ)が四球で出塁するが、後が続かない。日本は3回表西岡の四球をきっかけに、キム・グァンヒョンの暴投で2死3塁と追加点のチャンスを迎え、3番青木(東京ヤクルト)のタイムリーで1点を追加した。韓国もその裏9番パク・チンマン(サムソン)の四球で1死1塁とするが、1番イ・ジョンウク(トゥサン)はセカンドへのライナーとなり、1塁走者が戻れず併殺となり、チャンスを逃した。
 2ストライクまではあまり打たないなど、杉内に球数を投げさせていた韓国打線は4回裏、2番イ・ヨンギュ(キア)の外野へのヒットをレフトのG.G.佐藤(埼玉西武)がはじいてしまい、無死2塁とチャンスを作った。さらに3番キム・ヒョンス(トゥサン)もヒットで続き1,3塁とチャンスを広げるが、ここでこの大会不振を極めている4番イ・スンヨプが打席に立った。イ・スンヨプは内野ゴロの併殺打に倒れてしまい、3塁走者が帰って1点を返したものの、走者がいなくなってしまった。韓国はこのあと5番キム・ドンジュ(トゥサン)のヒットで杉内を交代させ、日本の2番手川上(中日)からイ・デホが四球で続き2死1,2塁と同点のチャンスを作ったものの、7番コ・ヨンミンが三振に倒れてしまった。


(力投を続けるキム・グァンヒョン。)


 キム・グァンヒョンは4回以降ヒットや四球でランナーは出すものの、連打を浴びることはなく追加点を許さなかった。韓国は6回裏日本の3番手成瀬(千葉ロッテ)からキム・ヒョンスがヒットで出塁し、盗塁を試みたがイ・スンヨプが中途半端なスイングで日本の捕手矢野(阪神)に好送球を許し、2塁でタッチアウトとなった。日本は7回表2死から代打宮本(東京ヤクルト)が2死からヒットを打つが、ここはキム・グァンヒョンが西岡を内野ゴロに打ち取り事なきを得た。韓国は7回裏、1死で日本の4番手藤川(阪神)からイ・デホが警戒されているのか3打席連続四球で出塁し、コ・ヨンミンがヒットで続き1,2塁とチャンスと広げた。1死後代打イ・ジニョン(SK)が一二塁間を破るヒットを放ち、イ・デホの代走チョン・グヌ(SK)がうまくホームへと滑り込み、2−2の同点に追いついた。


(同点のホームに滑り込むチョン・グヌ。)


 キム・グァンヒョンは8回表2死から新井にヒットを許すが、5番稲葉(北海道日本ハム)を打ち取り、ここまで2失点と日本キラーとして十分な働きを見せた。韓国はその裏日本の5番手岩瀬(中日)から先頭の2番イ・ヨンギュ(キア)がレフト前ヒットで出塁したものの、ここまで2安打のキム・ヒョンスは三振してしまった。ここでこの試合攻守ともに韓国の足を引っ張っているイ・スンヨプが打席に立った。イ・スンヨプはこれまでの3打席よりボールをよく見て、5球目の甘く入った球を右中間スタンドの深いところへと打ち返し、待望の大会初本塁打を放っただけでなく、これは最高の場面での逆転2ランとなった。続くキム・ドンジュもセンター前ヒットで続き、日本は6番手涌井(埼玉西武)をマウンドに送った。韓国の勢いは止まらず、コ・ヨンミンの打球をレフトのG.G.佐藤が落とし、カン・ミンホにタイムリー2塁打も出て、2点を追加しリードを4点に広げた。


(8回裏、逆転2ランを打ったイ・スンヨプ。)


 9回表のマウンドには、これまでロングリリーフで好投し2勝しているユン・ソンミン(キア)が上がった。日本は力なく3人で攻撃を終え、韓国が終盤の猛攻で6−2と逆転勝ちし、23日の決勝進出を決めた。

 韓国ベンチは序盤調子の悪かったキム・グァンヒョンを信じて代えず、しり上がりに調子を上げたキム・グァンヒョンは外角の変化球がさえ、若きエースらしい投球で日本打線を8回2失点、被安打6、2四球と勝利に大きく貢献した。この大会当たっているイ・デホは3四球と勝負を避けられたが、イ・ジニョンの同点タイムリー、イ・スンヨプの逆転2ランなど、これまであまり当たっていなかった打者たちが勝負どころで効果的な一打を決めた。
 準決勝第2試合はキューバが10−2でアメリカを下した。韓国は史上初の五輪金メダルをかけて、23日19時(日本・韓国時間)から優勝候補大本命・キューバとの決勝戦に臨む。
 
(文責:ふるりん)