DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  KT、プロ野球参入を正式表明、本拠地はソウル・木洞野球場  現代ユニコーンズは解体へ

 KBO(韓国野球委員会)は27日、ソウルの本部で特別記者会見を開き、兼ねてから球団売却が進められてきた現代ユニコーンズの代わりに、2008年からはKTが設立する新規球団がプロ野球に参入することを発表した。同時にKT側もプロ野球参入の声明を発表した。新チームは1月中旬に結成される予定。
 今回は現代ユニコーンズ自体をKTが買収するのではなく、いったん同球団は解体され、KTによる新球団がプロ野球に参入という形をとり、現代に売却金等は一切入らない。選手やスタッフ等は現代から新球団へとそのまま移籍すると思われる。KTはKBO側に新規参入加入料として60億ウォン(約7億3000万円)を払うこととなった。なお、本拠地はこれまで現代が使用してきた首都圏南部の大都市・水原(スウォン)ではなく、ソウル西部の木洞(モクトン)野球場となる予定。これで首都ソウルには東部の蚕室(チャムシル)野球場を本拠地とするトゥサン、LGに加えて、8球団中3球団が集中することとなった。

 KTは2002年公企業だった韓国通信が民営化して誕生し、傘下に携帯電話部門のKTFなど多数の系列会社を持つ財界有数の企業グループである。これまで系列会社のKTFがプロバスケットボールKBLのチームを所有していたが、KT本体で所有するプロスポーツチームはなかった。同じ通信事業でしのぎを削るSKが2000年にプロ野球団を所有し、今季念願の韓国シリーズ初優勝を果たした。KTが今回プロ野球界に進出するにいたった背景には、ライバル企業チームの躍進があるという見方もある。また、私企業としてさらに事業を発展させる上で、プロスポーツチームを持つことにより社員たちの士気を高める狙いもある。

 一方で、KTによる新球団誕生にはまったく問題がないわけではない。まず、同じソウルを本拠地とすることになるトゥサン、LGの反発が予想される。現代ユニコーンズは2000年にそれまでの本拠地・仁川(インチョン)を新球団SKに譲り、念願のソウル進出を果たそうとした。その際SKから仁川と周辺の京畿道(キョンギド)の本拠地を見返りにする対価として、54億ウォンを受け取っていた。だが、ソウル市内に適当な球場がなかったため、現代は首都圏にある京畿道の中心都市・水原(スウォン)を暫定本拠地とした。
 だが、その後球団経営が苦しくなりSKから支払われた54億ウォンを運営費として使い果たしてしまい、ソウルへ進出することはできなかった。もし現代がソウルへ進出していたら、トゥサン、LGに27億ウォンずつ支払われることになっていた。今回KTの新球団がソウルを本拠地としても、KBOは新規参入用の60億ウォンを払い、今季現代に融資した運営資金130億ウォンをKBOと折半するだけでいいとしていて、トゥサン、LGには一切保証金などを与える必要はないとしている。
 また、過去の新規球団の投資額と比べても、今回KTが支払う額が少ない。1996年、現代が太平洋ドルフィンズを買収した際には430億ウォンを支払い、2000年経営危機で球団運営ができなくなったサンバンウルを買収せず、同球団を解体後にSKが新球団を設立した際にも、KBOに250億ウォンを新規加入料として支払っている。今回KTが支払う額は130億ウォン前後である。今回は買い手がなかなかつかなかったため、過去の例より大幅に少ない額での事実上の球団買収となり、KTは大きな恩恵を受けた。過去に多額の金額を支払った他球団の反発は必死である。
 今後新球団が他球団と良好な関係をどのように築いていくかが注目されるが、韓国プロ野球が7球団となり、市場規模が縮小することだけは避けられることは確実となり、新球団の斬新な球団運営やファンサービスに期待したい。