DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2023年 シーズン展望 第3回 LGツインス

21年ぶりの韓国シリーズ出場、29年ぶりの優勝へ

 2022年はレギュラーシーズン2位でポストシーズンではプレーオフから出場するも、キウムヒーローズに敗れたLGツインスは3年連続でポストシーズンで勝ち抜けなかった。そこでユ・ジヒョン監督からかつてネクセン(現キウム)ヒーローズやSKワイバーンス(現SSGランダース)を指揮したヨム・ギョンヨプ監督に交代するも、FA(フリーエージェント)となった主力打者のチェ・ウンソンがハンファイーグルス、捕手ユ・ガンナムがロッテジャイアンツ、フューチャースFAとなった外野手イ・ヒョンジョンがキウムヒーローズへと移籍した。代わりにキアタイガーズからFAとなった捕手パク・トンウォンと契約するなど、オフシーズンは動きが激しかった。

 それでも戦力は投打ともに充実しており、5年連続となるポストシーズン進出は最低限の目標で、2002年以来となる21年ぶりの韓国シリーズ出場、1994年以来となる29年ぶり3度目の韓国シリーズ優勝が目標となる。

 
【投手陣】

〈先発〉 
ケリー、プルトコ、イ・ミンホ、△キム・ユンシク,、イム・チャンギ

〈リリーフ〉
△チン・ヘス、イ・ジョンヨン、チョン・ウヨン、△チェ・ソンフン、キム・ジンソン、チェ・ドンファン、△◎キム・ユヨン、◎ユン・ホソル、△ ハム・トクチュ、コ・ウソク

注 : ◎は新加入、△は左腕

 先発投手陣では2022年に16勝で最多勝の個人タイトルを受賞した韓国5年目の外国人選手ケリーが軸となる。2019年から2022年までの4年間で58勝と安定感が抜群である。2022年は15勝を記録した韓国2年目の外国人選手プルトコと先発の柱となる。韓国人では2022年に12勝を記録した21歳の右腕イ・ミンホ、同年8勝を記録した22歳の左腕キム・ユンシクが中心となり、ともに優勝すれば兵役免除の恩典が与えられる2023年9~10月の杭州アジア競技大会野球韓国代表への選出を狙う。そのほかでは20歳の若手右腕カン・ヒョジョンの成長が期待される。

 投手陣では2022年にリーグトップクラスの成績を残したリリーフ陣は左右ともに層が厚い。ユ・ガンナムの補償選手としてロッテから左腕キム・ユヨン、チェ・ウンソンの補償選手としてハンファから右腕ユン・ホソルを指名した。しかし2022年にリーグ最多の42セーブを記録したコ・ウソクが2023 WBCワールドベースボールクラシック)の練習試合で故障し、結局4月1日のレギュラーシーズン開幕には間に合わない見込みで、代役としてはイ・ジョンヨンなどが考えられる。また2022年にリーグ最多の35ホールドを記録した23歳のチョン・ウヨンは、24歳のコ・ウソクとともに杭州アジア競技大会野球韓国代表への選出を目指す。


【打撃陣】

〈先発予想〉

捕手:◎パク・トンウォン

一塁:イ・ジェウォン

二塁:△ ソ・ゴンチャン

三塁:△ ムン・ボギョン

遊撃:△ オ・ジファン

外野:◎オースティン、△ ホン・チャンギ、△パク・ヘミン

指名:△ キム・ヒョンス  

〈控え〉
(捕手) キム・ギヨン、ホ・ドファン
(内野手)  ソン・チャニィ、キム・ミンソン、チョン・ジュヒョン、キム・ジュソン
(外野手) △イ・チョヌン、△アン・イックン、△ムン・ソンジュ

注 : ◎は新加入、△は左打者。

 チェ・ウンソン、ユ・ガンナムと2名の主力野手がFAで移籍したため、キアからFAとなっていた強打の捕手パク・トンウォンと契約した。また2021年以降外国人選手が打線で機能していない中、チェ・ウンソンの穴埋めとして新外国人選手オースティン(・ディーン)にかかる期待は大きい。2022年はチーム最多打点(106点)を記録した35歳のベテラン外野手キム・ヒョンス、2022年はチーム最多の25本塁打を記録したショートのオ・ジファン、走攻守に秀でた外野手パク・ヘミンなど主力は左打者が目立つ。そこで2022年は13本塁打を記録した23歳の右の大砲候補イ・ジェウォンのさらなる成長が求められる。

 2022年は126試合に出場、打率.315を記録し成長目覚ましい22歳のムン・ボギョンは、イ・ジェウォンなどの若手とともに杭州アジア競技大会野球韓国代表への選出を目指す。また2022年、2023年と示範競技では活躍する24歳のソン・チャニィも一軍定着を目指す。

  
【本拠地】
ソウル・蚕室野球場

 地下鉄の駅出入口の階段を上がったら目の前に大きく見える韓国屈指の規模の野球場は、LGのみならずトゥサンの本拠地でもある。LGは1982年創設のMBC青龍(チョンニョン)の時代からソウル特別市を本拠地としていることもあり、「ソウルの地元球団」を前面に押し出してきた。同じ蚕室野球場を本拠地とするLG-トゥサンは球場全体が赤のLGファンと白のトゥサンファンに分かれ、グラウンドだけでなく観客席でも熱い応援合戦が繰り広げられる。

 1982年に完成した蚕室野球場は40年以上の歳月が過ぎ、近年建設された野球場と比べ前時代的な雰囲気が残っているが、改良を重ね快適な観戦環境が整っている。全国各地の出身者が集まる首都圏にあるため、3塁側の遠征チームのファンが多い時は他の野球場にない全体が熱狂に包まれた独自の雰囲気が醸し出される。今後付近に新球場建設の計画もあるが、具体的には進んでいない。

 
[交通アクセス]
 ソウルメトロ2号線・9号線総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅、5番出口徒歩0分。

 

(文責:ふるりん