2016年は公式戦3位、ポストシーズンは準プレーオフで敗退したものの、相次ぐ主力選手の流出にも関わらず上位を維持した。FA(フリーエージェント)の大物選手を補強する資金に乏しいが、高い育成能力で次々と一軍で活躍する選手を輩出する独自のチーム方針は、チャン・ジョンソク新監督にも受け継がれていくと思われる。
【投手陣】
〈先発〉
△バンヘッケン、◎オサリバン、シン・ジェヨン、△オ・ジュウォン、チェ・ウォンテ
〈リリーフ〉
マ・ジョンギル、△クム・ミンチョル、パク・チュヒョン、イ・ボグン、キム・サンス、キム・ゴンテ、キム・セヒョン
注 : ◎は新加入、△は左腕
2012年から2015年までネクセンに所属し、2016年7月に日本プロ野球・埼玉西武から復帰した外国人選手の左腕バンヘッケンが先発の軸となる。新外国人選手のオサリバン、2016年に15勝をあげ新人王を受賞したシン・ジェヨンが三本柱として期待される。4番手以降の先発はやや流動的で、経験豊富な左腕オ・ジュウォン、期待の若手チェ・ウォンテ以外にもパク・チュヒョンなども先発での起用が考えられる。
先発投手陣の層がさほど厚くないため、2016年と同様にリリーフ陣の働きが肝要となる。中継ぎはイ・ボグン、キム・サンス、マ・ジョンギルが軸となり、抑えは2016年に最多セーブ(36)を受賞したキム・セヒョンとなる。キム・テッキョンの故障によりリリーフの左腕不足が顕著であり、若手の台頭を待ちたい。また故障で2016年は一軍登板のなかったハン・ヒョンヒィ、チョ・サンウの若手右腕2人の復活にも期待したい。
【打撃陣】
〈ベストオーダー〉
1.ソ・ゴンチャン(二) △
2.キム・ハソン(遊)
3.イ・テックン(中)
4.ユン・ソンミン(一)
5. キム・ミンソン(三)
6.ダニー・ドーン(右) △
7.コ・ジョンウク(左) △
8.チェ・テイン(指) △
9.パク・トンウォン(捕)
〈控え〉
(捕手) △チュ・ヒョサン、キム・ジェヒョン
(内野手) キム・ジス、チャン・ヨンソク、△キム・ウンビン、◎キム・テワン、チャン・シユン
(外野手) △パク・チョンウム、ユ・ジェシン、△イム・ビョンウク、◎△イ・ジョンフ
注 : ◎は新加入、△は左打者。
あまり長打力はなく一発攻勢は望めないが、俊足巧打のソ・ゴンチャンを軸につながりを重視した機動力の高い打線が組まれている。現在21歳で、2016年には20本塁打・28盗塁を記録したキム・ハソンが攻守ともにチームの顔になることが期待される。新戦力としては、高卒新人ながら海外キャンプや示範競技で攻守ともに高い素質を見せているイ・ジョンフが注目されている。かつてヘテ、後身のキアで主力野手として活躍したイ・ジョンボム(元中日)の息子であり、高校時代は内野手であったが出場機会を考え外野手での起用も検討され、プロ野球界の新しいスター選手となる可能性を秘めている。
高尺スカイドームに本拠地を移転して1年が過ぎた。チームのフロント出身のチャン・ジョンソク新監督によって新たな若手選手が躍動し、2008年の球団創設から10年目を迎える2017年シーズン、初の韓国シリーズ優勝なるかが注目される。
【本拠地】
ソウル・高尺スカイドーム
2015年9月、ソウル特別市の南西部の九老区に完成した韓国初のドーム型野球場・高尺(コチョク)スカイドームは、2016年よりネクセンヒーローズの本拠地として利用されている。2017年3月6日から9日にかけて、韓国で初めてWBC(ワールドベースボールクラシック)1次ラウンドが開催されたのが記憶に新しい。その他アマチュア野球の大会や音楽の公演なども開催される。
内野は大きく上段と下段に分かれている。下段は傾斜が緩く、グラウンドから離れた席だと前の観客などによりグラウンドが見づらいことがある。なお上段(3階席・4階席)へは下段の場内通路からのエレベーターなどがなく不便であり、客席の傾斜が急である。2017年シーズンから、WBCの開催に合わせて外野の両側に新しい電光掲示板が設置された。
[交通アクセス]
首都圏電鉄京仁線・九一(クイル)駅から徒歩5分。この駅は安養川(アニャンチョン)の上にあり、2016年に高尺スカイドームのある西岸に出入口が新設された。ソウル駅から九一駅までは仁川(インチョン)方面の電車で20分程度。龍山(ヨンサン)始発の仁川(インチョン)方面への急行は停車しないので注意されたい。ソウル都心部へは安養川を渡って20分程度の九老(クロ)駅、仁川方面へは隣の開峰(ケボン)駅を利用することも案内されている。九老駅には急行も停車し、水原(スウォン)方面への電車との乗換駅にもなっているため利便性が高い。
高尺スカイドームの地下に飲食店街があり(野球場内からは直接行き来できない)、球場の正面広場(九一駅とは反対方向)の向かい側の商店街にも多数の飲食店があるため、観戦前後の食事には困らない。
(文責 : ふるりん)