2014年の光州(クァンジュ)キアチャンピオンズフィールドから2019年の昌原(チャンウォン)NCパーク馬山(マサン)球場まで、韓国では近年プロ野球の新球場が相次いで完成し、プロ野球界の成長と発展に大きく貢献しています。しかし、1982年からのプロ野球創設から30年以上、ファンとともにチームの栄光と悲哀を見守ってきた野球場も所によってはその姿をとどめ、プロ野球では利用されなくなったものの、高校・大学やその他のアマチュア野球で利用されていることがあります。今回は2015年でプロ野球の本拠地としての歴史に終止符を打った大邱(テグ)市民運動場野球場について紹介します。
1982年に創設されたサムソンライオンズの本拠地だった大邱市民運動場野球場は、韓国南東部の地方都市・大邱の中心部から少し北へ離れた市街地の中にあります。「市民運動場」とある通り、周囲には複数の体育施設があります。
サムソンライオンズは1985年の前後期優勝から2002年韓国シリーズ初優勝、その後の7度の優勝といった輝かしい歴史をこの野球場で刻んできました。また1995年にプロ野球選手としての人生を歩み始め、韓国プロ野球史上最多の個人通算467本塁打の不滅の大記録を残したイ・スンヨプが、2003年10月に56本塁打のプロ野球シーズン最多記録の不滅の金字塔を打ちたてたのはこの野球場です。
現在は56号本塁打が落下した地点に記念碑がたてられ、偉業が顕彰されています。ご覧の通り外野にはかつてあった観客席がなく、内野席も本塁裏付近を除いては観客席がありません。これは2016年以降に球場の大規模改修が実施されアマチュア野球専用になったためです。
球場の横に立派な新しい建造物が見えますが、これは2019年に完成したばかりのサッカー専用球場:大邱フォレストアレーナで、サッカーKリーグ・大邱FCの試合が開催されています。かつてあった競技場を解体して建設されました。かつてプロ野球ファンたちが足しげく通ったこの市民運動場ですが、現在はプロサッカーファンたちが多く集まるようになったと思われます。
大邱フォレストアレーナに隣接した正面入口には、無料で開放されている大邱市民運動場野球場とサムソンライオンズの展示館があります。
プロ野球が創設される以前の貴重な写真などの資料や、過去のサムソンライオンズの栄光についての展示が充実し、写真が多いため韓国語がわからなくとも楽しめると思います。
中には球団創設期から近年までのサムソンライオンズを支えた名選手(現役の選手もいます)たちの写真があります。韓国プロ野球史上初の打撃三冠王イ・マンス、史上初の個人通算2000安打を達成したヤン・ジュンヒョクなど、プロ野球史に深く刻まれた選手たちのパネルが展示されています。
特に2017年で現役を引退したイ・スンヨプ関係の展示は充実し、日本プロ野球時代や野球韓国代表での活躍も紹介されています。
【都市鉄道3号線 北区庁(プックチョン)駅】東へ徒歩10分弱
となっています。
2016年よりサムソンライオンズの本拠地となっている大邱サムソンライオンズパークでプロ野球を観戦される際、もし2-3時間程度の余裕がありましたら試合前にぜひこちらの古きよき日々を伝えている野球場を訪れてみてはいかがでしょうか。最も近い北区庁駅からは都市鉄道3号線で青羅(チョンナ)オンドク駅(2019年1月に新南駅から改称)まで行き、2号線に乗り換えて大公園(テゴンウォン)駅で下車すれば40分程度で大邱サムソンライオンズパークへ移動することができます。
近年、大邱の市街地に近い国際空港には日本などの空港からの国際便も多く就航し、訪問が便利になっている大邱。ソウルや釜山からの高速鉄道KTXやバスなどの交通も充実しているため、サムソンライオンズの栄光の歴史と偉大な選手たちの足跡を知り、まだ新しさの残るボールパークでの野球観戦を楽しむ旅はいかがでしょうか?
(文責:ふるりん)