2013年シーズンの注目すべき話題のひとつに、9番目のプロ野球チームとして誕生し、1軍リーグに参戦したNCダイノスの戦いぶりがあげられます。
韓国南東部の地方都市・昌原(チャンウォン)市の馬山(マサン)の街中に、NCの本拠地があります。2012年の2軍リーグ参加を前に大改装されましたが、2013年シーズンを前に外野席が新しくなり、売店も増設され他球団の本拠地と比べても見劣りしないものになりました。
管理人が訪れた4月28日のトゥサンベアーズとの試合は、晴天の日曜日ということもあり比較的大勢のファンで賑わい、馬山の街中には時折真新しいダイノスのユニフォームを着た人々も見かけました。
この馬山野球場はもともと近隣の釜山を本拠地とするロッテジャイアンツの準本拠地で、時折公式戦が行われていました。そのため馬山にはロッテファンが多かったのですが、新しく誕生したNCダイノスのファンになった市民も多いことでしょう。以前のこの野球場はかなり座席も小さく通路の幅も狭かったのですが、全面的に改装され席も新しく立派なものになり、通路もゆったりしています。
売店もコンビニのようなものから、やや高級志向のデザートやスナックを売るところもあり、バラエティに富んでいます。またグッズショップも1塁側内野席通路に増設されています。
試合は予定通り14時開始となり、当時8連敗中だったチームには熱い歓声が送られます。応援は韓国プロ野球に特徴的なスティックバルーンの使用は少なく、代わりにNC DINOSと書かれた群青色のチームカラーのボードを掲げているファンが多いです。
1塁側内野席の一角に、立って熱心に応援したいファンのためのゾーンがあり、盛り上がっていました。
新球団NCは経験不足もあり、序盤のエラーで失った3点を取り返せず、1-3で敗れ9連敗となってしまいました。
既存のチームのファンなら、これだけ連敗すれば選手たちに罵声を浴びせたり、抗議の横断幕の1つくらい出たりもするのですが、負けてもファンたちはちょっとしたため息をつくだけで、あっさりと帰路につきました。
やはり自分たちの応援するチームが勝てないことはよく分かっていて、勝利を熱く願うよりも、温かい目で見守っているような感覚なのでしょう。
ですがプロである以上勝たないとファンはそのうち足が遠のきます。
当然チームは危機感を持っていたようで、次の試合となった4月30日の馬山でのLG戦で勝利し、NCは9連敗から脱出しました。
そして主力打者として活躍が期待されていながら、春季キャンプ中の負傷で戦線を離脱していたナ・ソンボムの1軍デビューもあり打線が強化され、リリーフ陣はかなり弱いですが、外国人投手3人とイ・ジェハク、イ・テヤンの若手投手2人を軸とした先発投手陣も安定し、それ以降は5月26日まで11勝9敗1分けと勝ち越しています。
選手層は厚くなく、経験の乏しい選手が多いためシーズンを通して勝ち続けるのは厳しいと思いますが、一つでも多くの勝利を新球団のファンたちに見せ、近い将来の上位進出を期待したいです。
追記:アクセスですが、釜山市内からは釜山地下鉄2号線・沙上(ササン)駅近くのバスターミナルから馬山行きのバスに乗ると、市外バスターミナルに到着します。そこから野球場までタクシーで10分程度です(市内路線バスもあります)。また、ソウル、大邱など遠方の大都市からの高速バスは、野球場から徒歩10分程度の馬山高速バスターミナルに到着します。今後観戦を予定されている方は、お間違いのないようにしてください。なお、ソウルや大邱からの高速列車KTXの到着する馬山駅は、市外バスターミナルの近くにあります(ソウルから馬山まで3時間程度です。なお、釜山方面からの鉄道でのアクセスはよくないので利用はおすすめしません)。
(文責 : ふるりん)