DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2022年 シーズン展望 第7回 NCダイノス

2年ぶり2度目の韓国シリーズ優勝へ

 2021年は前年の優勝から一転、複数名の主力選手が不祥事で出場停止となり後半に失速、7位に終わってしまったNCダイノス。オフシーズンには生え抜きの主力野手だったナ・ソンボムがFA(フリーエージェント)となりキアへ移籍するも、ロッテからFAとなったソン・アソプ、トゥサンからFAとなったパク・コヌと2名のトップレベルの外野手2名と契約し注目を集めた。


【投手陣】

〈先発〉 
ルチンスキー、パーソンズ、ソン・ミョンギ、シン・ミンヒョク、イ・ジェハク、キム・テギョン

〈リリーフ〉
ホン・ソンミン、△イム・ジョンホ、◎△ハ・ジュニョン、◎△シム・チャンミン、◎チョ・ミンソク、リュ・ジヌク、ウォン・ジョンヒョン、イ・ヨンチャン

注 : ◎は新加入、△は左腕 

 先発の柱は韓国4年目の外国人選手ルチンスキーである。韓国2年目の外国人選手パーソンズは2021年以上の成績が期待されている。21歳のソン・ミョンギ、23歳のシン・ミンヒョクの若手右腕が韓国人投手では軸となるが、これに20歳の若手キム・テギョンが加われば層は厚くなる。2020年の優勝に貢献した左腕ク・チャンモの復活も望まれる。

 リリーフはこれまで活躍していたベテラン選手たちを自由契約にして顔ぶれが変わった。トレードでサムソンから移籍したアンダースローのシム・チャンミン、ナ・ソンボムの補償選手としてキアから移籍したハ・ジュニョンなどである。抑えは2021年と同じくイ・ヨンチャンが務めると思われる。また23歳の新人チョ・ミンソクが示範競技などで好投し活躍が期待される。

 


【打撃陣】

〈予想先発〉

捕手:パク・クァンヨル

一塁:◎△マティーニ

二塁:×キム・ジュウォン

三塁:パク・チュニョン

遊撃:△ノ・ジンヒョク

外野:◎△パク・コヌ、◎パク・コヌ、△チョン・ジンギ

DH:ヤン・ウィジ 

〈控え〉
(捕手) ◎キム・ウンミン
(内野手) △ト・テフン、チョン・ヒョン、ソ・ホチョル、ユン・ヒョンジュン
(外野手)  △キム・ギファン、△チョン・ミンス、△チェ・スンミン

注 : ◎は新加入。△は左打者。

 最大の注目はロッテで個人通算2000安打を達成したソン・アソプ、トゥサンの韓国シリーズ優勝に貢献したパク・コヌの外野手2名であるが、2021年に全144試合に出場したナ・ソンボムの穴が埋まるかは未知数である。また攻守にわたって活躍していた外国人選手アルテールの代わりに契約した新外国人選手マティーニも同様である。打線の軸は2021年に打点王の個人タイトルを受賞したヤン・ウィジとなり、打撃に専念するため指名打者での出場が多くなると思われる。かといって他に全幅の信頼を寄せられる捕手がいないのも難点である。
 2021年7月の不祥事による72試合の出場停止処分を受けた選手たちの復帰はしばらく先になると思われ、代役として起用された19歳の若手キム・ジュウォンなどの成長が欠かせない。新戦力が機能すればリーグ屈指の強力打線が完成すると思われるが、そうでなかった場合のリカバリーをどうするかが見ものである。

  就任4年目となるイ・ドンウク監督は大型補強で巻き返しを図っている。2021年の悪い流れを断ち切って、新旧の選手たちを融合させて2年ぶり2度目の韓国シリーズ優勝が目標となることは間違いがない。


【本拠地】
昌原NCパーク馬山野球場

 韓国南東部の地方都市・馬山(マサン)は港町として栄え、1970年代から自由貿易地帯として韓国の経済発展を支えた。2010年に近隣の昌原(チャンウォン)、鎮海(チンヘ)と合併して誕生した昌原総合市の一部となった。

 NCは球団創設当初の2012年から馬山総合運動場野球場を改修して本拠地として利用し、2019年に昌原NCパーク馬山球場が完成した。現在韓国プロ野球の本拠地では最も新しく、内野1階席はグラウンドレベルに近く臨場感があり、電光掲示板には打率や本塁打防御率以外にもボールの回転数など選手の細かい成績の数値が出されるなど、細かいデータを知りたいファンも思わずうなづく最新の技術が導入されている。またNCダイノスのグッズショップはガラス張りで目立つ外観で、野球観戦が可能な飲食店も上層にあり、さらに施設の拡充が進められている。

 すぐ隣の旧本拠地・馬山総合運動場野球場は主に二軍選手が出場するフューチャースリーグが使用しているため、一軍と二軍の試合観戦を同日に楽しむこともできる。


[交通アクセス]

 釜山市内から馬山までは沙上(ササン)バスターミナルから市外バスで40分程度。馬山市外バスターミナル、KTXなどの列車が停車する馬山駅からは昌原NCパーク付近までは110番市内バスで結ばれている。

 ソウルなどからの高速バスが発着する馬山高速バスターミナルからは徒歩5分程度。

 

(文責 : ふるりん