2019年　シーズン展望　第10回　ＮＣダイノス

新球場にて最下位からの捲土重来なるか

　2018年は投手陣を中心に故障者が続出したこと、チームを支えてきたベテランたちの空白や衰えにより突如過渡期が訪れたことにより、球団史上初の最下位で終わった。オフシーズンにイ・ドンウク新監督が就任し、韓国を代表する捕手ヤン・ウィジと4年総額125億ウォンの大型契約を結んだ。2019年シーズンより新本拠地となる昌原ＮＣパーク馬山球場で捲土重来を図る。

【投手陣】
〈先発〉　
◎バトラー、◎ルチンスキー、イ・ジェハク、△ク・チャンモ、△キム・ヨンギュ、ぺ・ジェファン
〈リリーフ〉
チャン・ヒョンシク、キム・ジンソン、ウォン・ジョンヒョン、チョン・スミン、ユン・ガンミン、△チェ・ソンヨン、△◎ユン・ジウン、イ・ミンホ

注　：　◎は新加入、△は左腕
　先発投手陣は層が薄く、2018年の低迷の原因となった。そのためＭＬＢ（メジャーリーグベースボール）での実績があるバトラー、ルチンスキーの2名の新外国人選手に期待がかかる。2017年から不振が続いていたイ・ジェハクに復調の気配が見られるのは好材料だ。22歳のク・チャンモ、19歳のキム・ヨンギュなどの若手が先発に定着すると2018年のような最下位に終わることはないはずだ。

　2018年はリリーフ陣も過去に酷使されてきた疲労が見え始め、抑えをつとめてきたイム・チャンミンが故障で離脱し苦しくなっていた。しかしＬＧを退団した左腕ユン・ジウン以外大きな補強はなく、21歳のチェ・ソンヨンなど若手の成長に期待するしかない。抑えは24歳のチャン・ヒョンシクが候補に挙げられているが経験がなく未知数であり、2018年と同様にチームの弱点となりかねない。

【打撃陣】

〈予想先発〉

１．パク・ミヌ（二）　△
２．クォン・ヒィドン（左）　
３．ナ・ソンボム（右）　△　　
４．ベタンコート（一）　◎　
５．ヤン・ウィジ（捕）　◎　
６．パク・ソンミン（指）　
７．モ・チャンミン（三）　
８．キム・ソンウク（中）　　　　　
９．ノ・ジンヒョク（遊）　△　　　

〈控え〉
(捕手) チョン・ボムモ、シン・ジンホ
(内野手) チ・ソックン、キム・チャンヒョン、イ・サンホ、ソン・シホン、キム・テジン△
(外野手) カン・ジンソン、イ・ウソン、パク・ヒョヌク

注：　◎は新加入。△は左打者。
　2018年オフシーズン、最大のＦＡ（フリーエージェント）による移籍となったヤン・ウィジとの4年総額125億ウォンの超大型契約は、プロ野球界全体に大きな衝撃を与えた。トゥサンの2度の韓国シリーズ優勝に貢献し、2015年以降野球韓国代表にも選ばれ続けているプロ野球界を代表する捕手は、打撃の面でも2018年に打率.358を記録するなど抜きん出た実力を持つ。　
　他には新外国人選手のベタンコートも捕手で登録され、外国人選手が先発する試合では捕手で出場する可能性があり、ヤン・ウィジの負担を軽減することになりそうだ。打線の中軸は生え抜きの強打の外野手ナ・ソンボムとヤン・ウィジ、ベタンコートで構成されることになる。

　不安材料としてはチャンスメイカーの内野手パク・ミヌが開幕からしばらく故障で離脱する点で、21歳の若手キム・チャンヒョンにもチャンスが回ってくるかもしれない。かつてヤン・ウィジと同じくＦＡとなり4年契約でサムソンから移籍してきた33歳のベテラン内野手パク・ソンミンは故障がちで、契約4年目の2019年は背水の陣で臨むことになり、強力とは言えない打線のキーマンとなるかもしれない。

　2011年、韓国で9番目のプロ野球チームとして創設され、短期間で戦力を揃え2014年から2017年まで4年連続ポストシーズン進出と結果を出したが、2018年はまさかの不振に陥ったＮＣダイノス。イ・ドンウク新監督はまだ44歳で監督1年目であり経験も浅く、2019年シーズンはまず2年ぶりのポストシーズン進出を目指すことになる。念願の新球場が完成し、球団の更なる成長と発展のためには重要なシーズンとなりそうだ。

【本拠地】
昌原ＮＣパーク馬山野球場
　
　韓国南東部にある馬山（マサン）は古代より港町として栄え、1970年代から自由貿易地帯として韓国の経済発展を支えた。2010年に近隣の昌原（チャンウォン）、鎮海（チンヘ）と合併して誕生した昌原総合市の一部となった。

　ＮＣは球団創設当初の2012年から馬山総合運動場野球場を改修して本拠地として利用してきた。昌原市内に新球場を建設することを公約としていたため、2016年8月より隣の競技場を解体して新球場の昌原ＮＣパーク馬山球場の建設工事を開始し、2019年2月に完成した。

　新本拠地・昌原ＮＣパーク馬山球場は2万5000人収容の最新鋭のボールパークである。3月19日の示範競技：ハンファ戦で初めてプロ野球の試合が開催され、3月23日の開幕戦：サムソン戦が初のレギュラーシーズン開催となる。内野は上下二層となり、外野は芝生席となっている。

　なお、馬山総合運動場野球場は主に二軍選手が出場するフューチャースリーグの試合で利用されることになり、韓国プロ野球では初めて一軍と二軍の本拠地球場が隣接する。日によっては早い時間に二軍戦を観戦し、その後一軍戦を観戦することも可能である。そのため、昌原ＮＣパークと旧馬山総合運動場野球場の総称として「馬山野球センター」が新たに命名された。