DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第1回 サムソンライオンズ

「新たな黄金時代へ」 
2012年成績 : 80勝51敗2分け(韓国シリーズ優勝)
チーム総合採点…90点


 2012年シーズン、サムソンはチーム史上2度目となる韓国シリーズ2連覇を達成した。

 投打ともに充実した戦力を誇り、日本プロ野球より9年ぶりに古巣へ復帰したかつての主砲イ・スンヨプ(元オリックス)も加わったことで、優勝候補の本命であった。しかし4月7日、本拠地・大邱でのLGとの開幕戦で、初の開幕投手をつとめたチャ・ウチャンが打たれ敗れると、自慢の先発投手陣や2011年本塁打・打点の二冠王チェ・ヒョンウの不振で低迷した。イ・スンヨプ、パク・ソンミンなどは好調だったが、4月24日のロッテ戦、9回表2点リードで登板した不動の守護神オ・スンファンが6失点の大乱調で逆転負けを喫するなど、何かがおかしかった。
 5月後半になると、左のエースのチャン・ウォンサムの好調もあって先発投手陣が立ち直り、イ・スンヨプは好調を維持し、パク・ハニなどのベテランがチームを支えた。5月31日のハンファ戦ではチェ・ヒョンウのシーズン初本塁打も飛び出し3連勝で、ようやく勝率5割に復帰した。6月になると前年の王者らしく投打ともに調子を上げ、ロッテ、SK、トゥサンとの混戦の上位争いが続いた。2年目の若手シム・チャンミンが中継ぎ陣の一角に定着し、ここ数年勤続疲労が続いていたリリーフ陣にとってカンフル剤となった。
 7月1日のネクセン戦でシーズン初の首位に立ったが、7日ロッテとの直接対決に敗れその座を一旦譲った。しかし翌8日のロッテ戦で外国人投手タルボットの好投もあり1日で首位の座を奪い返すと、その後は首位を守り続けた。7月はタルボット、ペ・ヨンスなど先発投手陣やリリーフ陣の好投、チェ・ヒョンウの本塁打量産などもあり14勝3敗と圧倒的な成績で、7月末には勝率が6割を超え2位トゥサンとのゲーム差を5.5にまで広げた。
 8月初めに4連敗とやや調子を落とし2位以下との差が縮まったが、17日から19日までのトゥサンとの3連戦で3連勝し、一気に差を広げ首位固めに成功した。タルボット、チャン・ウォンサムの2人が最多勝争いを続け、オ・スンファンは2年連続最多セーブのタイトルに向け順調にセーブ数を重ねた。9月以降はSK、トゥサン、ロッテと2位以下のチームが混戦となり首位サムソンを脅かすチームは現れず、28日のロッテ戦でチャン・ウォンサムは16勝目をあげ最多勝投手の座を確実にし、優勝は目前にまで迫った。
 10月1日のLG戦で勝利し、サムソンは2年連続の公式戦優勝を決めた。4日、試合後優勝セレモニーが行われた本拠地・大邱でのSK戦でも勝利し7連勝とし、チャン・ウォンサムは自身初の最多勝投手を確定させた17勝目を記録した。結局2位SKに8.5ゲーム差をつけた見事な独走優勝であり、2011年と同様後半に調子をあげるコンディション調整のうまさも目立った。
 10月24日からの韓国シリーズは、大邱での第1,2戦に連勝したが、27日の敵地文鶴での第3戦が雨で翌日に順延となると、乱打戦となり8-12で敗れた。第4戦も敗れ2勝2敗のタイとなったが、中立地蚕室での第5戦はアン・ジマン、オ・スンファンのリリーフ陣の力投で2-1と勝利し王手をかけた。11月1日、第6戦ではイ・スンヨプの先制タイムリー、チャン・ウォンサムの好投で7-0と完封勝ちで2年連続韓国シリーズ優勝を達成した。アジアシリーズ2012では開催国代表としてアジアシリーズ2011に次ぐ2年連続の優勝も期待されたが、11月9日、台湾代表Lamigoに完封負けを喫し決勝進出に失敗した。

 2012年のチーム成績だが、防御率(3.39)、打率(.272)、得点(628)ともに1位と文句のつけようがなかった。投手陣は先発陣がチャン・ウォンサム(17勝)、外国人投手タルボット(14勝)、生え抜きのエースで7年ぶりの2ケタ勝利を記録したペ・ヨンス(12勝)、もう一人の外国人投手ゴードン(11勝)、2009年の最多勝投手ユン・ソンファン(9勝)と谷間がなかった。そしてリリーフ陣も、右のアン・ジマン(28ホールド)、左のクォン・ヒョク(18ホールド)、サイドハンドのクォン・オジュン、チョン・ヒョヌク、19歳の若手シム・チャンミンなど多彩だった。そして2年連続最多セーブ(37セーブ)の絶対的守護神オ・スンファンは健在だった。
 打線も切れ目がなかった。ペ・ヨンソプ(27盗塁)、キム・サンス(25盗塁)、チョン・ヒョンシク(22盗塁)と足を使える選手がそろい、中軸にはパク・ソンミン(24本塁打)、精神的支柱のイ・スンヨプ(21本塁打)、生え抜きのベテラン外野手パク・ハニなどがそろっていた。公式戦前半は不振だったが、2011年本塁打・打点の二冠王チェ・ヒョンウも後半は復調した。その他生え抜きのベテラン正捕手チン・ガビョンがイ・スンヨプと並ぶチームのまとめ役だった。 
 
 オフシーズンであるが、ここ数年リリーフ陣に欠かせない存在だったチョン・ヒョヌクがFA(フリーエージェント)でLGへ移籍した。また先発投手として一定の成績を残したタルボット、ゴードンともに故障などもあり2年連続での活躍が期待できないとして再契約せず、ロドリゲス、バンデンハークの新外国人投手と契約した。大きな戦力ダウンがないため、1986−89年韓国シリーズ4連覇を達成したヘテ(現キア)以来となる韓国シリーズ3連覇も期待される。しかしリュ・ジュンイル監督が2013年3月のWBC(ワールドベースボールクラシック)韓国代表に就任し、イ・スンヨプなどの代表選手とともに大事な春季キャンプの時期に長ければ40日ほどチームを離れてしまう。だが勝つために何が必要かを知り尽くしている選手ばかりだ。ここはチーム史上初の3連覇を期待したい。

(文責 : ふるりん