2013年の韓国シリーズは、プロ野球史上初の3年連続公式戦優勝を達成し、球団史上初の3連覇がかかるサムソンと、史上初の公式戦4位から準プレーオフ、プレーオフを勝ち抜き優勝を狙うトゥサンとの対決となった。両チームによる韓国シリーズは2005年以来8年ぶりで、その時はサムソンが4連勝でシリーズを終えている。なお2001年には公式戦3位ながらトゥサンが韓国シリーズでサムソンをやぶり、優勝を果たしている。
サムソンは公式戦を圧倒的な強さで制した2011年、2012年と違い、3連覇を目指す2013年シーズンはLG、ネクセン、トゥサンとの熾烈な上位争いが最後まで続き、9月末になってようやく混戦から抜け出し優勝を決めた。そのためやや力が落ちてきているという印象を与えた。
サムソンのチーム防御率は3.95で9球団中3位と、他球団と比べて秀でていたわけではない。特に長年サムソンを支えてきたリリーフ陣に陰りが見えた。守護神オ・スンファン(28セーブ)は健在だが、そこにつなぐ中継ぎ陣が弱くなっていた。だが右のアン・ジマン、左のクォン・ヒョクなど経験豊富な選手が残っているため、大舞台で接戦になっても崩れない強さがある。
他球団と比べて充実しているのは韓国人投手が揃った先発陣だ。9年ぶり2度目の最多勝(14勝)となったペ・ヨンス、経験豊富な右腕のユン・ソンファン(13勝)、左腕チャン・ウォンサム(13勝)、チャ・ウチャン(10勝)の4人で韓国シリーズの先発は回せる。状況によっては外国人投手バンデンハーク(7勝)を先発とし、上記の4人の1人をロングリリーフにする起用も考えられる。また捕手もチン・ガビョン、イ・ジヨン、イ・ジョンシクの3人を併用し、先発投手ごとに替えていくことが予想される。
2013年シーズンのサムソンは、チーム打率.283、得点は669と2位で、やや攻撃力優位のチームとなっていた。29本塁打、98打点のチーム二冠王の主砲チェ・ヒョンウを軸にパク・ハニ、パク・ソンミン、チェ・テインなど経験豊富な選手たちがそろい、勝負どころでは精神的な支柱イ・スンヨプ(元オリックス)が代打で登場すると思われる。また走れる選手がペ・ヨンソプ(23盗塁)くらいしかおらず、やや大味な野球となっている。
最大の懸念材料はショートのレギュラーで活躍してきたキム・サンスが手術のため韓国シリーズの欠場が決まり、また長期離脱していた内野手のチョ・ドンチャンも出場しないことだ。そのため、守備の要である二遊間に不安がある。代役はキム・テワン、チョン・ビョンゴンなどが予想される。
準プレーオフ、プレーオフを戦ってきたトゥサンは、これまでとほとんど同じメンバーで韓国シリーズに望む。先発陣は第1戦の予告先発ノ・ギョンウン以外にニッパート(12勝)、ハンキンス(3勝)の両外国人投手、左腕ユ・ヒィグァン(10勝)などから構成される。ポストシーズンでの経験が豊富なチームらしく、絶対的な切り札がいないリリーフ陣もホン・サンサム、チョン・ジェフン、ユン・ミョンジュン、ピョン・ジンス、ハンキンスなどをうまく起用し乗り切ってきた。ただ、全て右投手でリリーフ陣の左投手不在は解消されていない。チェ・ヒョンウ、パク・ハニ、チェ・テインなど相手の軸となる左打者をどう抑えるのかが見ものだ。捕手はポストシーズンでの活躍が目覚しい若手チェ・ジェフンが中心に起用されると思われる。
打線はチーム打率(.289)、得点(699)、盗塁(172)ともに9球団中トップの攻撃力で、ベテランのホン・ソンフンを軸に層が厚くレギュラーと控えの差が小さい。公式戦は不動の主軸だったが例年ポストシーズンに弱いキム・ヒョンスが出場しなくても、攻守ともに目を引く若手チョン・スビン、ベテランのイム・ジェチョルもいる。またポストシーズン通算3本塁打と好調のチェ・ジュンソクも怖い存在だ。
経験豊富かつ準備も万端な4年連続韓国シリーズ出場のサムソンが、プレーオフを第4戦で終えて休息が取れたとはいえ、これまで激戦の疲れが抜けきってはいないトゥサンと比べて有利であるのは明白である。公式戦での対戦も9勝7敗とサムソンが勝ち越している。しかし、トゥサンはポストシーズンでの経験がなく大舞台で無残に崩れてしまったLG、ネクセンとちがって全員野球で戦い抜くことができるため、圧倒的に不利というわけではない。果たして2001年以来12年ぶりに公式戦2位以下のチームが優勝するのか、サムソンが無難に3連覇を達成するのか、熱戦を期待したい。