DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

   韓国シリーズ第4戦  SK、4連勝で2年ぶり3度目の優勝

2010年 韓国シリーズ 第4戦

SK 4−2 サムソン  (大邱
(勝)チョン・ビョンドゥ 2勝  (セーブ)キム・グァンヒョン 1S  (敗)チャン・ウォンサム 1敗
 
 SKが3連勝で一気に王手をかけた韓国シリーズ第4戦は、サムソンの本拠地・大邱(テグ)に1万人の満員の観客を集め、SKの先発はグローバー(元読売)、サムソンの先発はチャン・ウォンサムで開始された。

 SKは1回表2死後3番チョン・グヌの2塁打でチャンスを作ったが、ここは無失点に終わった。サムソンは2回裏、先頭の4番チェ・ヒョンウがセカンドの悪送球でセーフとなり(記録上は内野安打)、けん制悪送球の間に2塁へ進み、送りバントで3塁へ進んだ。しかし後続が断たれ先制点のチャンスを逃した。SKは3回表2死から1番キム・ガンミンの3塁打でチャンスを作ったが、これも生かせなかった。
 SKは4回表先頭のチョン・グヌ、4番イ・ホジュンの連打で1,2塁とし、1死後6番パク・チェホンの四球で満塁とした。このチャンスで7番パク・キョンワンへの押し出しの四球、8番パク・チョングォンの2点タイムリーで3点を先制し、チャン・ウォンサムをノックアウトした。サムソンの2番手オ・スンファンは相手の走塁ミスもありこれ以上得点を与えなかった。サムソンは5回裏先頭の5番パク・ソンミンが四球を選び、ここでSKは故障明けのグローバーから2番手チョン・ビョンドゥに交代した。ここで6番チョ・ヨンフンを併殺打に打ち取ったチョン・ビョンドゥは、この回を無失点に抑えた。
 SKは6回表サムソンの3番手クォン・オジュンから1死後チェ・ジョンの死球で走者が出ると、2010年限りで引退を表明しているキム・ジェヒョンが代打で登場した。ここでサムソンも4番手チャ・ウチャンを登板させ、キム・ジェヒョンの打球はセカンドがよく捕りアウトとなったが、1塁走者が一気に3塁まで進塁した。ここで7番パク・キョンワンのタイムリーでSKが貴重な1点を追加した。
 サムソンは6回裏、SKの3番手チョン・ウラムから代打シン・ミョンチョルのヒット、9番キム・サンスへの死球で1,2塁のチャンスを作り、1死後SKは4番手ソン・ウンボムに交代させた。ここで代打チェ・テイン、3番パク・ハニは抑えられまたもやチャンスを生かせなかった。サムソンは7回裏にもSKの5番手イ・スンホ(背番号20)から先頭のチェ・ヒョンウの2塁打、パク・ソンミンへの死球で無死1,2塁のチャンスを作ったが、ここも後が続かず無得点となった。
 SKは8回表サムソンの5番手チョン・イヌクから代打アン・チヨンへの四球、パク・キョンワンのヒットで1,2塁としたが、ここは代わった6番手クォン・ヒョクが抑えた。サムソンはその裏1番イ・ヨンウクの四球、途中出場の2番ヒョン・ジェユンのヒットやエラーで1死1,3塁のチャンスとし、ここでSKは6番手としてエースのキム・グァンヒョンを登板させた。キム・グァンヒョンはパク・ハニを四球で歩かせ1死満塁とすると、1アウト後パク・ソンミンへの押し出しの死球でようやっと1点を返した。
 サムソンは9回表7番手アン・ジマンが三者凡退に抑え、9回裏にすべてを賭けることになった。9回も続投したキム・グァンヒョンは先頭の7番パク・チンマンに四球を与えると、1死後キム・サンスの内野ゴロの間に走者が2塁へ進み、代打カン・ボンギュのタイムリーでサムソンが1点を返した。しかしヒョン・ジェユンが見逃しの三振に倒れ試合終了となり、SKが見事2年ぶり3度目の韓国シリーズ優勝を達成した。なお、韓国シリーズが4試合4連勝で終わったのは、2005年のサムソン以来6度目となった。
 5回裏2番手で登板したチョン・ビョンドゥが韓国シリーズ2勝目。第1戦で先発したキム・グァンヒョンは、プロ4年目にしてポストシーズン初セーブ。


 4年連続で韓国シリーズに出場し、2009年を除いて3度優勝しているSKは、キム・ソングン監督の指揮のもと、攻守ともに隙のない野球を見せた。この韓国シリーズでもサムソン相手に大量得点で勝った試合は第1戦だけであり、ここ一番で見せる集中力は他の球団には見られないものであり、チーム全体に勝者のメンタリティーが備わっていた。
 この韓国シリーズでは左のリリーフ陣の軸の一人だったコ・ヒョジュンを欠いても、代役のイ・スンホ(背番号37)が好投するなど選手層の厚さでカバーし大きな穴とはならなかった。韓国シリーズMVPには、4試合で11打数5安打、1本塁打、6打点を記録し、第4戦でも4回表決勝2点タイムリーを打ったパク・チョングォン(SK)が選ばれた。自身にとっては、2009年プレーオフ以来となる2度目のポストシーズンMVPである。


(韓国シリーズMVPに選ばれたパク・チョングォン。)



 一方敗れたサムソンは、第5戦までもつれたトゥサンとのプレーオフのチーム全体の不調が韓国シリーズになっても残り、投打ともにSKと激しく優勝争いをしたときの勢いは感じられなかった。投手陣は9失点の第1戦を除いて決して悪くはなかったが、打線の不振が深刻だった。プレーオフで活躍したパク・ハニ、キム・サンスなどが徹底して抑えられ、パク・ソンミン、チェ・テインなどプレーオフから不調だった主力野手たちも爆発することがなかった。しかし、2009年は5位に終わり13年ぶりにポストシーズン進出を逃した状況から、若手主体にチームが切り替わり公式戦2位に浮上し、4年ぶりの韓国シリーズ出場を果たした点は大いに評価できる。
 
 なお、SKは韓国シリーズ優勝チームとして、11月5,6日に台湾シリーズ優勝チーム(19日時点で未定)との韓国・台湾チャンピオン決定戦(台湾・台中)、11月13日に日本シリーズ優勝チームとの日韓クラブチャンピオンシップ(日本・東京ドーム)に出場することとなり、その実力を他国のチームにも披露することになる。  


 韓国シリーズ終了で年間総合優勝は決まったが、2010年の韓国プロ野球には至上命題が残っている。11月13日から、国内外の精鋭が終結した韓国代表チームが出場する広州アジア大会野球が開幕し、同じくプロ選手が終結した台湾や、アジアの野球大国・日本、開催国中国などとアジアの頂点をかけて戦う。4年前のドーハアジア大会で日本、台湾に敗れ3連覇を逃した雪辱を、広州で晴らさんと2010年のプロ野球界は照準を合わせて4年に1度の大会に備えてきた。近年急速に高まったプロ野球人気は、晩秋11月を迎えて新たな高まりを見せ、選手たちは国民の期待にこたえ最高の結果を出すと信じたい。